自称阪神タイガース評論家（跡地）

先発の能見は直球に勢いがあって、グイグイ押し込んでいた。お互い様ながら、球審渡田の狭いゾーンに苦しんだ。右打者の内角への直球、いわゆるクロスファイアをもう少し取ってくれたらなぁ…。連続四球や連打で失点を重ね、ピリッとしなかったが、相手打線もよく振れている。良くなっている途中というところかな。


タイガースのブルペンに何が起こっている？５回を終わって、１点リード。先発能見はいっぱいいっぱい、さあ、どう継投しようか。江草、ダーウィンで、６，７回、最後はＪＦで締めというのが必勝パターン。ところが実際は、桟原が2/3回、江草とダーウィンが１回2/3ずつ。前日ウィリアムスが２回投げているし、藤川があの３イニングス以来肩に張りがあるということで、回避したのだろう。二人とも深刻な故障などではなく、「無理するな」って感じであることを願う。

その桟原、結果的にピンチを招いて、１回投げきれなかったが、キレのある速球は良かったよ。これからは出番が増えるね。

４回ウラ、赤星にクリーンヒット。前につんのめっておよぎながら、バットのヘッドを返してライト前へ。この打撃を待っていた。これが出れば打率も上がる。
そして、２番関本との間でカウント１−２からヒットエンドラン成功。無死一三塁にチャンスを拡大した。たった一つのエンドランがこんなに嬉しいだなんて、このチームのファンで良かった（笑）。ブルペンの危機が、首脳陣を、選手たちを集中させているんだろうね。赤星は、１回表にもクッションボールの処理から好返球で三塁打を狙った嶋を刺したプレーなんかがあって、ちょっと気分も上昇中だろうと思う。


なぜ金本はあの場面で満塁ＨＲを打てたのだろう。ちょっと痛いところがあった方が力が抜けて良いなんていう言葉を昔から聞くが、要は集中力の問題なんだろうと思う。
１点のリードを守るスペシャリストたちを使うことが出来ない。４番打者として、本来この試合の責任を負うべき場面を迎えて、金本はケガを言い訳にできない。金本だからこそ、ケガを言い訳にすることは絶対に許されないのだ。仕事ができなくても、記録のために使ってもらっている…もし誰かが一人でもそんなことを言い出せば、価値が激減する記録、そんな因果な記録を継続している者が背負う運命だと思う。だから金本はここで働くと思って見ていたよ。まさか放り込むとは思わなかったけどね。
それにしても、ケガのなかった今まではＨＲがパタっと止まっていて、危機に直面した時にドカンと出る。これはケガもさることながら、この試合、ジェフも球児も使えないという、「チームの危機」が大きく影響していたのだと思う。誰かに危機が迫る時、自分の逆境を苦にせず大活躍するのが真のヒーローなんだな。

普段から、危機に備えて準備をしておくことが大切と言う。本当にその通りだと思う。その反面、訓練は訓練でしかなく、いざその危機に直面した時に、訓練通りのことができるとも限らない、危機における本当の強さっていうのは、何かちょっと違うもんであるような気もする。そんなことを考えさせられた試合。
タイガースの危機は続く。ひょっとしたら、その危機はより大きくなったのかも知れない。だが、なんの根拠もないのだが、これからその危機を救うヒーローがどんどん出てくるような気がする。