自称阪神タイガース評論家（跡地）

なぜかタイガース戦になると、必ず物凄い投球をしてきたＤ中田が、ついに「凡投」。いつもなら外角低めにビタビタだった直球の制球が定まらない。ボール先行、ストライクを取りに来るところを連打し、４回１２安打、９点取った。
落合監督は試合後、「そんなにいい思いばかり、させてはくれないんだよ。普通以上に分析してくる」と言ったようだが、この日に限って言えば、分析や研究の結果というより、タイガース各打者が集中できていたという印象が強い。確かに中田は制球が荒れていたが、直球の勢いはそこそこあったし、変化球のキレも悪くなかった。「普段の」タイガース打線なら、ボール球に手が出て、中田を立ち直らせていた可能性も高い。振り返って、なぜ中田を攻略できたかを考えてみると、まずは中田自身の調子が良くなかったことと、打者たちがプロ野球阪神タイガースの強打者というプライドをかなぐり捨てて、高校球児のように基本を大切にしたことに尽きると思う。全員がボール球に手を出さず、甘い球を積極的に打ちに行って、追い込まれた後は際どいコースはファウルで逃げて甘い球を待つ。配球がどう、クセがどうの前に、今までできていなかった、この３点がキッチリ徹底できたことが攻略につながったと思う。それと、走塁での集中力もあったね。まあ、中田相手に限ったことじゃないし、「やっとかよ」ということではあるのだけれど、とにかくスッキリしたよ（笑）。


初回、濱中の先制タイムリーが大きかった。変化球に対応するのが上手い濱中に対して、バッテリーは徹底的な直球攻め。しかし濱中は厳しいコースにはなんとか食らいつき、また釣ってくるスライダーをしっかり見切って、最後は苦手なインロー直球に素速く反応、サード右をゴロで破った。この打席の濱中の集中は、去年の今岡に負けないものがあった。

もっと効いたのが３回ウラ一死満塁からの一打だろう。直球で追い込まれ、ストライクからボールになる絶妙のフォークを落とされるが、ギリギリでバットに引っかける。打球はジャンプする中田の上を越え、ショートの前へ、一塁で打者走者を殺すのがやっとのボテボテになる。今までコインの裏表がいつもＤに有利に出ていたが、ここで明らかに変わったように見えた。時間かかったけど、やっとね。

４回ウラの大量点もそう。赤星がファウルで粘りに粘って四球を奪った後、関本は送りバントを２つ失敗。サイン変わってヒッティングが大成功、二塁打で赤星が一気に帰った。もうコインの出目が変わったからね。ここからは積極的なアタック、すでに中田の投球数は１００球だ。シーツ三遊間で一死一三塁、金本はライナーでライトオーバー、フェンス上段に当たる、惜しい！５−１、一死二三塁。濱中ライト前にクリーンヒット、二走金本は激走実らず福留に本塁で刺されるが、６−１となり二死二塁。鳥谷低めに沈むスライダーをドライバーショット、センター右フェンスダイレクトの三塁打、７−１。矢野はじっくりカウントを作って、投げる球がなくなった後の、甘いカーブをガッツーン、レフトスタンドど真ん中へトドメの一発。９−１。あー、気持ち良かった（笑）。

井川、良かったね。先制してもらって、その直後同点に追いつかれる。二死二塁で谷繁、次は投手。簡単に追い込んだ後、タイムリーを打たれる。場合によっちゃ、罰金ものに近いようなことだと思うが、この時のバッテリーの表情が意外なほどサバサバしている。なるほどね、良いかもしれないね。１点のリードを「守らなければいけないもの」と考えずに、「勝負をするのに使える貯金」と考えていたのかも知れないね。「半返し理論」の応用編か（笑）。この１失点で、井川の表情が良くなった。
適当にバラつきながらも、勝負の１球が笑っちゃうほど良い。逆球になっても良いところに行く。大量得点の後、連打連打で逆転された時とはエライ違い。８回１２奪三振、乗ってる井川を見るのは本当に楽しい。

そして行かれていた方には申し訳ないけど、笑っちゃうような大雨。凄かったねぇ。本当は、中田を下ろした後、どんどん投手を使わせたかったけど、まあ、今日はカンベンしたるわ（笑）。

甘くはあるけれど、球児が観客に「わかって」と言ったからには、それを「何言ってやがる」にするわけにはいかないよな。あのヘッポコ５連敗があって、その最後があの無様な０−１０で、客に帰られ、呆れられ、罵声を浴びて、涙が流れて、何かが変わったのだと思う。そして、それが濱中のボテボテに出たんだろうね。
ああ、しかし、ぜんぜん食い足りねえ！絶食した後に、スープを一杯飲んだだけみたい。かなり美味ではあったけどね（笑）、ぜんぜん、ぜんぜん足りないぞ！次持ってこい、次！（笑）