2008.02.27 Wednesday
今季から、広澤コーチが打撃指導の中心になっている。去年までは「正田コーチの下」という位置付けだったろうが、あの親分肌のキャラクターは、フリーハンドの権限を与えた方が生きるだろうと思う。ちょっと子どもっぽいというか、時に軽はずみと感じるような行動が気になるけれど、広角に強く打ち返していた現役時代のスイングは、スジの通った打撃理論を物語っていると思うし、自信満々の語り口には独特の説得力がある。
その広澤コーチがここのところべた褒めなのが育成選手契約の田中慎太朗なのだ。2/21のブログでは「この選手は掘り出しものだよ。すごい才能を感じるよ。ケガさえなければ、間違いなく支配下登録選手になって一軍メンバーに入って活躍すると思うよ」「ディープなファンのみんなは注目しててください。きっと出てくるから…」と、生かすも殺すもアンタ次第やんという立場を忘れて浮上予想しちゃってる(笑)。
キャンプの現場に行ったわけじゃないから、伝えられるところでしかないが、田中は練習中、元気いっぱいの大声で目立ちまくっているという。これって凄いことだよね。でも大事なこと。その声が「うるさい」んじゃ誰も良いと思ってくれない。その元気な声で、辛い練習がピリっと締まる、活気が出る、集中が増す、もう一踏ん張りが利く、そういう効果があったからこそ、「あいつは元気が良くて目立っている」ということになる。
これから春になって、中学高校の部活も新人を迎えたり、新学年になったりするのだけれど、どんなクラブでも一緒だよね。元気がある新人にはどんどんチャンスが回ってくる。それは、ただ元気を評価されるだけでなく、チームを気遣っているという人間性を評価されるということ。声は自分のことだけ考えている人には出せない。他を見て、状況を見て、自分自身を見て、集中しているからこそ、瞬時に必要な声が出せる。
それに声の大きさというのは一種の身体能力だからね。それこそ原始時代だったら、非常時に自分の存在を知らせる、敵対する相手を威嚇するという重要な能力。原始的戦闘を変形させたのがスポーツであるのだから、声の重要性はそのままスライドしているに違いない。
それほど見たわけじゃないが、振り出しが素速く、前が大きいパワフルなスイングも田中の特長。ミートする技術も高いものがあるという。181cm/82kgという立派な体だが、そう大きく見えないのは、猫背にかまえるフォームのせい?それとも背番号が大きすぎるから?(笑)ただ、金本新井とともに広島のアスリートで鍛えている体から出てくるパンチ力はすこぶる評判が良い。
大学時代はもっぱらDHで出場していたということで、一塁守備の評価は低い。しかし守備は練習で鍛えることができるからね。
再び広澤コーチ(スポニチ)「素直に話を聞くし、伸びる要素がある」「いつか、1軍枠に入ってくるのは間違いないよ。育成からのスタートということを考えると、レギュラーまでいけばある意味、スター誕生だ。大阪人が喜ぶドラマになるな。頑張れば、レギュラーになれる。そのための努力もできる」こんな言葉を聞くと、ついついドラフト下位からチャンスを掴んだ掛布のサクセスストーリーを重ね合わせちゃうね。簡単じゃないだろうけど、頑張って欲しいわ。とりあえず背番号は52が空いてるよ(笑)。
ま、だけど広澤コーチの言葉を、そうまともにとっちゃいけないかもね。どちらかと言えばリップサービス過剰なところもあるし、「最下層」の選手を持ち上げることで、チーム全体を活性化させようという狙いも大いにあるだろうしね。なんつっても広澤コーチは、ノムさんの弟子だから、その辺の心得はあるだろう。