2005.10.05 Wednesday
負けてしまったが、井川と三浦の投げ合いは見所があったし、両チームとも素晴らしい長打、連打があって、良い試合だったと思う。ベイスターズ打線の気迫、集中力は相当なもので、この1試合に限って言えば、「勝ちたい」という結果にこだわる気持ちの質で負けていたかも知れない。1回ずつ投げたウィリアムス、桟原がそれぞれ1点を失ってしまったが、そういうわけで心配なし。
林、プロ1号HR。直球狙いでタイミングを取っているところ、初球は緩いカーブが外れる。2球目も同じ球。林は直球のタイミングで下半身を始動させたが、一度右足に重心を受けて、そこでしっかりと時間を作ってタイミングを合わせた。その間、上半身の動きにはまったく緩みがなく、弓を引いた形をキープ、アゴを引き、小さく鋭いスイングでジャストミートした。乾いた音が響き、打球はライトスタンド前列へ。初々しく速い足取りでダイヤモンドを一周した。非凡の一言。
続けざまに金本40号。ラッキーゾーンのない甲子園、浜風の中の左打者。偉大な記録、おめでとう!
赤星の追撃のタイムリーは、実に久々に一二塁間を抜いた。そっちへの打球が欲しかった。良くなってくるだろう。
1年前の同じ日にノーヒットノーランを達成した井川、野口のバッテリー。その再現とはならず、敗戦投手となってしまった。長打によって4失点した事実をねじ曲げるつもりはないが、状態は非常に良かった。体の開きを我慢して、腕をタテに強く振り下ろし、手首をしっかり返すこと、投球の合間に野口が身振りで注意を与えていた。軸足の蹴り込みに力強さがあり、一方上体には力みがなく、直球の威力は好調時のものに近かった。上下のバランスが良かったため、強い球を投げた後もしっかりと捕手側に正対して、守備動作に移っていた。変化球は原点に帰り、チェンジアップを多投した。高目へのすっぽ抜けも少なく、外の良い所に決まる球も多かった。スライダーのキレも良かったので、右打者の膝元に曲げ落とす使い方も有効にできていた。
変わったのは「気合」だ。どんな心境の変化があったかは知るよしもないが、この日のプレーには気持ちが入っていた。2度打席に立ち、2三振を喫したが、ボールに食らいつき、ファールで粘り、ベイ先発三浦にそれぞれ11球、10球と投げさせたあたりにも気持ちが見えた。その気持ちに応えるように、野口の配球はあくまでも直球でグイグイ、しかもストライク先行で少々強引に攻めた。ボール球を配して、慎重な組み立てをすれば防げた点もあっただろうが、まず今の井川にはこの投球が必要だったと思う。相変わらず、左右低めへの直球の制球力には課題を残したが、シリーズに向け急角度の上昇カーブを見た。
9回ウラ、最後の攻撃、マウンドにはクルーン。この日ダーウィンとともに赤松が一軍登録されたのを知っているTファンは、シーツ、スペンサー、桧山と続く代打陣のうち、一人でも出塁して欲しいと願っていただろう。シーツ三振、スペンサー三ゴロ…。と、思ったら友寄塁審から「物言い」。クルーンの二段モーションで、プラプラさせる左足が地面についたためボーク、「取り直し」となった。結果、スペンサー的四球で出塁、予定通り代走赤松の登場となった。なかなかラッキーなお目見えじゃないか。
黒いストッキングを見せるスタイル。俊足ですよ!脚を見て下さい!という表現。華奢な体に大きな背番号52。両手首には赤いリストバンド。もう一人のレッドのデビューだ。観客は打席に入った人気者・桧山にこの日一番の大声援をひとしきり送った後、「走れ!走れ!赤松」を三度コールした。初球、フォーク、ボール。赤松そのまま。キャッチャーミットにボールが収まるのを見届けると、ぴょんと弾むように一塁ベースに戻った。赤松の今日のミッションは、「盗塁企図」だ。アウト、セーフは二の次。スタンドから「走れ!走れ!赤松」が三度。第2球、直球、ボール。赤松そのまま。カウント0−2。バッティングカウントになって、続く2球も赤松は動かなかった。動けなかったのかも知れない。ベンチにとっても、この場面は桧山の打撃より、赤松の走塁に注目をしているのだ。カウント2−2、絶対にスタートを切らなければいけないところ。クルーン始動、赤松のスタートは一瞬遅れた、低い姿勢から加速、フォーク桧山空振り、相川二塁へ送球、二塁にボールが到達した時、赤松はスピードの落ちないスライディングで、勢いよく二塁ベースに突っ込んでいた。プロ初盗塁成功。ラッキーなことに、続く代打関本のヒットで、プロ初得点も記録した。
これからいくつこの甲子園で盗塁を決めてくれるのだろうか。その第一歩をしっかりと見届けさせてもらった。
林、プロ1号HR。直球狙いでタイミングを取っているところ、初球は緩いカーブが外れる。2球目も同じ球。林は直球のタイミングで下半身を始動させたが、一度右足に重心を受けて、そこでしっかりと時間を作ってタイミングを合わせた。その間、上半身の動きにはまったく緩みがなく、弓を引いた形をキープ、アゴを引き、小さく鋭いスイングでジャストミートした。乾いた音が響き、打球はライトスタンド前列へ。初々しく速い足取りでダイヤモンドを一周した。非凡の一言。
続けざまに金本40号。ラッキーゾーンのない甲子園、浜風の中の左打者。偉大な記録、おめでとう!
赤星の追撃のタイムリーは、実に久々に一二塁間を抜いた。そっちへの打球が欲しかった。良くなってくるだろう。
1年前の同じ日にノーヒットノーランを達成した井川、野口のバッテリー。その再現とはならず、敗戦投手となってしまった。長打によって4失点した事実をねじ曲げるつもりはないが、状態は非常に良かった。体の開きを我慢して、腕をタテに強く振り下ろし、手首をしっかり返すこと、投球の合間に野口が身振りで注意を与えていた。軸足の蹴り込みに力強さがあり、一方上体には力みがなく、直球の威力は好調時のものに近かった。上下のバランスが良かったため、強い球を投げた後もしっかりと捕手側に正対して、守備動作に移っていた。変化球は原点に帰り、チェンジアップを多投した。高目へのすっぽ抜けも少なく、外の良い所に決まる球も多かった。スライダーのキレも良かったので、右打者の膝元に曲げ落とす使い方も有効にできていた。
変わったのは「気合」だ。どんな心境の変化があったかは知るよしもないが、この日のプレーには気持ちが入っていた。2度打席に立ち、2三振を喫したが、ボールに食らいつき、ファールで粘り、ベイ先発三浦にそれぞれ11球、10球と投げさせたあたりにも気持ちが見えた。その気持ちに応えるように、野口の配球はあくまでも直球でグイグイ、しかもストライク先行で少々強引に攻めた。ボール球を配して、慎重な組み立てをすれば防げた点もあっただろうが、まず今の井川にはこの投球が必要だったと思う。相変わらず、左右低めへの直球の制球力には課題を残したが、シリーズに向け急角度の上昇カーブを見た。
9回ウラ、最後の攻撃、マウンドにはクルーン。この日ダーウィンとともに赤松が一軍登録されたのを知っているTファンは、シーツ、スペンサー、桧山と続く代打陣のうち、一人でも出塁して欲しいと願っていただろう。シーツ三振、スペンサー三ゴロ…。と、思ったら友寄塁審から「物言い」。クルーンの二段モーションで、プラプラさせる左足が地面についたためボーク、「取り直し」となった。結果、スペンサー的四球で出塁、予定通り代走赤松の登場となった。なかなかラッキーなお目見えじゃないか。
黒いストッキングを見せるスタイル。俊足ですよ!脚を見て下さい!という表現。華奢な体に大きな背番号52。両手首には赤いリストバンド。もう一人のレッドのデビューだ。観客は打席に入った人気者・桧山にこの日一番の大声援をひとしきり送った後、「走れ!走れ!赤松」を三度コールした。初球、フォーク、ボール。赤松そのまま。キャッチャーミットにボールが収まるのを見届けると、ぴょんと弾むように一塁ベースに戻った。赤松の今日のミッションは、「盗塁企図」だ。アウト、セーフは二の次。スタンドから「走れ!走れ!赤松」が三度。第2球、直球、ボール。赤松そのまま。カウント0−2。バッティングカウントになって、続く2球も赤松は動かなかった。動けなかったのかも知れない。ベンチにとっても、この場面は桧山の打撃より、赤松の走塁に注目をしているのだ。カウント2−2、絶対にスタートを切らなければいけないところ。クルーン始動、赤松のスタートは一瞬遅れた、低い姿勢から加速、フォーク桧山空振り、相川二塁へ送球、二塁にボールが到達した時、赤松はスピードの落ちないスライディングで、勢いよく二塁ベースに突っ込んでいた。プロ初盗塁成功。ラッキーなことに、続く代打関本のヒットで、プロ初得点も記録した。
これからいくつこの甲子園で盗塁を決めてくれるのだろうか。その第一歩をしっかりと見届けさせてもらった。