自称阪神タイガース評論家（跡地）

　意識して外面を作れる捕手、男。本人の言葉もさることながら、周囲の選手たちの声で城島という人間が浮かび上がっていく。

杉内「城島さんはマスク越しに『お前はここに投げられないと勝てないんだぞ』と語ってくれていた」「厳しく、そして優しく接してくれた先輩。今の僕があるのは城島さんのおかげです」（報知）

イチロー「細やかですよ。ちっちゃいことにすぐ傷つくし。それを横でずっと見ていた。翌日声を掛けると、凄くうれしそうな笑顔を見せてくれたり。人間らしい男」「生涯のチームメートであることに変わりない」（スポニチ）

金本「２００３年の日本シリーズを（城島がいた）ダイエーと戦って、結果的に負けたんですけど、ジョーは４本塁打、僕も４本打った」「２０１０年に阪神に決まって、一緒にプレーできるのが楽しみというかワクワクしたのを覚えている」「『肘を手術したらどうや』と話をしたんですけど、あいつの性格なんでしょう。『手術したら１年半はプレーできないらしい、それは球団に申し訳ない』と言っていた」（デイリー）

　０３年の日本シリーズは本当に楽しいシリーズだった。城島と金本という二人の千両役者を中心に、両者一歩も譲らないがっぷり四つ。もう９年も前になるんだな。

　若い頃の思い出もある鳴尾浜で、今日引退試合という報道もある。
　筋の通った潔い引き際。あふれる涙にはどんな思いが込められているのか。自分が自分であるために。金本もかっこいい。城島もかっこいいな。

　話題を変えて、こういう話をするのはあまりにも失礼だということは承知だ。でも城島の言葉、かっこいい涙を見てひとしきり心が動いた後、試合中継で和田監督の顔を見て、そこに言いようのないかっこ悪さを感じてしまった。
　「一度の失敗をもって、１年で辞めさせるわけにはいかない。ただしまったく信用に足らない」というフロントの評価を得て、来季和田監督は「和田監督であること」を一切許されないのではないか。「院」に中村ＧＭがいて、「執権」を黒田ヘッドが務める、周りを実績あるベテランコーチに囲まれて、事実上監督は和田豊でなくても、別の誰かでもいっこうに構わないということにならないか。
　このままでは辞められないという思いは強いだろうが、それよりもすべてを受け入れることの方がよっぽど和田豊の尊厳をズタズタにするのではないか。それでもそれを受け入れるのが組織人なのか。そもそも指揮官とは「良識ある組織人」が務めるべきものなのか。

　和田豊の捲土重来は、責任を感じていない球団フロントが敷いた来季のレール上にはない。
　男なら命賭けて辞任。和田豊は修行の旅から巻き返せ。そんなことを城島引退会見で思ってしまった。

　試合は、なんで今まだそんな試合やってるの？どうして走者進めるための大胆な作戦や、実力テストをバンバンやらないの？とりあえず岩田は味方の攻撃を期待の目で見ないこと！