2006.08.28 Monday
その名は、シェーン・スペンサー(笑)。まだ登録されていないみたいだけど、試合後のベンチでみんなと喜びを分かち合っていたね。何か知らんが、君がいると安心するよ(笑)。
書きそびれていたが、吉野が3度目の登録、相木が抹消。過去2度は登板なしだったが、0−10の試合で投げて失点してたね。でも見ていて使えると思ったよ。あの試合だけで判断しないで、ちょこちょこ使った方が良い。どう考えても左のリリーフは欲しいからね。
この5連敗は、ジェフが言うように野球の神様を怒らせたことが原因だったのかもしれないね。良いムードで神宮で勝ち越して、カープをなめたのがいけなかったんだろう。やっとJFKが揃う、やっと打線も上昇した、相手はお得意さん…この時期にあり得ないはずの「微妙な安心感」がリリーフ陣に変調をきたし、先発陣に不安を与え、打撃陣の焦りを呼んだ。下降線を描くのはあっという間だった。
お祓いの効果もあったのかもしれないが、その負の循環を食い止めたのは杉山だった。今年ずっと、周囲とは逆にどん底をなめてきた男が、ここに来てようやく上昇、悪くなるとみんな悪くなっちゃう「仲の良い」チームにとって貴重な存在となった。
前回同様、立ち上がりは慎重の上に慎重を重ねる投球。Gの主力に対して、外の連続。1安打2四球で二死満塁としても外一辺倒で辛抱する。ここを抜けると、トントンと調子に乗って、G期待の先発姜との投げ合いになる。矢野の配球も、もうちょっと軽やかに立ち上がれないもんかなとは思うが、これで結果がでているのだから良いんだろうね。
投手が思いっきり腕を振るということは本当に大事なんだなと思う。余計なことを考えていない(ように見える)杉山の直球はアウトローに吸い込まれ、変化球はまるでバットの風圧を受けたかのようにインパクト寸前で落ちた。際どいところで審判の手が上がるのも、とんでもないボールを振らせるのも、みんな杉山の腕振りの良さがもたらしたもの。
両投手好投、0−0膠着のまま5回ウラ、先頭濱中がファウルでカウントを整えながら球数を放らせる。2−3とした後センター前ヒット。先頭打者がこういう打席を作ると、それだけで風向きが良くなる。鳥谷は少しだけ差し込まれて中飛、一死一塁。打者矢野、カウント1−1から、ヒットエンドラン成功、一死一三塁。ボール球の少ない姜攻略には有効な策だった。しかし藤本が推定飛距離14mのポップ(第1打席は推定4m)、杉山は初球にプッシュバントを試みたりするが(ファウル)、結局凡退得点ならず。大きなチャンスを逃し、試合がざわつき始める。
6回表、一死からヨシノブがライト線を抜く二塁打。さらには暴投で一死三塁。打者は李、要求したフォークが内角に反れて、早く落ちすぎたのだが、矢野はミットを逆手で伸ばして捕ろうとして弾いた。寂しいことだが、足が動かない矢野を見ることにもすっかり慣れてしまった。最後、勝負球のフォークが高く抜け、李に犠飛を打たれ先制点を許す。素晴らしい投球を続けていた杉山の、失投とも言えないような失投だったが、矢野のキャッチングへの微かな不信がボールを高くさせたのかも知れない。
だが、タイガースもしっかり連敗中に学んでいた。しっかりと守っていれば、次の回に必ず反撃のチャンスが来る。試合は動いたのだ。
赤星クリーンヒット、関本手堅く送り、シーツ鮮やかにタイムリー。春、タイガースは勝利を重ねながらも去年とは違う攻撃力の弱さを感じていた。赤星の盗塁が伸びない。金本今岡に当たりが来ない。大看板の機能不全にチームが浮き足立つところ、それを一人支えたのがシーツだった。赤星出塁、二番バント、シーツタイムリー。これだけが唯一の得点パターンだったことを思い出した。
7回表、杉山は二死から下位に連打される。連敗中の暗い記憶がよみがえりそうなところ、杉山は代打清水を臆することなく攻めて二飛に詰まらせた。7回1失点、勝ち星はつかなかったが3勝分にも値する投球だったと思う。
7回ウラ、一死から矢野ヒット。藤本はバントが2つファウル、今日は仕事になってなかった。スリーバントの構えだったがボールになってカウントを2−3。ここでランナーを走らせ、サインをヒッティングに変更、見事なライト前、矢野は楽々三塁へ…あ、遅い…あ、アウト。寂しいよ、矢野ちゃん!
8回表1−1同点、CM明けの場内にはリンドバーグ…。
そう、この男が帰ってくれば、チームは一変する。その名は、藤川球児。
肩のハリを訴え、しばらく登板を回避、その後首の寝違えで登録抹消。球児がチームを離れている間、チームは失速し、球児が合流しても、藤川までリードを繋げない日が続いた。
投球練習をする藤川は、笑顔を見せていた。「みんな、もう大丈夫だ。オレが投げるからには心配要らない」それを言いたいがための笑顔。そしてその笑顔が必死の作り笑顔であったことが後で明らかになる。
鈴木への初球はとんでもない高投。その後も久々のマウンドと、直球の球筋を確かめるように、細心の注意を払いながら。鈴木はコントロール勝負で三ゴロ。
一死でヨシノブ。直球がうわずるが、回転は良い。高めで攻め続ける。オール高めまっすぐ5球目、高橋は伸びる軌道で勝負、空振り三振。
二死で李。ここは気迫で勝負、150オーバー4球で空振り三振。
もう、勝とうが負けようが、どっちでも良いじゃないか。こんなに素晴らしい勝負を、こんなに素晴らしいボールを見せてくれたのだから。すぐに怒号混じりになってしまっていた甲子園の空気が一変した。
8回ウラ、もう後は流れ。一死から関本死球。そして頼りのシーツ二塁打で一死二三塁。金本敬遠で一死満塁、濱中。だが藤川が投げた後、もうここで意気地なしになるタイガースじゃない。低めの変化球をセンターに弾き返す、鈴木が懸命に飛び付くがショートバウンド、タッチアップ態勢だった関本が生還2−1(二走が三塁封殺で記録はセンターゴロ)。さらに鳥谷タイムリーで3−1。すっかり忘れていたけれど、そういえば、去年はこうやって勝っていたね。
9回ウラは、二岡にHRを打たれたらしい。しかしテレ朝→スカイAのリレーは、まったくリレーになっておらず、この場面は放映されていないので、ひょっとしたら打たれてないのかも知れない(笑)。確かなのは、小久保、矢野、斉藤が空振り三振だったということ。やっとやっと連敗が終わった。
実は私は、ヒーローインタビューってのがあまり好きじゃない。アナウンサーが白々しく答えを誘導したり、観衆を沸かせようとしたり。選手は選手で、「明日もまた頑張りますんで応援よろしくお願いしまーす」ってな言っても言わなくても同じようなことばかり言うしね(笑)。まあ楽しみにしてる人も多いからいいんだけど、あまりにもって時には途中でチャンネル変えちゃったりもする。
この日のお立ち台は、杉山と球児。杉山が、登板前、後ろで締めるから頑張れと、球児に激励されたことを無邪気な笑顔で明かす。マイクを向けられた球児は、「本当にファンの皆さんも、チームが連敗して悔しいと思いますけど、選手も本当に悔しい気持ちでやってるんで…」そこまで言うと、言葉が出なくなった。涙が溢れる。スタンドからは「球児、球児…」の連呼。
困ったアナが、杉山にマイクを向けると、杉山は無邪気な笑顔で「明日からも…応援よろしくおねがいしまーす」とやったもんだからコケた(笑)。と同時に和んだ。
アナは「ファンはまだまだ諦めていません…」とかなんとか言いながら、球児の言葉を引き出そうとしていたが、もう良いよ。球児の沈黙ほど、多くのことを語るものはないじゃないか。
ありきたりな、上滑りな言葉にどれほどの意味があるだろう。言葉にしくせない思いは、プレーで見せてくれたらそれで良い。
あまり好きじゃないはずのヒーローインタビュー。でもこの日は、楽しくて仕方ないという感じの杉山の笑顔と、言いたいことを言葉にできない球児の苦しそうな顔を見られて良かったと思った。
書きそびれていたが、吉野が3度目の登録、相木が抹消。過去2度は登板なしだったが、0−10の試合で投げて失点してたね。でも見ていて使えると思ったよ。あの試合だけで判断しないで、ちょこちょこ使った方が良い。どう考えても左のリリーフは欲しいからね。
この5連敗は、ジェフが言うように野球の神様を怒らせたことが原因だったのかもしれないね。良いムードで神宮で勝ち越して、カープをなめたのがいけなかったんだろう。やっとJFKが揃う、やっと打線も上昇した、相手はお得意さん…この時期にあり得ないはずの「微妙な安心感」がリリーフ陣に変調をきたし、先発陣に不安を与え、打撃陣の焦りを呼んだ。下降線を描くのはあっという間だった。
お祓いの効果もあったのかもしれないが、その負の循環を食い止めたのは杉山だった。今年ずっと、周囲とは逆にどん底をなめてきた男が、ここに来てようやく上昇、悪くなるとみんな悪くなっちゃう「仲の良い」チームにとって貴重な存在となった。
前回同様、立ち上がりは慎重の上に慎重を重ねる投球。Gの主力に対して、外の連続。1安打2四球で二死満塁としても外一辺倒で辛抱する。ここを抜けると、トントンと調子に乗って、G期待の先発姜との投げ合いになる。矢野の配球も、もうちょっと軽やかに立ち上がれないもんかなとは思うが、これで結果がでているのだから良いんだろうね。
投手が思いっきり腕を振るということは本当に大事なんだなと思う。余計なことを考えていない(ように見える)杉山の直球はアウトローに吸い込まれ、変化球はまるでバットの風圧を受けたかのようにインパクト寸前で落ちた。際どいところで審判の手が上がるのも、とんでもないボールを振らせるのも、みんな杉山の腕振りの良さがもたらしたもの。
両投手好投、0−0膠着のまま5回ウラ、先頭濱中がファウルでカウントを整えながら球数を放らせる。2−3とした後センター前ヒット。先頭打者がこういう打席を作ると、それだけで風向きが良くなる。鳥谷は少しだけ差し込まれて中飛、一死一塁。打者矢野、カウント1−1から、ヒットエンドラン成功、一死一三塁。ボール球の少ない姜攻略には有効な策だった。しかし藤本が推定飛距離14mのポップ(第1打席は推定4m)、杉山は初球にプッシュバントを試みたりするが(ファウル)、結局凡退得点ならず。大きなチャンスを逃し、試合がざわつき始める。
6回表、一死からヨシノブがライト線を抜く二塁打。さらには暴投で一死三塁。打者は李、要求したフォークが内角に反れて、早く落ちすぎたのだが、矢野はミットを逆手で伸ばして捕ろうとして弾いた。寂しいことだが、足が動かない矢野を見ることにもすっかり慣れてしまった。最後、勝負球のフォークが高く抜け、李に犠飛を打たれ先制点を許す。素晴らしい投球を続けていた杉山の、失投とも言えないような失投だったが、矢野のキャッチングへの微かな不信がボールを高くさせたのかも知れない。
だが、タイガースもしっかり連敗中に学んでいた。しっかりと守っていれば、次の回に必ず反撃のチャンスが来る。試合は動いたのだ。
赤星クリーンヒット、関本手堅く送り、シーツ鮮やかにタイムリー。春、タイガースは勝利を重ねながらも去年とは違う攻撃力の弱さを感じていた。赤星の盗塁が伸びない。金本今岡に当たりが来ない。大看板の機能不全にチームが浮き足立つところ、それを一人支えたのがシーツだった。赤星出塁、二番バント、シーツタイムリー。これだけが唯一の得点パターンだったことを思い出した。
7回表、杉山は二死から下位に連打される。連敗中の暗い記憶がよみがえりそうなところ、杉山は代打清水を臆することなく攻めて二飛に詰まらせた。7回1失点、勝ち星はつかなかったが3勝分にも値する投球だったと思う。
7回ウラ、一死から矢野ヒット。藤本はバントが2つファウル、今日は仕事になってなかった。スリーバントの構えだったがボールになってカウントを2−3。ここでランナーを走らせ、サインをヒッティングに変更、見事なライト前、矢野は楽々三塁へ…あ、遅い…あ、アウト。寂しいよ、矢野ちゃん!
8回表1−1同点、CM明けの場内にはリンドバーグ…。
そう、この男が帰ってくれば、チームは一変する。その名は、藤川球児。
肩のハリを訴え、しばらく登板を回避、その後首の寝違えで登録抹消。球児がチームを離れている間、チームは失速し、球児が合流しても、藤川までリードを繋げない日が続いた。
投球練習をする藤川は、笑顔を見せていた。「みんな、もう大丈夫だ。オレが投げるからには心配要らない」それを言いたいがための笑顔。そしてその笑顔が必死の作り笑顔であったことが後で明らかになる。
鈴木への初球はとんでもない高投。その後も久々のマウンドと、直球の球筋を確かめるように、細心の注意を払いながら。鈴木はコントロール勝負で三ゴロ。
一死でヨシノブ。直球がうわずるが、回転は良い。高めで攻め続ける。オール高めまっすぐ5球目、高橋は伸びる軌道で勝負、空振り三振。
二死で李。ここは気迫で勝負、150オーバー4球で空振り三振。
もう、勝とうが負けようが、どっちでも良いじゃないか。こんなに素晴らしい勝負を、こんなに素晴らしいボールを見せてくれたのだから。すぐに怒号混じりになってしまっていた甲子園の空気が一変した。
8回ウラ、もう後は流れ。一死から関本死球。そして頼りのシーツ二塁打で一死二三塁。金本敬遠で一死満塁、濱中。だが藤川が投げた後、もうここで意気地なしになるタイガースじゃない。低めの変化球をセンターに弾き返す、鈴木が懸命に飛び付くがショートバウンド、タッチアップ態勢だった関本が生還2−1(二走が三塁封殺で記録はセンターゴロ)。さらに鳥谷タイムリーで3−1。すっかり忘れていたけれど、そういえば、去年はこうやって勝っていたね。
9回ウラは、二岡にHRを打たれたらしい。しかしテレ朝→スカイAのリレーは、まったくリレーになっておらず、この場面は放映されていないので、ひょっとしたら打たれてないのかも知れない(笑)。確かなのは、小久保、矢野、斉藤が空振り三振だったということ。やっとやっと連敗が終わった。
実は私は、ヒーローインタビューってのがあまり好きじゃない。アナウンサーが白々しく答えを誘導したり、観衆を沸かせようとしたり。選手は選手で、「明日もまた頑張りますんで応援よろしくお願いしまーす」ってな言っても言わなくても同じようなことばかり言うしね(笑)。まあ楽しみにしてる人も多いからいいんだけど、あまりにもって時には途中でチャンネル変えちゃったりもする。
この日のお立ち台は、杉山と球児。杉山が、登板前、後ろで締めるから頑張れと、球児に激励されたことを無邪気な笑顔で明かす。マイクを向けられた球児は、「本当にファンの皆さんも、チームが連敗して悔しいと思いますけど、選手も本当に悔しい気持ちでやってるんで…」そこまで言うと、言葉が出なくなった。涙が溢れる。スタンドからは「球児、球児…」の連呼。
困ったアナが、杉山にマイクを向けると、杉山は無邪気な笑顔で「明日からも…応援よろしくおねがいしまーす」とやったもんだからコケた(笑)。と同時に和んだ。
アナは「ファンはまだまだ諦めていません…」とかなんとか言いながら、球児の言葉を引き出そうとしていたが、もう良いよ。球児の沈黙ほど、多くのことを語るものはないじゃないか。
ありきたりな、上滑りな言葉にどれほどの意味があるだろう。言葉にしくせない思いは、プレーで見せてくれたらそれで良い。
あまり好きじゃないはずのヒーローインタビュー。でもこの日は、楽しくて仕方ないという感じの杉山の笑顔と、言いたいことを言葉にできない球児の苦しそうな顔を見られて良かったと思った。