自称阪神タイガース評論家(跡地)

かつてブログ「自称阪神タイガース評論家」があった場所。
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じっと待て王ジャパン
怒っちゃったり、笑っちゃったり、泣いちゃったりのWBCもいよいよ今日でおしまい。日本はキューバとの決勝戦に臨む。
オープン戦6試合が行われるようだが、CSでの中継は一切無し。まあそれぐらいのことはしても良いと思う。先日の準決勝韓国戦ではS−Eだけフジテレビ739でやってたみたいね。フジテレビめー!(笑)。

今大会の規定、リーグ戦の勝率が同じで、直接対決が相星の時は、「失点率」の低い方が優先されるというルールがあって、日本はほんのわずかにアメリカ、メキシコを凌いだ。これって変なルールだと思ったが、国際野球連盟(IBAF)主催のワールドカップでも採用されている「由緒正しき」ルールなんだね。トーナメントに入ってしまえば関係ないが、いかに失点を抑えるか、いかに一つでも多くのアウトを取るかが重要だったということ。
でも、このルールやっぱりヘンだ。特に今大会はコールドを採用しているので、弱いチーム相手ならコールドにしないで、0点を9回まで続けた方が良いということになる。そういえばあのアメリカ−メキシコの試合、メキシコが準決勝に出るためには延長十何回まで0−0の同点で行かなきゃいけないとかって話だった。これはやっぱり変だな。こういうルールは、見ているものが楽しい試合になるよう誘導すべきものだから、もうちょっとよく考えた方が良いと思う。「1イニングあたりの守備時間が短いチームが優位」なんてのどうかな?

さて、由緒正しくしかも変なルールのIBAFワールドカップ、一番初め(1938年)は参加2カ国。というよりアメリカ対イギリスの対抗戦で始まったんだって。その後はずっと中南米で行われていたんだって。野球の国際大会は、ずっとカリビアンたちのものだったんだね。で、1974年のアメリカ大会からちょっとワールドワイドになって、そして1998年からプロの参加もOKになって、そして2001年から金属バット禁止になって世界選手権から「ワールドカップ」と改称したんだって。
そのIBAFワールドカップで無類の強さを誇って来たのがキューバである。36回の大会で優勝24回だって(笑)。しかも優勝してない大会のうちいくつかは参加していない。彼らは歴史と伝統とプライドに彩られた野球の国の人たちだ。どんな決勝戦になるのだろう。わくわくするったらありゃしない。
(参考資料はこちら)


「最強野球国」に対抗するのは、王貞治監督が率いる日本代表。
子どもの時から、「僕の大好きな田淵」の前に立ちはだかっていた、憎たらしいホームラン王だった。あと少しでタイガースが勝てるという試合を、一発でひっくり返しちゃう悪いヤツ(笑)。右足を上げてピタッと静止。投手のボールは誘われるように、その上げた膝小僧の先に吸い込まれていく…その一瞬、石のように静止していた打者が急に動く…練習方法そのままに、バットではなく日本刀を振り下ろして、ボールをまっぷたつに切り裂く…いや、実際持っているのはバットだから、ボールは割れたりせず、バックスピンしながらライトスタンドにまっしぐら。さっきまで描いていた、勝利のイメージを粉砕した。

長嶋さんは晩年の衰えたところしか生で見ていないが、王さんはずっと現役バリバリだった。ベーブ・ルースやハンク・アーロンの記録を抜いていく時は、いくら憎たらしいジャイアンツの選手といっても、大選手の大記録に興奮した。

王さんは、いつもじっと待っている。1打席の間に必ず1球、打てる球が来ると信じて、じっと待っている。三振して帰って行く時は、いつでも潔い。あれはピッチャーが良かったんだから仕方ない…そんな納得した顔でさばさばと駆け足で帰っていった。

ジャイアンツの監督になっても、王さんは王さんのままだった。人を責めたり、言い訳したりはしない。じっとチャンスを待って、うまくいかなくても、それは相手が素晴らしかったんだと褒め称える。角を出し、鹿取を出し、いつでも形どおりに律儀な野球をする人だった。

決して名監督と呼ばれることのなかった王監督だが、福岡に行っても同じだった。ファンから罵声だけでなく、卵を投げつけられたという話を聞いた時は胸が痛かった。でも王さんはじっと待っていた。必ず来るチャンスを、しっかりやることをやって待っていた。ホークスの黄金期の根本にあるのは、福岡という土地に宿る野球への愛情と、王貞治の意志の力と忍耐力だったと思う。資金を活用できる幸運に恵まれたのは偶然じゃない。

そして日本代表の監督になっても、王監督らしい待つ野球。待ちすぎて危うく見逃し三振になりそうだったが、ギリギリのところでファールに出来た。そして、押し出しの四球を得た。それは、やるべきことをひたむきにやり続けて来たことで、中南米のサムライ・スピリッツを持ったアミーゴたちを動かしたこと。決して偶然だけではない。
そして一昨日、待ちに待った「甘い球」を見逃さずに捉えた。日本刀のようなスイングは、「代打起用」に変わっていたけれど、ホームラン王の切れ味はそのままだった。

憎たらしかったけど、尊敬していた王さん。一世一代のこの勝負、どうか好きなように「待って」、好きなように「振って」来て欲しいと思う。

Posted by torao at 08:57 | comments(15)
[阪神]たわいない話
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もう、朝からtoraoさんの文章を読んで泣いてしまいました。・゚・(ノД`)・゚・。私も王さんの全盛期から野球を見始めたので、思い出すことが色々あります。
アンチ巨人の私でしたが、やはり王さんは別格の人でした。巨人の監督を解任された時も、「長年の功労者をリスペクトする気持ちはないのか、この球団は!」と憤りを感じたものです。
王さんが自分の目指すチーム作りをできるようになったのはホークスの監督に就任してからでしょう。正直、巨人の監督時代よりもイキイキしているように見えました(笑)。
王JAPANのラストゲーム、しっかりこの目に焼き付けたいと思います。
| ぴゅあらっく | 2006/03/21 10:54 AM |
まだダイエーだった頃、高知にキャンプに来てた王さんと一緒に写真を撮ってもらったことがあります。
とても親切で紳士でした。
ちなみに東尾監督とも撮ったけど・・・(笑)

私は現役時代は全く知らないけど、
「憎たらしい」という感情を抱かせない人だな〜とは思う。
ノムさんが自分は長島さんと比べて月見草だとか言ったけど、どっちかというと王さんに似合いそうな気がする。
ノムさんはもっとふてぶてしい花の方が似合うでしょ(笑)

決勝は決勝らしい試合。
でも宗りん、ここまできて痛恨のエラー。
緊張するな〜!!

勝っても負けても、感動できるよね。きっと。
| ちょびうさ | 2006/03/21 2:05 PM |
くっ…、こういうノスタルジー?な話に弱いんです…ウルッ。
学級新聞で756号を打ったことを書いたのを思い出しました。
野球小僧だらけでしたから^^
野球人口減少ぎみのご時世、今の子供たちに今大会を通じて「野球っておもしろいね!」と言って野球層が広がったはずですよね〜。
広げたいと努めておられる野村さんの解説聞きやすかったと思います。
| wan | 2006/03/21 3:22 PM |
このチームには何度泣かされたんだろうか。
おめでとう!日本代表!
ありがとう!日本代表!
球児はフォーム変更や慣れないボールに悩んだりで
力出せなかったけど。
久保田は緊急招集で、出番なかったけど。
でも、胸張って堂々と帰っておいで。
君たちは「世界一のチームの一員」だもん。

さ、明日からは虎一筋だ!
| 西田辺 | 2006/03/21 3:29 PM |
ジャパン、おめでとう!
野球の試合でこんなに緊張したのは
去年の「9.7 The Game」以来です。
明日のtoraoさんの感想が今から楽しみです♪

球児と久保田は、後半登板できずに活躍できなかったけど
試合後の2人が満面の笑みだったのを見れてホッとしました。
この経験はきっと今シーズンのどこかで生きるはず。
胸を張って帰ってきてほしいと思います。
| uriko1999 | 2006/03/21 3:35 PM |
The Long and winding road
メダル授与の映像を見ながら私の頭の中にはこの曲が流れていました。
思えばアジア予選からの勝った試合、負けた試合。ひとつひとつの積み重ねの集大成が今日の皆の誇らしい顔に繋がったと・・・。
涙は阪神連覇の時にとっておきましょう。

何が嬉しいって、監督そしてコーチにも金メダルが貰えたこと!
オリンピックは選手だけですものネ!

代表メンバーの選手たち!おめでとう!
| NANCY | 2006/03/21 6:00 PM |
いろいろいろいろいろいろいろいろありましたが、

「まずはやってみることから始めよう」

全力で有言実行してくれた王監督に天晴れ。
泣いて笑って全力でプレイしてくれた選手たちに感謝。
野球好きで良かったです。ばんざーい!

蛇足。
王ホークスが罵倒されてた頃って、下さんもまだホークスのユニフォーム着てたんでしたっけ?
| 藤村珂南 | 2006/03/21 6:27 PM |
今日は言葉すくなに…。王さん、やったぜ!また頂上に登りましたね!
そしてアミーゴたち、ありがとう!おかげで勝てたよ!アジア最強のライバルよ、約束は果たしたぞ!

to ぴゅあらっくさま
もう、ONのことを言っても若い人たちには通じません。昔のことを語っていかないといけませんね。それが野球の楽しさでもありますから。

to ちょびうささま
尊敬はしていても、いつもいつもホームランを打たれていたら憎たらしいですよ(笑)。賭けているものが大きい試合はいつでも面白いし、いつでも感動的です。

to wanさま
野村氏の解説良かったですか。でもきっとその数倍実況アナがうっとうしかったでしょ?CSの方はその逆で、アナは落ち着いていて良かったけれど、斉藤氏がちょっと…(笑)。
まあなんにしても、子どもが少なすぎですわ。もっと子どもがわさわさいる社会にしたいものですね。

to 西田辺さま
出番のありなしは関係ないですよ。頼りになる補欠がいるのといないのとでは、レギュラーのパフォーマンスがまったく違ってきますからね。出番があろうがなかろうが、戦力にかわりなしです。

to uriko1999さま
>明日のtoraoさんの感想が今から楽しみです♪
そんなこと言ってもダメです(笑)。まだオープン戦期間中の調整中ですから…と、メジャー選手並みの逃げ口上を打ったりして(笑)。
あの場にいなかった選手、球界関係者にとっても「素晴らしい経験」にしなきゃいけませんね。次にあるべきプロ野球を進めなきゃいけません。

to NANCYさま
いちばん厳しい出来事は、代表監督を受けた王さんが呼びかけた選手たちから断られ続けていた頃ですよ。でも王さんは当たり前のような顔で、選考を続けていきました。いつでも、責めることも、言い訳もしません。王さんはいつでも明るい未来を信じて、ベストを尽くして、結果を待つんです。そして多くの場合、意志の通りにしちゃうんです。
みんなにメダルがあって、よかったですね(笑)。

to 藤村珂南さま
ファンにとっても今回の大会は転機になりますね。「A代表」をどうしようというテーマができました。国際化を進めたいという意欲が湧いた人もいると思います。これまでの「これで良いんだ」から、「どうしたらWBCの終盤のように盛り上がれるか」が考えられるようになれば良いですね。
調べたら、王さんのホークス就任が95年。下柳もいました。翌96年にはファイターズに移籍していますね。
| torao | 2006/03/21 8:44 PM |
また、語り継ぎたい伝説が生まれましたね♪
本当に戦士たちって感じでしたよね。

イチローがこの時代に巡り合って良かったみたいな事言ってましたが(言ってましたよね?)、私も第一回大会・日本優勝の瞬間をこの目で観れてサイコーです。

王監督おめでとう&ありがとう!
| よっしー | 2006/03/21 9:24 PM |
to よっしーさま
この偉業が歴史の1ページになるか、「トリビア的な記録」になるか、実はそれがこれからにかかっているんですね。ひとしきり喜んで、何もかも忘れて喜んで、そしてそれからのことです。
| torao | 2006/03/21 10:51 PM |
キューバ不参加で決勝が米国×ドミニカになっていたら、お手盛りの全く盛り下がった大会になっていたので、これでよかったのではないでしょうか。日本以外では(苦笑)球場も満員で、次回の放送権の争奪戦が始まったそうですし。

次回は米国もドミニカもベストメンバーを組んで来るでしょうから楽しみです。次回は3位決定戦も見たいぞ!
| のののー | 2006/03/21 11:15 PM |
ブエノス・ノーチェス!(←キューバ風w)
CUBAという国には個人的に思い入れがあるのですが、
今日は純粋に嬉しかったです。
ホントですね、子供の頃、野球のことはよくわからなかったけど(今でもですがw)いつもTVにはそんな王選手が映っていました。確か国籍の問題で甲子園にも出られなかったんですよね?(ん?違いましたっけ?)そんな王選手が、待って待ってこうしてJAPANの監督として世界一監督となった。去年も一昨年もプレイオフの度に気の毒やなーと胸を痛めておりました。野球の神様はこの真摯な紳士に長い事待った甲斐をこうして与えてくれたのだ!と思うと今日はひどく感慨に耽ってしまいました。おめでとう!王監督!!

というわけで、ビデオは野村謙二郎の魅力に負けて、地上波セットして出掛けちゃいました。何か屈した気がしたのですが(苦笑)CSはリピート放送で見ればいいや!と思って。(笑)さてと今日の大阪ドームはどうだったんでしょうか?(笑)
| R62号 | 2006/03/21 11:32 PM |
横レス失礼します。

R62号さーん、王さんが出られなかったのは国体ですよー。
甲子園は春に出場して、優勝投手にもなってますです。

私は現役時代は殆ど知らないのですが、王さんは尊敬すべき敵であり、野球人として純粋に尊敬する人です。はい。
| 藤村珂南 | 2006/03/23 1:53 AM |
すみません。もうスパムコメントのせいで、どのコメントに茶々入れた、ちゃう、お返事したかわからなくなっちゃいました。遅くなってごめんなさい。

to のののーさま
「金より名誉」になってくれないといけませんね。そのためには権威を作っていくこと。ひたすら出た者が一所懸命やるばっかりです。エイジャンとカリビアンは野球に対してはマジメですよ!(笑)

to R62号さま
なんとも、一呼吸遅いんじゃない?と心配になっちゃう王采配ですが、これだけの結果を残しているのだから間違いないんでしょう。やっぱりうちの大将にちょっと似てるような気がするな(笑)。もっと貫禄があるし、言葉がわかりやすいけど(笑)。

to 藤村珂南さま
補足Thanksです。逆に国体に出られなかったってのを知らなかったりして(笑)。へーそうなんだ。
| torao | 2006/03/23 6:54 PM |
藤村珂南さま、ありがとうございます。
勉強になりました。
何度見ても、本当にステキな人だなーと思っちゃいます。
うちの大将にももっと貫禄とわかりやすい言葉・・・
ホントですね。(笑)
| R62号 | 2006/03/24 12:17 AM |

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