自称阪神タイガース評論家（跡地）

昨日の二軍戦では町田が「代打逆転サヨナラ満塁ホームラン」打ってるね。「リーチ一発ツモタンピン三色ドラドラバンバン」みたい、スゲー（笑）。


藤川の記録途絶える。金本通算３５０号ＨＲ。どちらでも関西スポーツ紙の一面を飾れる。５回１失点好投でプロ初勝利をあげた中村泰も普通ならその資格十分ありだが、相手が悪すぎる。そんなところもヤスらしくて良いんじゃないか。ただ情感たっぷりの好ゲームの中心にあったのは、「ヤスがんばれ！」という気持ちだったのは間違いない。

八の字に下がった眉、優しそうな目、おちょぼ口。野球は顔でやるわけじゃないが、ヤスほど勝負師と程遠い風貌もない。これまでチャンスをもらっては、ボール連発のパニックピッチングで首脳陣を絶望させてきた。そんなヤスがファームでの好投を買われて、今季初登板、しかもプロ初勝利を懸けてプロ初先発だ。前日のヒーロー矢野に代えて、スタメン捕手は浅井。これは矢野の休養というより、ヤスに気を使ってのことだろう。
「ファームの気持ちで投げようと。打たれてもいいから、フォアボールだけは…と思っていた」というヤスの気持ちをしっかり汲んで、浅井が好リードを見せる。
ヤスといえば、「わかっていても打てない」とまで言われるスライダー。どこに行くかわからないと思わせるような強い腕の振りが、そのスライダーのキレを生み、同時に一度はまると抜け出せないノーコンの原因になる。立ち上がりバッテリーは、このスライダーを勝負球にするため、直球を中心に組み立て、これがカープ打線に迷いを生む結果になった。初回、先頭東出を直球二つで簡単に追い込み、得意のスライダーでイージーな遊ゴロに仕留める。この瞬間、ヤスのプロ初勝利は掴んだも同然、この回遊ゴロ３つでチェンジになった時には、もう確信していた（笑）。
ところがなかなかそう上手くはいかないもんで（笑）、２回表先頭の新井に四球、続く前田の時にセット静止不十分のボーク、無死二塁。もうヤバイよ！あわわ…。そこへさりげなくすっと近づいたのが三塁関本。ヤスとは同級生、しかも同じ奈良で高校はライバル高同士、で、知らなかったんだけど…中学は一緒だったんだって。
ヤスの顔に血の気が戻る。前田を打ち取った…ところがどん詰まりのフライが深くポジションを取っていたライト前にポトリ。無死一三塁。でもヤスは落ち着いていた。直球に振り遅れた遊ゴロで併殺完成、１点はやったが狙い通り。ここらあたりで投げていた直球は140km/hも出ていなかったが、ほとんどの打者が差し込まれていたのを見ると、思った以上に速かったのだろうと思う。グラブの手を激しくぶんまわす、独特のフォームのせいもあるんだろうね。
３回、４回もすっと過ぎ、いよいよ関門の５回。一死からＣ先発投手佐々岡にクリーンヒットを打たれる。ここ！ヤスがいろいろ考え始めるぞ！そこでするすると近づくデカい人影、またも関本がヤスに一声掛ける。うなづくヤス。好調東出への２球目、得意のスライダー。今日はいつものように鋭いキレがあったわけではないが、かえってその小さい変化がバットの芯を上手く外していたように思う。二塁藤本へのイージーゴロ、鳥谷へトス、鳥谷素速いステップからビシッとシーツへ、ゲッツー！チェンジ！いいぞ、ヤス！
６，７回を安藤、８回をウィリアムス、９回を球児。リードを大事に大事に守って、ヤスに初勝利を運んだ。

金本のバックスクリーンへの逆転２ラン、シーツの貴重な追加点となるこれまたバックスクリーンへの会心の一発、さらに掛布を超える通算３５０号ダメ押し金本２本目左へのＨＲ。カープの打者が藤川に負けまいと向かってきた気迫。ライン際、フェンス際の難しい長打性のライナーを簡単に捕ったユタカのファインプレー。頭を越されれば同点、逆転まで考えられた最後のショートライナー、鳥谷のジャンピングキャッチ。藤川の無失点記録が途絶えたのは残念だが、それもまたこの試合に相応しかった。熱いプレーが盛りだくさん。思い出深い試合での初勝利、おめでとうヤス！