2006.12.27 Wednesday
各球団の主砲やエース級をことごとく引っ張ってきたやり方と、適所適所に戦力を充当し、厚くしていることは「哲学」が違うと。それは一理あるかもしれない。だが他より抜けた資金力を背景に戦力増強をしていることは事実だと思うし、戦力の厚さの名の下に多くの飼い殺し選手を抱えているという点では、かつて同じ問題で非難されていた頃のジャイアンツとなんら変わらないのではないだろうか。
今回、ファイターズが坪井を一度戦力外とし、再びまた雇用することになるという。ドラフトで即戦力の長野を獲得できるという見込みが外れたことが今回の「出戻り劇」に繋がったのだろうが、この行為は極めて健全だと思う。限られた予算の中で、かける費用と、そのもたらす効果を見なおし、その結果若手に切り替えるべきと判断した。その若手が入団拒否したのは計算外だったろうが、そこで新たな戦力補強を考える、その時点で予算内(推定年俸2千万円)の選手として坪井がいたから獲る。どこも安くて働ける選手を探しているのだ。
ヤンキースがランディ・ジョンソンをトレードに出すかも知れないという。元祖金満球団のヤンキースだが、井川、ペティットの獲得で先発投手が余る。誰かが故障するかも知れないが、有力選手を飼い殺しにしないのが「メジャーのお約束」だから、誰か一人は出すだろう。
飼い殺しは球団にとって大きなメリットがある。他球団にとって即中心選手になれるような選手を、自チームに抱えておけば、例えそこに金がかかろうとも優位を確保できるのだから。
もちろん好んで殺さなくても、まさかの故障の時には期待通りのバックアップになるだろうし、レギュラーを脅かすライバルとして、チーム力をアップさせるのは間違いない。
一方で、飼い殺しには恐ろしいデメリットがいくつもある。まず文字通り選手一人を殺すこと。例えば野口捕手は、その選手としての全盛期を(結果的にではあるが)矢野のバックアップとしてタイガースに捧げた。もちろんその代償として安定した給料を得て、おそらく将来の指導者としての保証も得たのだろう。本人も納得してのことなのだから誰も文句はない。
それでも古田の陰で下積みを重ねて、やっと掴んだ「主戦捕手野口」を飼い殺しにしたという事実は変わらない。
現在、タイガースには若手とは呼べない年齢で、他球団から見れば「なぜ上で使わないのか」と思える選手が何人かいるように思う。タイガースの関係者だってそう思っているだろう、だが上にはしっかりとした主戦がいるから使えないのだ。タイミングによっては、その選手は力を発揮することなく消えていくことになるかも知れない。
このことはその選手が不幸になる可能性があるだけでなく、ファンにとっても不幸なことになり得る。まずその選手を応援しているファンにとっては、見る機会さえ与えないということになる。
さらに大きいのは、飼い殺しによって本来あっても良いはずの戦力均衡を、意図的に崩すことができるということ。もしあの年、野口クラスの捕手さえいれば、優勝争いに絡めたのに…例えばの話だが、そんなチームもあったかも知れない。
ただしこれは「金満球団」が責めを追う問題ではない。各チームともルールに従って、自チームが優勝すべくベストを尽くしているだけのことであって、逆にベストを尽くしていないと目される球団の方がよっぽど悪い。責められるべきは、その「ルール」であり、ルールを見直せない「機構」なのだ。
例えば一定の期間の内、一軍登録期間(または出場試合)が○○日に満たない者は自由に他球団に移籍できるという「飼い殺し防止FA」があれば、優勝争いの盛り上がりに必ず寄与するはずだ。新人の契約金の抑制にも繋がるかも知れない。
そして長い目で見れば、高いレベルでの戦力均衡は、すべてのチームにメリットをもたらすのだ。なによりも優勝争いが混沌とすることほど、リーグを盛り上げるものはないのだから。それは「金満球団」にも「貧乏球団」にも等しく言えることだ。
今回、ファイターズが坪井を一度戦力外とし、再びまた雇用することになるという。ドラフトで即戦力の長野を獲得できるという見込みが外れたことが今回の「出戻り劇」に繋がったのだろうが、この行為は極めて健全だと思う。限られた予算の中で、かける費用と、そのもたらす効果を見なおし、その結果若手に切り替えるべきと判断した。その若手が入団拒否したのは計算外だったろうが、そこで新たな戦力補強を考える、その時点で予算内(推定年俸2千万円)の選手として坪井がいたから獲る。どこも安くて働ける選手を探しているのだ。
ヤンキースがランディ・ジョンソンをトレードに出すかも知れないという。元祖金満球団のヤンキースだが、井川、ペティットの獲得で先発投手が余る。誰かが故障するかも知れないが、有力選手を飼い殺しにしないのが「メジャーのお約束」だから、誰か一人は出すだろう。
飼い殺しは球団にとって大きなメリットがある。他球団にとって即中心選手になれるような選手を、自チームに抱えておけば、例えそこに金がかかろうとも優位を確保できるのだから。
もちろん好んで殺さなくても、まさかの故障の時には期待通りのバックアップになるだろうし、レギュラーを脅かすライバルとして、チーム力をアップさせるのは間違いない。
一方で、飼い殺しには恐ろしいデメリットがいくつもある。まず文字通り選手一人を殺すこと。例えば野口捕手は、その選手としての全盛期を(結果的にではあるが)矢野のバックアップとしてタイガースに捧げた。もちろんその代償として安定した給料を得て、おそらく将来の指導者としての保証も得たのだろう。本人も納得してのことなのだから誰も文句はない。
それでも古田の陰で下積みを重ねて、やっと掴んだ「主戦捕手野口」を飼い殺しにしたという事実は変わらない。
現在、タイガースには若手とは呼べない年齢で、他球団から見れば「なぜ上で使わないのか」と思える選手が何人かいるように思う。タイガースの関係者だってそう思っているだろう、だが上にはしっかりとした主戦がいるから使えないのだ。タイミングによっては、その選手は力を発揮することなく消えていくことになるかも知れない。
このことはその選手が不幸になる可能性があるだけでなく、ファンにとっても不幸なことになり得る。まずその選手を応援しているファンにとっては、見る機会さえ与えないということになる。
さらに大きいのは、飼い殺しによって本来あっても良いはずの戦力均衡を、意図的に崩すことができるということ。もしあの年、野口クラスの捕手さえいれば、優勝争いに絡めたのに…例えばの話だが、そんなチームもあったかも知れない。
ただしこれは「金満球団」が責めを追う問題ではない。各チームともルールに従って、自チームが優勝すべくベストを尽くしているだけのことであって、逆にベストを尽くしていないと目される球団の方がよっぽど悪い。責められるべきは、その「ルール」であり、ルールを見直せない「機構」なのだ。
例えば一定の期間の内、一軍登録期間(または出場試合)が○○日に満たない者は自由に他球団に移籍できるという「飼い殺し防止FA」があれば、優勝争いの盛り上がりに必ず寄与するはずだ。新人の契約金の抑制にも繋がるかも知れない。
そして長い目で見れば、高いレベルでの戦力均衡は、すべてのチームにメリットをもたらすのだ。なによりも優勝争いが混沌とすることほど、リーグを盛り上げるものはないのだから。それは「金満球団」にも「貧乏球団」にも等しく言えることだ。