自称阪神タイガース評論家（跡地）

金村が通算２４０試合登板、８８勝７５敗、防御率３．８８、今季年俸１億８０００万円。中村が通算２９試合登板、３勝２敗、防御率４．２２、今季年俸１２００万円。まるで間をすっとばした「わらしべ長者」のような交換だが、思惑がぎっしり詰まった面白いトレードだ。

Ｆにとってみれば、金村は華麗に処分しなければならない投手だった。
経営側の思惑とすれば、リーグ連覇による論功行賞で自然人件費を上げなければならず、その財源確保のためにコスト高の選手を切っていくことになる。金村コストはどうにかしないといけない課題だが、色々と問題はあってもエースとして４年連続フタ桁勝利を記録した、弱かったファイターズの功労者、下手に扱えばチームの士気低下に繋がる。しかし元々コストカットが目的だから、トレードするにしても「不平等」になるのは当然。したがって「損切り」の印象を残さないためには、金村にとって希望に満ちた（ように見える）トレードにするしかない。
ところがこれが実に売りづらい投手なんだな。ピークを越したように見える成績もさることながら、何と言っても去年の監督批判事件の傷、さらにはＦＡ権取得というタイミングでもある。
金に困ってなくて、先発に困っている球団がタイガースだった。しかも安くて面白い選手、特に希少価値の高い左投手がゴロゴロ眠っている。Ｆの梨田新監督は、関西スポーツ紙に所属しタイガースをつぶさに見ていて、ヤスの潜在能力の高さ、環境や使用法を変えることで大きく化ける可能性を感じていただろう。タイガースの現場サイドでも、環境を変えてやった方が本人のためという考えが出てきても良い頃だ。


とはいえ、ヤスが抜けるのは寂しいよなぁ。ブログ開設以来、私が「もっとも応援している選手」と公言し続けた選手だから。
星野監督で優勝した０３年、ルーキーイヤーに開幕一軍抜擢。大量リードの場面でデビューするも、ストライクがまったく入らない。罵声飛び交うスタンド、マウンド上で目の焦点が定まらないヤス。あれがタイガース中村泰広の原点だ。
なんとかあのトラウマを乗り越えて欲しいと皆が願う。ブルペンの投球はピカイチ、二軍戦では無敵。でも大事なところでノーコン病が出てしまう。わかっていても打てないと言われる超一級品のスライダーを持っているのに。

それでもヤスは少しずつ成長していた。球種も増えたし、組み立てに変化をつけることもできるようになった。去年の初勝利、嬉しかったねぇ。打線の援護をもらって、苦しいところでは同じ中学の同級生だった関本に声を掛けてもらって、なんとか５回まで踏ん張った。ヤスに初勝利を！リリーフみんなで繋いだ１勝、良い試合だったよな。
今季も２勝。もっともっと我慢して使ってやって欲しかったけど、やっぱり信頼を得るような投球内容じゃなかったから、その後のノーチャンスは仕方なかったかな。
それでもこうして梨田監督に引っ張ってもらえるってのは、ヤスが必死で頑張っていたからだと思うんよ。八の字眉毛におちょぼ口で、「気が弱い」が帽子かぶっているみたいな顔なんだけど、あの屈辱を晴らしたい、強い自分になりたいと、必死で努力しているのを見ていてくれたんだと思うんよ。梨田はんに恩返しせいよ。岡田はんに恩返しせいよ。
新しいユニを来て、札幌で開花するヤスを楽しみにしているからな。頑張れヤス！