自称阪神タイガース評論家（跡地）

　と、オリンピックや熱帯夜続きの昨今なので、こうやって自分で気分を上げていくのも大事なことだよね（笑）。スワローズがベストメンバー組めなかったり不調の選手もいたりで下がり気味なのはあるけれど、でもそこを逃さず、気持ちよく打ち勝ったのは間違いない。

　３回まではイヤな感じ。立ち上がりメッセンジャーが犠打をはさんで４安打集中されて２失点、どんだけやられるのかと思ったがなんとか踏ん張り、２回の無死二塁、一死一三塁も相手のバントミスや併殺で切り抜けた。攻撃では３回に二死満塁と攻め込んだが４番新井が追い込まれてから振れずの当てにいった二ゴロで無得点。

　いつもと同じようで違っていたことは、初回二死から鳥谷が出て、すかさず走らせたところ（盗塁失敗）。和田監督の動いていくという姿勢は出ていた。

　まあしかし４番が満塁の好機で振り切ってくれなかったという、情けなく、そして慣れっこになった「よどみ」をスイープしてくれたのが４回表二死、相川が打った右中間まっぷたつコースを大和走って走って走って跳んでダイビングキャッチ！まさに風のような軽やかさでモヤモヤを払ったプレーだった。

　で４回ウラ、一死後マートン、良太、藤井とシングル３連打。しかも藤井の普通の右前打をライト松井淳が「トラップミス」、コロコロの間に三塁ストップのマートンが還って１点差、さらに走者それぞれ進んで一死二三塁。

　ここで変化を見せたフリーズ和田改めムーブ和田、立ち直りつつあったメッセンジャーに代打浅井。そうそう、勝負しない、固まってしまうでおかしくなったチームなんだから、どんどん動かないとね。良かったと思う。浅井も期待に応えて、スワローズ先発石川から粘って粘って四球で繋ぎ、一死満塁。さあトップに戻って平野、しかしここは結果最悪の遊併殺で好機を逸す。惜しかった。

　勝負を賭けて、結果同点逆転にできなかった…そんな下がり気味の気分で迎えた５回表、マウンドには二番手鶴。９番打者からのこの回を鶴がスイスイっと抑えたことで、球場の雰囲気は完全に「よしいける！」で固まった。動く、換気してよどみをなくす、スタンドのイメージを「いける」にする。甲子園ではこれがことのほか重要だと思った。

　あとはもうノリノリだった。前の試合はＨＲラッシュ、さっきの回はシングルラッシュ、そしてこの５回ウラは二塁打ラッシュだ。一死後、鳥谷左中間二塁打、新井右中間二塁打、金本右線三塁打（松井淳が普通にクッションを処理していれば二塁打）、投手右の増渕に代わっても、マートン右中間二塁打で続く。強く振れているのも素晴らしいが、打球が人のいないところに飛んでいくのも素晴らしい。アグレッシブになった和田監督へのご褒美だ。続く良太は死球（死球の時もおもしろい）藤井倒れて二死一二塁、まだ投げさせたい鶴に回るとここも躊躇なく代打ブラゼルと動く。ブラゼル、代わった左の正田から嬉しい久々右前タイムリーヒット！一気に５−２と逆転。

　加藤が６回を好投で繋いでいる間に、６回ウラは鳥谷、新井の連打とマートンの四球で得た二死満塁で、良太のぐしゃっというゴロが三遊間を割って二者生還。これなんかも良太がしっかり勝負して、振っていることと、和田監督へのご褒美っぽかった。

　７回を加藤→渡辺、８回を福原、９回を筒井で綺麗にリリーフ勝ち。勝利投手は、流れを持ってきた鶴。これまたここのところの働きへのご褒美。さらに日程を見て、先発のご褒美も考えてあげていい。打った人たち、ヒーローインタビューの新井金本（球団広報の気持ちは痛いほどわかる。でもスタンドの反応は正直だったのではないか）もいいが、この日はいつもと逆に強く吹いていた甲子園の風のように、空気をフレッシュにしてくれた大和のプレーと、鶴の颯爽とした投球に「いい点」をあげたい。

　そんな気持ちの良い試合に唯一不満を言うなら、和田監督が岩本デビューの機会まで踏ん切れなかったことかな。勝ち試合でヘマやって流れを失っては…という気持ちなのだろうが、経験のない若手を使うことは絶対にヘマにならない。平常心がないと思ったらすぐに先輩に代えてやればいいだけのこと。それがまたチームの団結に繋がるし、なにより監督が将来のチームのために「勝負している」「動いている」ということになるからだ。

　一気に満点というのもそれはそれで気持ち悪いので（笑）、この先の楽しみにしたいと思う。