2007.04.21 Saturday
関本がレフトスタンドに向かってダッシュ。客に大声で呼びかけ、両手を合わせ、頭を下げて、ボールを投げ返してもらう。それを嬉しそうに拾い上げ、また皆が待つ、今日のヒーロー狩野を取り囲む輪の中に戻っていく。高卒プロ7年目、一軍出場6試合目、通算8打席目で打ったプロ初安打が、大きな大きな殊勲打となった。この試合で狩野がこんな大仕事をやってのけるだなんて、いったい誰が想像できただろう。
恐らく、少しでも想像していたのは狩野本人だけだったのではないか。開幕から一軍登録され、中継ぎ投手を厚くするため捕手二人制となっても一軍に残った。それでも出番はなかったのに、必ず出番が来ると信じて待っていたという。
前日の悪夢のような試合を引きずっていたわけではないだろうが、G先発内海をまったく打てず、6回まで無安打。T先発杉山は直球の勢いがあり、ここという時の制球にさえを見せ、7回を1失点、よく踏ん張った。
7回ウラ先頭シーツが一塁頭を越すラッキーな内野安打で危機を脱出。金本四球で無死一二塁、今岡のレフト後方への鋭い飛球でシーツ、金本がそれぞれタッチアップ進塁したのは良いプレーだったね。本当に今年塁上のシーツの集中力は素晴らしい。このワンチャンスを濱中がタイムリーでものにする。外低めにどんどん逃げるチェンジアップ、ボールゾーンでバット先に乗せてセンター前にライナーで落とす。1−1同点。ここで一気に追い越したいところだが、そういかないのが今のタイガース品質。
8回をジェフ、9回を藤川。藤川点滴を打っての出場だとか。でも球は悪くない。早めの対応が良かったね。もう前日のことは言わないよ。しっかし内海を打てないね。9回終了、1−1。さて、久保田に何回投げさせるつもりや。いつもすまんのう。しかし久保田、昨日の今日で気合い入っていたね、素晴らしかった。
10回ウラ、G二番手会田。矢野三振、矢野打つ方は元気なかったね。関本が四球を選んで、一死一塁、代走赤松、切ってええんちゃう?よし、来た。行けよ、赤松。走者赤松、打者林で、投手を林に代えるかな?おやそのままかい。これはチャンスだ。赤松行けよ、林打てよ。初球行った!速い、盗塁成功。切れてるねぇ、良いスライディングだ。さあ、決めたってくれ!我が家では期せずして「♪リン・リン・リリリン、リン・リン・リリリン…」の大合唱、ぬあああ二ゴロ、二死三塁。鳥谷ならやってくれる。この子はヒーローになる子や、さあ君がヒーローだ。ここでG投手交代で林。ぐぅらそんなんボールやんけ、くぉの、内角直球で見逃し三振。へぁああ疲れるわ(笑)。
久保田すまんのう。11回、ヒゲがないため、我が家では「カッツおかさわら」と呼ばれているガッツ小笠原にさすがのヒットを打たれたが、気迫溢れる投球で久保田ヒップアップ(尻上がり)、スン二岡連続三振はシビレタ!
11回ウラも期待の赤星、シーツが倒れて二死。ああ、またしても「オマエラいい加減打てよ」状態に。もう、しゃあない、金本に決めてもらおう。先生、お願いします。良い当たりだが上がらなかった、センター右へ。金本しっかり走って二塁打。でもね、6番に久保田やねん。代打の残りは、もう葛城、狩野、清水。今岡敬遠。どうする?久保田代えたら、誰行かす?とりあえず代打葛城。イクロー頑張れ、あー一ゴロ、かっくん。
また江草…。もうたいがいにせいよ。そらJFKの次に良いのは江草、わかってる。だけどこんな厳しいところで毎日毎日行かされてたら、三振取れてるキレもなくなるわ。ちったあ考えろボケい。とひとしきり悪態をつきつつも、頑張れ江草。しかし先頭阿部に四球、続くホリンズにしょうもない三ゴロボテボテラッキーバウンドヒット…。ほんのちょっとでゲッツーなのに。鈴木尚(横浜にもおんなじのがいるな)のヘッタクソバントを江草が素速く裁いて三塁へ、うわあああ!…これが低く一塁方向にそれて、今岡捕れず。労せずして走者生還。その後の処理もモタクサして、なお無死二三塁。はあ、なんか食べちゃおうかなぁ…チョコレートあったっけ、コーヒーでも入れるか…。チラ、もぐもぐ、はあ、チラ、もぐもぐ、…ふう、そんなところからハシケン出されたってなぁ、気分も乗らんわそら、へえ、もぐもぐ、チラ、いやそれだけは余計だわ…。この回終了、加藤犠飛、小坂タイムリーもあって1−4、はあ。
12回ウラ、Gはクローザー豊田。ここ2試合セーブを記録しているし、去年きっちりやられている。それがどうした、ダホ。向こうにできたもんはこっちにもできるんや。ドラゴンズから教わったろうが。ああ、矢野ちゃん、どうしてあなたは矢野ちゃんなの、フォークのボールにくるりで一死。守備から入った藤本、初球高めの甘いスライダーをバシっと叩いてライト前、いいぞ!フジモン、意地見せたったな。行け、リンリン、ホームラン打っちゃえ、そしたら1点差わからんぞ。高め直球を叩くセカンド右やばっ、おー抜けた!一死一二塁。あるよあるよ。鳥谷、今度こそヒーローだ。同点3ラン打っちゃえ!いいよいいよ、豊田だんだんヘタレて来たぞ。高め直球打った!左中間、越えた越えた!藤本、林ホームイン!よし1点差!良いぞ、お前ら!3−4、1点差で一死二塁。あるある、全然ある。おら暴投、一死三塁、内野前進守備。赤星、強くひっぱたけ!っしゃおら、一二塁間抜けたあ、同点だ!うおおお、凄いぞ!お前らできるじゃないか!おおし。なんともうこれで負けはないのか。いんにゃ、負けはないなんて言ってる場合か、勝て!勝つんだ!
シーツぅ、右飛、二死。さあ、アニキ頼んだ。うおら初球、すっげえ当たりだけど上がらなかった。センター前で二死一二塁。さあ今岡、あそうなの満塁にしても敬遠か、まあそりゃそうか。だからなぁ、代打なぁ、今日秀太下げてヤス上げたばっかりなんだよなぁ、どうせヤスなんて使わないんだから、余計なことしなきゃなぁ、この回ヒット打ってるの左ばっかやなぁ、秀太がいればなぁ…。狩野なぁ、狩野だわなぁ、そら…。狩野なんだけどさぁ…。
岡田監督から送り出される時、「まっすぐ狙いで思いっきり振れ」と声を掛けられた。初球、膝元からワンバウンドになるフォークを強振、空振り。まっすぐ狙いで思いっきり振った結果だった。狙った球と違ったから、ボールとバットの間には大きな開きがあったのだ。この空振りがすべてを決めたと言って良い。まずは狙いを持ってアグレッシブに動く。
それはこのオフの狩野の姿そのものだった。二軍の正捕手として、打率.348(首位打者)、44打点、10本塁打(出塁率およそ.402、長打率.721)。勝負の時と、秋季キャンプが終わるや広島のジム、アスリートに金本と同行し、身体造りに励む。途中、金本から打撃指導を受け感激していたね。
年が明けると、矢野の自主トレに押しかける。プロの捕手は1つしかない定位置争い、ベテランにしてみればなかなか心やすくはしない。しかし勉強したいという気持ちを勇気をもって正面からぶつけて矢野の心を動かした。
ジャイアンツ豊田−加藤のバッテリーは、経験の乏しい打者が、初球のフォークにまったく合わないのを見て、打ち気にはやっておりフォーク連投で追い込めると踏む。しかし、集中したフルスイングは打者にとって高機能のスキャナ。狩野は、その空振りで、まっすぐ狙いでフォークが来た時のタイミング修正、ボールの軌道についてデータをインプットできた。
2球目のフォークはインコース、真ん中あたりから膝元へ。初球と同じフルスイング。腕が良く伸び、体の開きを我慢して左サイドにしっかりとカベができている。バットのヘッドがまっすぐ前に伸びて体の前をスムーズに走る。ジャストミート。その白球の弾道の美しいこと。レフト定位置方向に飛び出したライナーは鋭くドライブしながら良く伸び、フェンス手前、フェアゾーンの芝の上に跳ねた。
「まっすぐ狙いで思いっきり振れ」。正面から堂々とぶち当たれ。すべてはそこから始まる。前日、この日、タイガースに欠けていたものを吹っ切ったような連打。そして、まず目一杯やってみて、見事に大きなチャンスを一発で掴んだ狩野。やったな、良かったな、おめでとう。最高にカッコ良かった。
恐らく、少しでも想像していたのは狩野本人だけだったのではないか。開幕から一軍登録され、中継ぎ投手を厚くするため捕手二人制となっても一軍に残った。それでも出番はなかったのに、必ず出番が来ると信じて待っていたという。
前日の悪夢のような試合を引きずっていたわけではないだろうが、G先発内海をまったく打てず、6回まで無安打。T先発杉山は直球の勢いがあり、ここという時の制球にさえを見せ、7回を1失点、よく踏ん張った。
7回ウラ先頭シーツが一塁頭を越すラッキーな内野安打で危機を脱出。金本四球で無死一二塁、今岡のレフト後方への鋭い飛球でシーツ、金本がそれぞれタッチアップ進塁したのは良いプレーだったね。本当に今年塁上のシーツの集中力は素晴らしい。このワンチャンスを濱中がタイムリーでものにする。外低めにどんどん逃げるチェンジアップ、ボールゾーンでバット先に乗せてセンター前にライナーで落とす。1−1同点。ここで一気に追い越したいところだが、そういかないのが今のタイガース品質。
8回をジェフ、9回を藤川。藤川点滴を打っての出場だとか。でも球は悪くない。早めの対応が良かったね。もう前日のことは言わないよ。しっかし内海を打てないね。9回終了、1−1。さて、久保田に何回投げさせるつもりや。いつもすまんのう。しかし久保田、昨日の今日で気合い入っていたね、素晴らしかった。
10回ウラ、G二番手会田。矢野三振、矢野打つ方は元気なかったね。関本が四球を選んで、一死一塁、代走赤松、切ってええんちゃう?よし、来た。行けよ、赤松。走者赤松、打者林で、投手を林に代えるかな?おやそのままかい。これはチャンスだ。赤松行けよ、林打てよ。初球行った!速い、盗塁成功。切れてるねぇ、良いスライディングだ。さあ、決めたってくれ!我が家では期せずして「♪リン・リン・リリリン、リン・リン・リリリン…」の大合唱、ぬあああ二ゴロ、二死三塁。鳥谷ならやってくれる。この子はヒーローになる子や、さあ君がヒーローだ。ここでG投手交代で林。ぐぅらそんなんボールやんけ、くぉの、内角直球で見逃し三振。へぁああ疲れるわ(笑)。
久保田すまんのう。11回、ヒゲがないため、我が家では「カッツおかさわら」と呼ばれているガッツ小笠原にさすがのヒットを打たれたが、気迫溢れる投球で久保田ヒップアップ(尻上がり)、スン二岡連続三振はシビレタ!
11回ウラも期待の赤星、シーツが倒れて二死。ああ、またしても「オマエラいい加減打てよ」状態に。もう、しゃあない、金本に決めてもらおう。先生、お願いします。良い当たりだが上がらなかった、センター右へ。金本しっかり走って二塁打。でもね、6番に久保田やねん。代打の残りは、もう葛城、狩野、清水。今岡敬遠。どうする?久保田代えたら、誰行かす?とりあえず代打葛城。イクロー頑張れ、あー一ゴロ、かっくん。
また江草…。もうたいがいにせいよ。そらJFKの次に良いのは江草、わかってる。だけどこんな厳しいところで毎日毎日行かされてたら、三振取れてるキレもなくなるわ。ちったあ考えろボケい。とひとしきり悪態をつきつつも、頑張れ江草。しかし先頭阿部に四球、続くホリンズにしょうもない三ゴロボテボテラッキーバウンドヒット…。ほんのちょっとでゲッツーなのに。鈴木尚(横浜にもおんなじのがいるな)のヘッタクソバントを江草が素速く裁いて三塁へ、うわあああ!…これが低く一塁方向にそれて、今岡捕れず。労せずして走者生還。その後の処理もモタクサして、なお無死二三塁。はあ、なんか食べちゃおうかなぁ…チョコレートあったっけ、コーヒーでも入れるか…。チラ、もぐもぐ、はあ、チラ、もぐもぐ、…ふう、そんなところからハシケン出されたってなぁ、気分も乗らんわそら、へえ、もぐもぐ、チラ、いやそれだけは余計だわ…。この回終了、加藤犠飛、小坂タイムリーもあって1−4、はあ。
12回ウラ、Gはクローザー豊田。ここ2試合セーブを記録しているし、去年きっちりやられている。それがどうした、ダホ。向こうにできたもんはこっちにもできるんや。ドラゴンズから教わったろうが。ああ、矢野ちゃん、どうしてあなたは矢野ちゃんなの、フォークのボールにくるりで一死。守備から入った藤本、初球高めの甘いスライダーをバシっと叩いてライト前、いいぞ!フジモン、意地見せたったな。行け、リンリン、ホームラン打っちゃえ、そしたら1点差わからんぞ。高め直球を叩くセカンド右やばっ、おー抜けた!一死一二塁。あるよあるよ。鳥谷、今度こそヒーローだ。同点3ラン打っちゃえ!いいよいいよ、豊田だんだんヘタレて来たぞ。高め直球打った!左中間、越えた越えた!藤本、林ホームイン!よし1点差!良いぞ、お前ら!3−4、1点差で一死二塁。あるある、全然ある。おら暴投、一死三塁、内野前進守備。赤星、強くひっぱたけ!っしゃおら、一二塁間抜けたあ、同点だ!うおおお、凄いぞ!お前らできるじゃないか!おおし。なんともうこれで負けはないのか。いんにゃ、負けはないなんて言ってる場合か、勝て!勝つんだ!
シーツぅ、右飛、二死。さあ、アニキ頼んだ。うおら初球、すっげえ当たりだけど上がらなかった。センター前で二死一二塁。さあ今岡、あそうなの満塁にしても敬遠か、まあそりゃそうか。だからなぁ、代打なぁ、今日秀太下げてヤス上げたばっかりなんだよなぁ、どうせヤスなんて使わないんだから、余計なことしなきゃなぁ、この回ヒット打ってるの左ばっかやなぁ、秀太がいればなぁ…。狩野なぁ、狩野だわなぁ、そら…。狩野なんだけどさぁ…。
岡田監督から送り出される時、「まっすぐ狙いで思いっきり振れ」と声を掛けられた。初球、膝元からワンバウンドになるフォークを強振、空振り。まっすぐ狙いで思いっきり振った結果だった。狙った球と違ったから、ボールとバットの間には大きな開きがあったのだ。この空振りがすべてを決めたと言って良い。まずは狙いを持ってアグレッシブに動く。
それはこのオフの狩野の姿そのものだった。二軍の正捕手として、打率.348(首位打者)、44打点、10本塁打(出塁率およそ.402、長打率.721)。勝負の時と、秋季キャンプが終わるや広島のジム、アスリートに金本と同行し、身体造りに励む。途中、金本から打撃指導を受け感激していたね。
年が明けると、矢野の自主トレに押しかける。プロの捕手は1つしかない定位置争い、ベテランにしてみればなかなか心やすくはしない。しかし勉強したいという気持ちを勇気をもって正面からぶつけて矢野の心を動かした。
ジャイアンツ豊田−加藤のバッテリーは、経験の乏しい打者が、初球のフォークにまったく合わないのを見て、打ち気にはやっておりフォーク連投で追い込めると踏む。しかし、集中したフルスイングは打者にとって高機能のスキャナ。狩野は、その空振りで、まっすぐ狙いでフォークが来た時のタイミング修正、ボールの軌道についてデータをインプットできた。
2球目のフォークはインコース、真ん中あたりから膝元へ。初球と同じフルスイング。腕が良く伸び、体の開きを我慢して左サイドにしっかりとカベができている。バットのヘッドがまっすぐ前に伸びて体の前をスムーズに走る。ジャストミート。その白球の弾道の美しいこと。レフト定位置方向に飛び出したライナーは鋭くドライブしながら良く伸び、フェンス手前、フェアゾーンの芝の上に跳ねた。
「まっすぐ狙いで思いっきり振れ」。正面から堂々とぶち当たれ。すべてはそこから始まる。前日、この日、タイガースに欠けていたものを吹っ切ったような連打。そして、まず目一杯やってみて、見事に大きなチャンスを一発で掴んだ狩野。やったな、良かったな、おめでとう。最高にカッコ良かった。