自称阪神タイガース評論家（跡地）

しかし、相手チームにとっては的を絞って研究しやすいとも言える。盤石に見えるメンバーだが、１人崩され、また１人…ということも想定しなければいけない。来るシーズンでは、昨年以上に総合力が求められる展開になるだろう。

後にＳＨＥなどと呼ばれることになる江草、桟原、橋本と、ほぼ１シーズンまるまる二軍暮らしとなる牧野、吉野、中村泰ら。前者と後者の間には高い壁が出来てしまったかのように感じるが、昨春の段階では、彼らにはそう大きな評価の差などなかったはずだ。先発にしても、安藤、杉山、能見、太陽、江草らで、少ない枠を巡ってつばぜり合いをしていた。だが、リーグ優勝の１年を経て、その舞台で活躍できなかった選手たちは大きなビハインドを背負う。それほど一軍でのキャリアの差、自信の差は、厳然と選手のステータスを形成してしまう。

厳しい実力の世界は、一方で敗者復活しやすい面もある。オフを挟んで、名目上はいったんオールクリアになるのだから。そして、調整のステップでは、前年にアピールできなかったものへのチャンスが必ず与えられるようになっている。不遇を託った選手にしてみればようやく年があらたまったというところだろう。

というわけで、久々に中村泰の名前を見た。私が一番応援している選手だ（注・「好きな選手」でも「期待している選手」でもなく、あくまでも「応援している選手」ねw）。なんでもない試合の、なんでもない場面にチャンスをもらって、十何球連続ボールとかやっちゃう気の弱さ。そのトラウマを克服できないもどかしさ。
昨年のファーム成績は、１５試合６勝１敗１Ｓ、48.2回で防御率2.40、奪三振４９で四死球１７。持ち前のピュッとキレの良いストレートと、切れ味の良いスライダーに加えて、カーブやチェンジアップで緩急が使えるようになったという。先発もこなし、ワンポイントだけでなく、ロングリリーフもできる。今まで以上に力を蓄えてきている。
メンタルを鍛えよと人は言う。だが、一軍のマウンドで失った自信は、一軍のマウンドでしか回復できないのだと私は思う。
大学、社会人を経ての４年目、２８歳になる。今年がラストチャンスだろう。引き続き心から応援しようと思う。