2008.04.19 Saturday
大学野球優先で先々の予定が不確かな神宮は、中止がかさむと後が大変だというのはわかる。関西の放映権や前売り券の状況など、大人の事情もわからんではない。だけど常識的にやっちゃいけない試合だったことはスタンドの風景が物語っている。年間指定を含むチケットを持っている人の多くが来ないような日に試合をしちゃダメだ。目先の収入にはなっても、将来的には損になる。
プロ野球は主たる顧客たる入場者にとって、楽しい時間でなきゃいけない。ひいきチームの勝ち負けで楽しさは大きく変わるけれど、それはおりこみ済みのこと。そして予定外の悪天候は仕方ない。ハプニングも思い出になる。だけどこの日のように、朝から「春の嵐」がニュースになるような、しかもずっと予報も悪い中での強行は、客に苦難を与えるだけだ。わざわざ来てくれた人に苦痛を強いて、下手すれば健康被害を加える。それを避けて観戦を断念した人には、金銭的、精神的ダメージを与える。ファンのことなど何も考えていないと言われても仕方ないだろう。
プロ野球は熱狂的なファンと、レジャー目的のライトなお客さんとが、ほんわかと一体になって楽しめる娯楽だ。悪天候による中止は、お客さんへの「古き良き品質保証制度」の一つだ。楽しめる環境の保証があるから、安心して前売りが買えるのだ。
こんなことを繰り返していると、神宮のタイガース戦の前売りは売れなくなる。まったく本末転倒だ。
選手にとっても最悪の環境だったが、両チームの選手は良く頑張ったと思う。S先発のリオスは四死球連発だったが、制球の良い投手だと思った。狙ったところから、ほんのわずかに外れた球をことごとくボールと判定されたが、我慢して淡々と放っていたのはエラかった。アメリカでは雨が降ったらプレーをしないのが当たり前だというから、集中の面でも、指先の感覚の面でも大変だったろうね。スワローズは韓国リーグから台湾リーグから3Aから、本当に良い投手を連れてくるものだ。
初回、赤星四球。こんな日は何より先取点、平野送りバント成功。新井は追い込まれた後、差し込まれながらも一塁にゴロを転がし二死三塁。金本は外に逃げるシュートに合わせて三ゴロ、これを畠山が中途半端なワンバウンド送球、一塁リグス捕れず、ラッキーな先取点。
しかし以後は四球などでチャンスをたくさんもらうものの得点を重ねられなかったタイガース。試合は1−0のまま中盤になるのだが、だけど同じ残塁の山、同じ無得点でも、去年のとはずいぶん違うように思った。
まずは積極性。3回は一死から新井が三遊間ヒット。金本四球、葛城打撃妨害で一死満塁。得点圏打率6割越えの鳥谷は初球からフルスイングした。結果は、捕ったところにベースがあるという最悪の一ゴロ併殺となったが、堅いグラウンドなら1バウンドで一塁リグスの頭を越えるくらい強く叩けていた。良いゲッツーだ。
そして初回の先取点にしてもそうだが、アウトの時、走者が進塁することが多いのだ。4回は先頭矢野がヒット。続く関本の初球でエンドランのサイン。外直球を引っ掛け気味に遊ゴロ、矢野は二塁へ。これなかなか深いプレーだなぁ。二遊間は当然併殺シフトで、投球と打球を瞬時に判断して、どちらかがベースカバーに入る。右打ち得意、前の打席も二ゴロだった関本、投球も外直球だったから、二ゴロでショートがベースカバーになりそうだという予測が働いている。だから関本はわざわざ外を引っ掛けたんじゃないかなぁ。宮本が冷静だったのと、関本の足が遅いのとで、内野安打にもならなかったが、もしショートが一歩でもベースカバーに動いていたら三遊間真っ二つで、一三塁のチャンスができていただろうね。
その後も安藤死球(想像以上に俊敏に避けた)で一死一二塁、次のアウト赤星も二ゴロを転がして走者を二三塁に進めている。初回の例を見るまでもなく、雨の中走者が三塁にいたら、投手もすっぽ抜けが怖いし、内野手も外野手も怖いことばっかり。
うんそうつまり、アウトになっても走者を一つ進める、あわよくば誰も死なずにもっと進める。そういう戦術の選択がしっかりできていて、走者・打者が戦術を理解して実行している。チャンスを点にできないという結果は同じでも、プロセスが去年と全然違う。
だから誰も失敗をひきずらないで次のチャンスで思い切っていける。5回の鳥谷タイムリーはやっぱりファーストストライクを強く振った結果、ライトの出足を一歩ためらわせたためにライト前に落ちたのだし、続く矢野の2点タイムリーも初球から強振できたのだ。ちゃんと得点が入るような野球をしているから入るんだね。
それを集中力という一言でかたづけてしまっては選手に失礼だけど、でもそういうこと。絶対にミスしない。狙いをもって動く。こういうのは漫然と試合に出ていてはできないこと。悪コンディションの中だったので、出場機会の少ない控え野手、登板機会のない投手をどんどん出しても良いのではと思ったが、そういうことを考えたのかも知れないね。
集中力というのはストーリーへののめり込みだと思うのだ。「試合に勝つ」そのことだけにのめり込む。それにはバックグラウンド、下地がなきゃいけない。それが前回の安藤の完投負けなのだね。この日は野手陣が安藤に借りを返すという一点に見事結束できていたということだろう。
また安藤自身もよく頑張った。とにかく抜けないように低いところへという意識の強さ。雨が降っている。守りの時間を短くしたい。当然気ぜわしくなって投げ急いでしまう。気持ちの焦りは、悪いことばかり。投球間隔が打者にとって合わせやすくなる。体の開きが早くなり、球を早く放してしまうので、ボールが見やすい、球の威力がなくなる。矢野はそれをしっかり計算に入れ、落ち着いたリズムをキープさせていた。打ってもヒーロー級の3安打2打点だったしね。安藤もまるで相撲取りの四股踏みのように、ゆったりした投球フォームを維持していた。6回まで1失点で3勝目、ホント立派な投球。打者も奮起するよ、そりゃ。
その後も8回、赤星平野の連続二塁打で加点、さらに9回は関本二試合連続のライトオーバータイムリー二塁打でダメ押し&ダメダメ押し。関本のライナー性のライトオーバーは強烈な武器だね。球数を放らせるのもお手のもの、終盤9番に代打が使えるところではバントもできる。とりあえずこの8番関本はかなり面白い存在になるね。そしてさりげなくフォードも代打でヒット。偵察メンバーを使ったところを見ると5番を葛城とフォードの併用にするのかな。なかなかスムーズな打順変更じゃないの。
雨中4−1だったので、筒井→阿部→江草でも良いかなと思ったのだが、渡辺→江草→久保田と繋いだ。ナベ、エグは申し分なし。久保田はちょっと入れてなかったか、なめちゃったか宮本に一発食らう。ま、とにかく手堅く手堅くが岡田采配で、今のところ最高の結果を出しているので文句は言うまい。きっとぼちぼちそれなりの戦力化構想も見せてくれることだろう。
最悪の環境下では、最良の試合運び、そして最高の結果を残した。まだまだ繋げて行こう。
プロ野球は主たる顧客たる入場者にとって、楽しい時間でなきゃいけない。ひいきチームの勝ち負けで楽しさは大きく変わるけれど、それはおりこみ済みのこと。そして予定外の悪天候は仕方ない。ハプニングも思い出になる。だけどこの日のように、朝から「春の嵐」がニュースになるような、しかもずっと予報も悪い中での強行は、客に苦難を与えるだけだ。わざわざ来てくれた人に苦痛を強いて、下手すれば健康被害を加える。それを避けて観戦を断念した人には、金銭的、精神的ダメージを与える。ファンのことなど何も考えていないと言われても仕方ないだろう。
プロ野球は熱狂的なファンと、レジャー目的のライトなお客さんとが、ほんわかと一体になって楽しめる娯楽だ。悪天候による中止は、お客さんへの「古き良き品質保証制度」の一つだ。楽しめる環境の保証があるから、安心して前売りが買えるのだ。
こんなことを繰り返していると、神宮のタイガース戦の前売りは売れなくなる。まったく本末転倒だ。
選手にとっても最悪の環境だったが、両チームの選手は良く頑張ったと思う。S先発のリオスは四死球連発だったが、制球の良い投手だと思った。狙ったところから、ほんのわずかに外れた球をことごとくボールと判定されたが、我慢して淡々と放っていたのはエラかった。アメリカでは雨が降ったらプレーをしないのが当たり前だというから、集中の面でも、指先の感覚の面でも大変だったろうね。スワローズは韓国リーグから台湾リーグから3Aから、本当に良い投手を連れてくるものだ。
初回、赤星四球。こんな日は何より先取点、平野送りバント成功。新井は追い込まれた後、差し込まれながらも一塁にゴロを転がし二死三塁。金本は外に逃げるシュートに合わせて三ゴロ、これを畠山が中途半端なワンバウンド送球、一塁リグス捕れず、ラッキーな先取点。
しかし以後は四球などでチャンスをたくさんもらうものの得点を重ねられなかったタイガース。試合は1−0のまま中盤になるのだが、だけど同じ残塁の山、同じ無得点でも、去年のとはずいぶん違うように思った。
まずは積極性。3回は一死から新井が三遊間ヒット。金本四球、葛城打撃妨害で一死満塁。得点圏打率6割越えの鳥谷は初球からフルスイングした。結果は、捕ったところにベースがあるという最悪の一ゴロ併殺となったが、堅いグラウンドなら1バウンドで一塁リグスの頭を越えるくらい強く叩けていた。良いゲッツーだ。
そして初回の先取点にしてもそうだが、アウトの時、走者が進塁することが多いのだ。4回は先頭矢野がヒット。続く関本の初球でエンドランのサイン。外直球を引っ掛け気味に遊ゴロ、矢野は二塁へ。これなかなか深いプレーだなぁ。二遊間は当然併殺シフトで、投球と打球を瞬時に判断して、どちらかがベースカバーに入る。右打ち得意、前の打席も二ゴロだった関本、投球も外直球だったから、二ゴロでショートがベースカバーになりそうだという予測が働いている。だから関本はわざわざ外を引っ掛けたんじゃないかなぁ。宮本が冷静だったのと、関本の足が遅いのとで、内野安打にもならなかったが、もしショートが一歩でもベースカバーに動いていたら三遊間真っ二つで、一三塁のチャンスができていただろうね。
その後も安藤死球(想像以上に俊敏に避けた)で一死一二塁、次のアウト赤星も二ゴロを転がして走者を二三塁に進めている。初回の例を見るまでもなく、雨の中走者が三塁にいたら、投手もすっぽ抜けが怖いし、内野手も外野手も怖いことばっかり。
うんそうつまり、アウトになっても走者を一つ進める、あわよくば誰も死なずにもっと進める。そういう戦術の選択がしっかりできていて、走者・打者が戦術を理解して実行している。チャンスを点にできないという結果は同じでも、プロセスが去年と全然違う。
だから誰も失敗をひきずらないで次のチャンスで思い切っていける。5回の鳥谷タイムリーはやっぱりファーストストライクを強く振った結果、ライトの出足を一歩ためらわせたためにライト前に落ちたのだし、続く矢野の2点タイムリーも初球から強振できたのだ。ちゃんと得点が入るような野球をしているから入るんだね。
それを集中力という一言でかたづけてしまっては選手に失礼だけど、でもそういうこと。絶対にミスしない。狙いをもって動く。こういうのは漫然と試合に出ていてはできないこと。悪コンディションの中だったので、出場機会の少ない控え野手、登板機会のない投手をどんどん出しても良いのではと思ったが、そういうことを考えたのかも知れないね。
集中力というのはストーリーへののめり込みだと思うのだ。「試合に勝つ」そのことだけにのめり込む。それにはバックグラウンド、下地がなきゃいけない。それが前回の安藤の完投負けなのだね。この日は野手陣が安藤に借りを返すという一点に見事結束できていたということだろう。
また安藤自身もよく頑張った。とにかく抜けないように低いところへという意識の強さ。雨が降っている。守りの時間を短くしたい。当然気ぜわしくなって投げ急いでしまう。気持ちの焦りは、悪いことばかり。投球間隔が打者にとって合わせやすくなる。体の開きが早くなり、球を早く放してしまうので、ボールが見やすい、球の威力がなくなる。矢野はそれをしっかり計算に入れ、落ち着いたリズムをキープさせていた。打ってもヒーロー級の3安打2打点だったしね。安藤もまるで相撲取りの四股踏みのように、ゆったりした投球フォームを維持していた。6回まで1失点で3勝目、ホント立派な投球。打者も奮起するよ、そりゃ。
その後も8回、赤星平野の連続二塁打で加点、さらに9回は関本二試合連続のライトオーバータイムリー二塁打でダメ押し&ダメダメ押し。関本のライナー性のライトオーバーは強烈な武器だね。球数を放らせるのもお手のもの、終盤9番に代打が使えるところではバントもできる。とりあえずこの8番関本はかなり面白い存在になるね。そしてさりげなくフォードも代打でヒット。偵察メンバーを使ったところを見ると5番を葛城とフォードの併用にするのかな。なかなかスムーズな打順変更じゃないの。
雨中4−1だったので、筒井→阿部→江草でも良いかなと思ったのだが、渡辺→江草→久保田と繋いだ。ナベ、エグは申し分なし。久保田はちょっと入れてなかったか、なめちゃったか宮本に一発食らう。ま、とにかく手堅く手堅くが岡田采配で、今のところ最高の結果を出しているので文句は言うまい。きっとぼちぼちそれなりの戦力化構想も見せてくれることだろう。
最悪の環境下では、最良の試合運び、そして最高の結果を残した。まだまだ繋げて行こう。