自称阪神タイガース評論家（跡地）

それで紅白戦ができるんだから、すごいよね。歴史と伝統の安芸キャンプも立てて上げたいけど、もう春の一次キャンプは沖縄にかなわない。


さてこの時期は、打者が生きた球に目が慣れていないので、どうしたって投手の方が好結果を残すことが多い。この日もそのとおりだった。ベンチ入りのチャンスが大きい赤松、前田忠が良いアピールをしている。中村豊、秀太ら、永年その地位を保っている脇役たちをどかせるかどうか。今は下にいるライバルは経験と知恵が抱負なので、逆転は容易じゃないが、今季は戦えそうな予感があるね。

なんといっても投手陣が見ものだった。全員２回ずつのテスト投球。江草、能見、橋本健、太陽、筒井、中村泰と、よくもまあこれだけ「ブルペンエース」を揃えたなあって感じ（笑）。江草と能見は気が小さいというよりはムラっ気というべきなのだろうけどね。
中で見劣りしたのがハシケン。濱中の頭にぶつけるなど不安定な内容だった。１回目は変化球中心、２回目は直球中心で組み立てたのだが、いずれも下半身の粘りが足りない安易な投げ方になっているのが気に入らない。ハシケンの持ち味は、でっかい体をでっかく動かして、しっかり前に乗ってくるフォーム。それによって直球は威力を増し、変化球は途中であり得ない弧を描く。まあこれから上げてくれば良し。

サイドハンドに変更した筒井は見違えるほど良くなった。明らかにこの投げ方が向いている。胸の筋肉、背中の筋肉、腹の筋肉は、例えれば板ゴムのようなものがいろんな角度で伸び縮みしているもの。筒井の場合は真横から投げるための筋肉が強いのだと思う。今まで感じさせたムダな動きが取れて、体の動きによって発生するエネルギーが素直にボールに伝わるようになっている。左右どちらの打者にとっても内角を衝かれると怖さを感じる投球フォームだと思うし、大きな幅で動くスライダーは武器になる。でまた１３０キロそこそこの直球が面白い。なんの球種かわからないようなヌルっと出てくる球で、最後はややお辞儀しながら低めいっぱいに制球されていた。伸びや切れとは関係ない球で、打者にストレスを与えそうな感じ。

太陽がブルペンどおりに投球できていた。実はここまで太陽の状態は非常に良かったのだ。でもそれは毎年のこと。実戦が進むにつれてボロが出てくるのが常だったのでおとなしく見守ってきた。しかし脱皮の予感がありありだ。
投げ方がスムーズになった。見た目には柔らかくなった。弓を引ききった位置からの切り返し動作で上半身全体に力が入るクセが取れて、背骨の軸がブレなくなった。下半身の使い方、特に重心を前方にスライドさせ、左足を着地させる動きにショックがなくなった。去年ならどうやっても高くいってしまっていた直球が、低めいっぱいに決まるようになった。しかもそのボールは回転が良く、叩きつけるような角度から、しっかり伸びてきて高さを保つという、質の良い球なんだ、これが。構造計算上、その投げ方なら当然低めに決まる、そんな投げ方をする太陽を見ていると、ここに至るまでどれほどの筋トレやネットピッチが必要だったのだろうと思う。表情にも自信が溢れている。変化ありだ。

他の投手も良かったよ。もっとも、こんなところでビビリ丸出しにしてたら話にならないんだけどね。これからのしかかって来るプレッシャーにどう耐えていくのか。ふるいにかけられても、着実に自信の上塗りができる投手が、いっぱい出て来ると良いね。