自称阪神タイガース評論家（跡地）

　前週は１失点で初完投（負け）だったので２週連続で文句なしの結果を出した。初昇格時は残念ながら登板機会なしだったが、しっかりモチベーションを上げられている。本人にはもちろん「あっぱれ！」だが、一二軍のコーチングスタッフにも「グッジョブ！」（たまには）。今週は歳内、来週は岩本かな。できれば二人とも上で結果出して残れ！

　中村ＧＭ正式発表が目前となり、いろいろとにぎやかになってきた。

（「若手の積極起用」について）「その気持ちはないね。競争社会だから。１軍の力に達していないものを無理やり使うことは賛成できない。みんな生活を懸けてやっているわけだから、不公平感があってはいけない。レベルが達していれば別だけど、そうでないのをわざわざ使えない。ファン受けはするかもしれないが、現場はそうはいかない」（スポニチ）

　言ってることは決して間違っていない。むしろ正しい。だけどそれは「高額年俸者優遇について」を問われた時に語るべき内容だと思う。「若手の積極起用について」と問われた時は、「将来伸びる可能性は最大限生かしてやりたい」とだけ語れば良いと思う。
　この言葉の背景には、暗黒阪神と暗黒オリックスでの経験があるのだろうと思うが、現在のタイガースはまた違った境遇（鬱屈した若いエネルギーが爆発寸前の兆候を見せている）ということを感じとっていないのかも知れない。それと就任前からファンとケンカしようとしているところにセンスのなさと、余計なエネルギーを使ってしまうガキっぽさを感じる。

　さて、この試合、スタメンの年齢は、上本26歳、大和24歳、鳥谷31歳、良太29歳、新井35歳、狩野29歳、俊介25歳、小宮山26歳、岩田28歳。平均は28.11歳。で、タイガースのヒットは８本だったのだが、打ったのは上本１、大和３、良太２、俊介１、小宮山１。ヒット１本あたりの平均年齢は、25.88歳だった。以上、「とりあえず計算してみた」のコーナー終わり（笑）。

　岩田が低めに球を集める本来の投球で７回１失点好投。１点差逃げ切り態勢で、福原、藤川はハラハラの状況を迎えたがなんとか振り切って僅差勝利。
　下位からのチャンスで１番上本の打撃、４番良太の一発。いじりまくっているオーダーの中で、和田監督が腹を決めている二人が決めた試合は、ある意味で会心の一戦だ。
　しかしながら二人揃って走塁ミス（復活狩野の「先制犠飛」だったのに、三走良太は途中で謎のストップ。久慈コーチの指示を「ストップ」と空耳しちゃったとかなんとか考えられん。上本は前日の俊介の裏返し、一死二塁で大和のヒット性ながら「荒波アウト」のセンターフライで飛び出し戻れず併殺）。毎日勉強することが多いのはいいが、微妙に間違いの繰り返しになっているのが良くない。もちろん選手も学習だが、コーチングスタッフも責任を感じるべき。

　それにしても良太の一本は気持ち良すぎた。外角低めに逃げ落ちていくチェンジアップ。それは球の軌道を追いかけるから「逃げ落ちて」いくように見えるだけであって、そう思うから「追いかけていく」打ち方になってしまって、不細工な「およぎ」になる。ところがこの打席の良太は、早めのタイミングでゆっくりと足を上げてバットを引き絞ってピタッと静止して球を待っている。チョウチンアンコウがエサの小魚を待つように静かに目の前の球を見極めている。予想通りチェンジアップが来ると察知し、最終到達点を判断し、そこに球が来ることを待って確実に捉える。良太には「逃げ落ちる」ようには見えず、ミートポイントに向こうから近づいてくれたように感じただろう。難しい球を簡単に打った球は、レフトラミレスが一歩も動けないスタンド上段に飛び込むホームラン。４番の階段を登っているのが感じられる一撃だった。