自称阪神タイガース評論家（跡地）

試合の詳細、あのシーン、このシーンは、おそらくこれからもまた繰り返し見る機会があるだろうからいいね。

星野ジャパンに対して言いたいことがある人もいるようだ。選考や起用法に疑問を持っている人もいるだろう。だけど、とりあえず結果を残したことについては評価をすべきだと思う。
じゃなぜ勝てたか。最大要因は団結力だろうなぁと思う。団結力の持つ底知れぬパワーを信じない人も、特に最近は多いのだけれど、私を滅し、一つの志に個をすべてなげうつという気構えが構成員皆が持った時、その一団は、通常では考えられないことをやってのけたりする。これは古来、日本の任侠の世界では当たり前のことだった。

星野仙一というリーダーは、ヤクザの親分だ。現代のインテリヤクザではなく、ちょっと前の親分（笑）。ドンパチは望むところ、そこで命を落とすなら本望。
その能力の高さには疑問の声も上がる。戦略が古い、強引だ、利己的だ…云々。しかしその力の源たる、「組」を作り上げる能力については、誰もが認めざるを得ない。

私も星野監督は良しとしても、田淵コーチ、山本コーチという「還暦祝い同窓会内閣」はどうなんだ？と思っていた。限られた人数でなんでもやらなきゃいけない中で、３長老と大野コーチという構成じゃ腰が重すぎるだろうと。
たぶん心配はそのとおりだったんだと思う。田淵コーチにしても山本コーチにしても、そうそう細かいことまで目が届くというタイプじゃないだろうしね。ただし二人の星野監督への忠誠心は並みじゃない。つまり「組」を構成していく上で、この忠誠心の権化たちは必要な機能だったのだろう。
実働部隊はベテラン選手を若頭に、整然と組織される。「野球で日本国民に喜びを」という大義、親分の勇、側近の忠。一つの油断が死を意味する緊迫した状況の中、兵隊は親分の心を一つも見逃すまいと集中する。ここは我慢だ、踏ん張れ、よしいいぞ、そうだ、ここだ、行け！その親分の発する気のままに、子分たちは暴れ回る。

見ていたのは野球なんだけど、古い芝居を見ているようだった。時代が変わっても、普遍的なパワーを持つものはある。野球は戦争を模したゲーム。ならば、日本には日本の戦争のやり方がある。それは、スモールとかビッグとかマネーとか、そういうものとはまた別のやり方なのかも知れない。