自称阪神タイガース評論家（跡地）

　もう一つ盛り上がっていたのが、来年度国家予算編成前の事業仕分け。時間がなくて乱暴な感は否めないが、「初めからあらかた決まっている」という従来の予算決定プロセスと違って、情報公開しながら費用対効果をチェックする手法の目新しさ、面白さが目を惹いた。

　その一方で、デフレの現状とあいまって、「無駄遣い禁止」の風が広まっていくことが怖い。無駄遣いを戒める心は、日本の伝統的美徳ではある。私も子どもにそう教える。しかし一方で、国家予算や金満家が、「志のある無駄遣い」をしなくなってしまったら、ずいぶんと息苦しい世の中になってしまう。駄菓子は無駄遣いかも知れないが、駄菓子のない世の中なんて疲れちゃう。

　「無駄遣い市場」たるプロスポーツ界にも、自制の嵐は吹き続けている。その市場の登場人物として、ある意味「金満家」と目されている阪神タイガースには、ぜひとも「志のある無駄遣い」を実行し続けて欲しいと思う。甲子園球場の改修も良し、城島獲得も良し。懐具合のことはあまりわからないけれど、もっともっと日本の野球界のためにという志を持って、無駄遣いをして欲しい。アメリカから高い外国人を買ってくる、そんなのはあまり志が高いとは思わない。もっとこう、本当のムダというか粋というか、江戸時代から今もなお語られる大阪の金満家鴻池家を見習ってね（笑）。それが恵まれた者の務めだ。

　しかしちょっと前まで吝嗇家の代表だった阪神と吉本が、金満家代表のように言われる昨今。時代は変わるね。