自称阪神タイガース評論家(跡地)

かつてブログ「自称阪神タイガース評論家」があった場所。
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光の届かないベンチ
7回表、二死一塁。投手交代を告げられた福原は、完全に自分を失っていた。ベンチへと歩きながら、不服を隠そうともしない。
試合展開がみるみる暗転していく。カクテル光線が直接差し込まない薄暗いダグアウトの中、福原の視線は空中の何もないところを捉えたまま動くことはい。微動だにしない表情から、「怒り」などという生やさしいものではなく、「憎悪」「怨念」に似たものを発していた。私には福原の体全体が、青白い炎に包まれているように見えた。球場内に溜め息や怒号が響いてもその姿は変わらなかった。


通算100勝のかかるGエース上原と、抜群の安定感でチーム最多の貯金を作って今季10勝目を目指す福原の投げ合い。互いにテンポ良く、要所を締め、意地と意地がぶつかり合った良い投手戦だった。6回裏、それまで上原に対してまったく合っていなかったシーツがセンター左への2ランHRを打ち込み、久々にタイガースを迎えた甲子園は歓喜で溢れる。チームに何があろうと、ここだけは別。またいつものように、藤川球児を大歓声で迎えて、その速球に酔おう、勝利に酔おう…。
とにもかくにも均衡が破れ、試合が動いた。そしてその動いた試合の巨大なエネルギーを、緩やかに受け止める懐の深さこそが今年の福原の強みなのだ。7回表二死、しかし相手エース上原の意地も相当なもの、この日2本目のヒットで塁に出る。二死一塁、迎える左の脇谷は、福原に合うようで二塁打を含む2安打。
ここで岡田監督はウィリアムスへの投手交代を告げる。


この日も関西は暑かった。日中の最高気温は36度。そんな中、福原には過酷なローテを強いている。ドラゴンズ戦に合わせるために、中5日、中4日もやってきた。次も中5日でD戦だ。球数も100球を超えた。これ以上投手を潰すわけにはいかない。
首脳陣としては、「お疲れさん、ナイスピッチング。次もがんばってくれよ」と言ってやりたかったのだろうと思う。


しかし福原は、そう受け取っていなかった。エースとの投げ合いで、完全に勝負に入っていた。チームの信頼を一身に背負い、それを意気に感じて投げるのがエース。「エース対決」に没頭していた。7回二死。二死だ。相手は、出始めの脇谷、非力な鈴木だ。この回はもちろん全うし、そして先にマウンドを降りるのは上原でなけりゃならない。暗黒時代を知る福原にとって、G戦は今でも特別なもの。幼なじみの二岡にも負けたくない。
交代?なぜ?…なぜ?…
「エース扱い」だが、エースではないのか…。エースにこんな交代はないだろう…。


1回裏、赤星のあわやHRかという二塁打、関本の四球で無死一二塁、ここでシーツが注文通り鋭い三ゴロで併殺に倒れ、無得点に終わる。もちろん結果は嘆かわしいが、私としてはOKだ。クリーンアップに好きなように打たせんでどうする…これが岡田野球であると納得できる(もちろん好き嫌いは別)。
試合中盤から後半、大事なところで井川が打ち込まれる。代えることなく逆転され負ける。何度も見た光景だが、私としてはOKだ。「結果だけがすべてじゃない。恐れずに、エースとして最高の勝負を見せてやれ」。これが岡田野球だと思っているから。
1点を取るための戦術、緻密な采配、深謀遠慮…3年目ともなれば、岡田監督にそんなものを求めていない。岡田野球とは、細かいことをグチャグチャ言うな、全体主義なんてクソくらえ、正々堂々1対1の勝負をせい…これに尽きる。この考えが、選手の心に「信頼感」として届けば、強いモチベーションにもなる。それで良い結果が続けば「真の強さ」になっていく。しかし、ひとたび「信頼されていない」という方向に出てしまえば、すべての循環は逆回転となり、恐ろしい結果を招くことになる。

「好き嫌いは別」の岡田野球、私はどちらかと言えば(ちょっと岡田監督は極端が過ぎるが)好きだ。いや、好きになった。「エースが打たれて負けたらしゃあない」私はすでに岡田監督のおかげで、そう考えるようになっている。勝ち負けなんかより、見せたいものがあるやんか!それが岡田監督の魅力だと思う。


代わったジェフは、脇谷にストレートの四球。福原が不服であったように、ジェフの心の中も計り知れないものがある。気持ちで投げるタイプだけに、「オールクリア」が大切な投手だ。ジェフ、久保田が打ち込まれ、逆転され、点差を広げられる。歓喜の甲子園は、抗議のジェット風船が飛び交う不穏な空気。結局、この日藤川を迎えることはなかった。


福原の青白い炎はいつしか消えた。試合が終わって、人影が少なくなったベンチ。福原が見つめていた虚空が巨大化していた。まったく動けない福原の肩を誰かが叩く。我に帰るでもなく、大きく息を吸い込み福原が姿勢を変える。納得はできないだろうが、気持ちは整理できたのだろう。
負けるなよ、タイガースのエース!

Posted by torao at 08:37 | comments(17)
[投手]福原
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おはようございます。
昨日のエース対決はロード明けで連敗を止めるため、これからのムードのため岡田監督はJFKの復活で勝利とこだわりたかったのででしょうか・・・6回を0点で押さえていたエースに「今日の試合はまかせた!」ぐらいの気持ちで任せたらどうだったんでしょう。あくまで結果論です。

それにしても改めて後半戦のはじまりから振り返ってみると、中日が負けると阪神も負け、阪神が勝つと中日が勝ち、そして直接対決でゲーム差をあけられるといったパターンですね。あきらめが悪いのかまだ逆転優勝を夢見てる自分がいます。
toraoさんはどうですか?
| 河内の虎 | 2006/08/26 8:55 AM |
「なんでそうなるの・・・」by岡田監督

いくらJFKが揃ったといってもいきなり結果は出ません。
オールスター後の福留選手は例外ですが・・・

たぶん岡田監督は焦っているのです。
球団から出された宿題が済んでいないので

こんな時は一日ディズニーランドにでも行ってリフレッシュしてから・・・
そうWBCのメキシコチームの様に奇跡を起こすのです。
| KIKI | 2006/08/26 9:49 AM |
toraoさんが毎朝、「虎生活習慣を改善」の処方箋をだしていただけるのが救いです。私だけでない、沢山のタイガースファンは、この処方箋で救われていることでしょう。ただ、この処方箋、日によってピリン系、非ピリン系、向精神薬系、プラシーボ・・・と、バラエティーに富んでますが(笑)。

今日の処方箋、胃にやさしいわりに、よく効きました。ありがとうございます。
| いわほー | 2006/08/26 10:07 AM |
福原の交代も残念でしたが、
通算100勝となる上原の降板も残念。
エースを信用できないというか、
エースと心中みたいな気持ちがないのがおもしろくないなぁ。
もう、原みたいな監督の下じゃ、やってられんね、上原も。

と、とにかく読売を悪者にして心を落ち着かせてみる。(笑)
| grayghost | 2006/08/26 11:08 AM |
負けた試合の帰り道、辛さ倍増でした。

今はtoraoさんの処方箋もあり、落ち着きました。

私の観戦翌日の勝率は10割です。この記録に期待しときます。記録が途切れたらごめんなさい。
| | 2006/08/26 11:20 AM |
昨日のベンチでの福ちゃんの姿が蘇ってきました(泣)
続投で打たれたのなら納得できたのですが・・・。
ブルペンの空気、中西コーチは読んでないのか?と怒りまくっておりました。眠れませんでした。
上原に2本のヒットを許したのも悪いのは確かですからもちろん反省もして欲しいです。
岡田監督も継投のミスを口にしたようですし・・・。

次の登板が心配ですが、貯金6個の堂々たるエースには間違いありません。
気持ちを切らさないでと願うばかりです。
頑張れ福ちゃん!



| NANCY | 2006/08/26 11:23 AM |
「耐え難きを耐え、忍び難きを忍ぶ」

真の「エース」と認められるその日まで・・・頑張れ!福原忍。

・・・・・私なんかねぇ〜、福原くん、聞いてくれる?
この40年程の間、ず〜っと「耐え難きを〜」みたいなんばっかだったんだから。。。
イヤ、ホントの話、タイガースファンはそんな感じだったんだから。。。(泪)

まあ、どーでもいいんですけどネ、そんな事。
さあ!今日の試合、今日の試合。
気合入れて応援スルゾー!(笑)・・・テレビの前でだけど・・・
| 3児の母 | 2006/08/26 11:34 AM |
昨日は全く試合を見れなかったんで、交代に関しては何とも言えないんですが、一昨日の安藤も打ち込まれる救援陣を凄い顔で見てました。 築き上げてきた信頼感への影響が心配です。

何かベンチもこの状況で明るくしてたらあかんみたいな雰囲気にみえますし(鳥谷は楽しそうw)、みんな試合を楽しめる様になればいいのになぁ。
| KEN | 2006/08/26 11:38 AM |
今年やっと一皮向けて、エースに成長しようとしているフクにあの場面での交代はないやろ・・・
D戦よりも一人のエースを育ててほしかった。

無論、岡田監督も諦めてへんから、ああゆう継投に出たと思うけど(Dを追いかける為にはJFK復活が大前提とゆう考え)

toraoさんのゆうとうりジェフかて気持ちが乗らない継投やったと思う。

最近、ピッチャーの使い方を見てるとブルペンとベンチの息が合ってないような気がしますね。

フクの気持ちが切れない事を祈ります。
| でんまん | 2006/08/26 12:28 PM |
>「エース扱い」だが、エースではないのか…。エースにこんな交代はないだろう…。
あぁ・・・、この部分がイタイイタイ!!

選手に「なぜ?」と思わせるようではアカンのですよねぇ。
特に選手と監督が信頼でつながれてるような関係の場合、選手には納得とそこに至るまでの気持ちのプロセスが大事だと思うんです。

今年の試合で「何を考えてるんや!!」となったのは、球児の3イニング登板についで2回目でした。
あ〜、つらいわぁ。
| kaleido | 2006/08/26 1:51 PM |
福原は「半返し理論」を井川だけでなく監督にも説明してやればよかったのに。
そうすれば、あの場面、1点とられるまでは、投げさせてもらえたはず。

とにかく、福原がエースであることは、ファンの多くが認めているゾ!
顔を上げて、次のD戦に臨むのだぴょん。
| 一虎ファン | 2006/08/26 1:59 PM |
私も、時に侠気を感じる岡田監督は歴代の監督
の中でも好きの部類に入ってるんですが、昨日の
継投だけは許せなかった。
シーズンは出遅れたが、それを補って余りある活躍を
見せた投手に対するやり方か!!
嫁曰く、「昨日は試合終了までボヤいてた」
ハッキリ言って、交代の後の試合経過が思い出せません。
気が付けば2−5で負けてました。
多分ブチ切れてたんだと思います。
唯一覚えているのは「そんなにJFKの継投が
優先するんか!!」
と喚いた事。
JFKの復帰がベンチとブルペンと他の選手の
歯車を狂わせているとしたら、チョット皮肉ですね。
首脳陣、チャンと福原にフォローしてやれよ!
じゃないと終わってしまうぞ!
| 西田辺 | 2006/08/26 2:13 PM |
まぁね…

試合を見れるにも関わらず,途中から見なかったのは初めてです.

優勝はムリでしょう.そんなのことはわかっています.が…

あそこまで覇気の無い試合を見ると怒りしかありません.
| 祐二君かなぁ | 2006/08/26 5:30 PM |
昨日も云ったけど、もう阪神は終わってますよ。それでも尚、岡田監督を認める発言の多いのには阪神ファンの暖かさというより、マゾ的アホさ加減を感じます。野球というのは、やはり勝負事なんですから、ワザワザ、勝ちゲームを自分から負けに持っていくアホさが理解できません。ファンにたいする侮辱ですよ。それすら解らないのですか?広島は勿論、巨人の原監督の采配の方が遥かに優れていることをわざわざ証明してあげて、今日の原の勝ち誇った顔を
見ましたか?昨日・今日の負けは1・2試合だけでなく、來シーズンへの展望にも負けを取った「致命傷」なのを、痛切に感じたら、球場の阪神ファンなら、ベンチ前にメガフォンを投げつけて、そのだらしなさに抗議すべきです。
あまりにおとなしすぎる観客に眼を疑います。
ファンがまず目を覚まして怒るべきところは怒る・・・さもないと、すぐ昔の(もうすでに)
ダメ・虎に復帰しますよ。このコメントも削除されるのでしょうが、どうか早くアホは顔だけにして目を覚まして欲しいのが、ベンチへのせめてもの願いです。
| 冥王星 | 2006/08/26 10:53 PM |
今日はちょっと忙しかったので、もう寝ます。
冥王星さん、今日のは昨日のよりはちょっと面白いので消しません(笑)。でもやっぱり公式ボードルームに書くべきですよ。ファンが球団に抗議できる場所ですから。メガホン投げるのも結構。自分の責任でやれば良いことです。いずれ、こことは主旨が違うようですので、公式へどうぞ!
| torao | 2006/08/26 11:28 PM |
とらおさん、有難う。本当に抗議したいのは勿論、仲間の阪神ファンではなく、球団そのものです。公式を探して猛省を促します。一度公式サイトを教えて戴いたと思いますが、そのコメントも併せて削除された様で、今日は「甲子園球場事務所」に電話して、ファンが可哀想と抗議しておきました。無論、無回答、無視です。
皆さん、引き続きご健闘を祈ります。
| 冥王星 | 2006/08/26 11:47 PM |
あ、そうそう河内の虎さん、逆転優勝はそりゃしても良いけど、しなくてもケッコウ。それより、しっかり野球せいって感じです(笑)。
冥王星さん、公式ってのはこちらです。すさみまくってますけどね。私は一切見ないことにしています(笑)。
http://www.hanshintigers.jp/voice/bbs/page/1.html
| torao | 2006/08/27 10:11 AM |

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