自称阪神タイガース評論家（跡地）

　まさにその通りであるが、「もうレギュラーを保証されてはいない」という言い回しに、なんとなくひっかかるものを感じる。言葉のアヤに過ぎないのかもしれないが、本心はこういうちょっとした言葉に出たりするものだ。

　今岡はまだ現実を受け入れられていないように感じたのだ。現実は「レギュラー保証」がないのは当たり前のこと、真弓監督のレギュラー候補としては低く格付けされていると思う。レギュラーの守備位置は固定すべきという考えを示している真弓監督が、今岡は一塁も練習すべきと明言しているのが、三塁のレギュラーとしては考えていないことの証明。加えて新井を三塁に回す考えはないようだから、元々今岡をレギュラーに置くという考えはもっていないことは明確。サードレギュラーの座を自ら手放した現在の今岡の位置付けは、「ファースト新井のリザーブを目指せ（ただし現状ではそれも容易ではなく、ライバルも多い）」といったところ。

　現状認識がズレているのかという心配に加え、「もうレギュラーを保証されてはいない」という言葉には、まだ過去を引きずっていると感じさせるものがあるということ。あるべき心理状態と、現状とのズレ。
　過去があって現在がある。だけど一度失ってしまったら、「栄光の過去」ほど邪魔なものはない。首位打者を取った自分も、打点王を取った自分も、レギュラーを保証されていた自分も、今はもういないのだ。それでも現役を続けていくというのなら、過去をすべて断ち切らなければいけない。もちろん本人も過去を断って正しく現状認識しなきゃいけないと思っていて、だからこそこういう発言になったのだろうとは思う。それでも覚悟を語るその端っこに、失ってしまったことへの悔恨が見えるような気がする。過去の自分に縛られている印象を受ける。

　「説明が難しい打撃」それが今岡の本領。だから「過去の今岡」はもういない。いるのは「今の今岡」だけ。心の整理と打撃成績が密接に関係する男だけに、真弓監督には上手くリードしてやって欲しい。