2008.05.26 Monday
あの頃は、HR量産で打棒のTに対し、ソツのない攻めと質量とも最強の投手陣を誇る守りのLという構図だった。今年はともにリーグ首位を突っ走っているが、その構図はまさに正反対になっているのが面白い。
先発は上園が今季初登板。不振のため5/19に抹消された杉山に代わり、5/24に登録された(あと5/25は今岡と桜井が抹消で、高橋光と秀太を登録)。その日のH戦でも、「ご当地で先発か?」とカモフラージュ役をしたが、さすがに前回登板(二軍戦)から中3日はない。
キャンプは極めて順調だったものの、オープン戦でピリッとせず、いやむしろ、他の投手がピリッとしていた関係でローテ枠からはみ出てしまって開幕は二軍スタート。いつでも昇格できるように二軍ローテで待機のはずが、調子さっぱり上がらず成績低迷。今回の昇格だって、アッチソン右ヒジ故障、杉山不調、金村曉はもっと不調…てなわけで、「消極的選択」に他ならなかった。
ところが一軍で投げてみると6回108球5安打、猛打のL打線相手に1失点で踏ん張る。くどいようだが二軍ではこんな投球一度もしていないのに。これは大変困ったことだ。厳しい競争社会だから、一軍枠を掴む唯一の手段は二軍での競争に勝つことが大原則。ところが二軍でぱっとしなくても、一軍で活躍しちゃうヤツがいる。やっとの思いで一軍枠を得ても、機会に恵まれなかったり、機会を生かせなかったりする者が大半を占めるというのに。
しかしこれが現実なんだろうな。じゃ上園は下で手を抜いていたのかと言えば、そういう事じゃない。上園なりに必死でやっているのに結果が出なくて悩んでいたのだろう。悩む中で技術的なチェックポイントを一つ一つ潰していったにせよ、それでも解消されなかったのだと思う。上園は「スポーツ選手」、「アスリート」である前に、「戦士」「勝負師」なんだろうね。「技」と「体」を統合するのが「心」なのだと言うけれど、上園の場合は、その心がゴーゴーと音をたてて燃え盛っていなければ、心技体の統合がなされないのだろう。
1回表簡単に二死を取ってから、二死満塁のピンチを背負う。この時の不安げなスタンドの空気、せっかくのチャンスで情けない姿をさらす自分に気付き、一気に着火したかのようだった。以後の上園は、去年の上園だった。「オマエにこの球が打てるか!」とばかりに凄みつつ、何のヘンテツもなさそうな130km/h台のまっすぐをど真ん中に放り込んで、事実、打者に見送らせる。何か知らんが一瞬たじろがずにはいられない迫力。まるでハッタリみたいなんだけど、当事者たる上園と、対戦する打者にとって、その迫力は「真実」以外の何者でもないのだろう。
ウェルカムバック。岩田と上園の若き両輪が、闘志でチームを引っ張るのか。楽しみがまたまた増えたよ。
ってことで、勝機はずいぶんと遅くなったが、上園がロースコアゲームに持ち込んだ時点で、試合はおおまかタイガースペースだ。しかし、いつかは追いつき追い越すだろうと思いつつも、昔の大エース西口を打てず、終盤までゼロは良くなかったね。
1回ウラの先制機は、4番5番で取り損ねる。
3回ウラは相当マズい無得点。先頭上園ヒット、赤星内野ゴロで走者入れ替わり&二盗成功までは完璧に予定通り。一死二塁で、平野がセンター右へのクリーンヒット。セカンド横をライナーで破ったため、赤星のスタートは一瞬遅れる。これは仕方ない。しかしちょっと遅れすぎた。センターボカチカは強肩だが、打球へのチャージはやや横走りになっている。非常に際どい判断。和田コーチは赤星を止めた。本当に難しい判断だったとは思う。ボカチカの送球がストライクなら赤星はアウトになり、さらに首の状態を悪くしただろう。一死一三塁、しかも三走赤星なら、新井金本で1点取れる可能性は極めて高い。ここはストップ。これは大正解のはずだった。ところが、正解はその直後に見ることができた。水滴が残る甲子園の芝に足を取られたボカチカの送球はとんでもないところへ飛んでいく(もちろんバックアップがいたから問題はない)。赤星GOなら労せずして1点だった。
そうこれは結果論。しかしこの「正解」が新井の打撃にも影響をもたらしたように、まさかの5−4−3ゲッツー。このショックが勝機を大いに遅らせたと言えるだろうし、逆に大逆転劇のエネルギーになったとも言えるだろう。
7回ウラ。先頭鳥谷どん詰まりながら二遊間を破ってセンター前。芯を外してもヒットコースに球が行くのは、パワーと正しいスイング軌道のおかげ。野口バント成功グッジョブ。関本はミスショット、ポップフライは最悪。しかしこの投手真上のフライで、捕球後の二番手小野寺にサード中村がレイトタックル。というか「ぶちかまし」(笑)。ケガはないようだったが、結果的にこの後小野寺はボロボロになっちゃったんだから、影響なしとは言えなかっただろう。
二死二塁、二番手として前の回をビシッと抑えた久保田に代打葛城。初球のフォークを見切ってボール。結果が出ていない葛城だが、これでずいぶんと落ち着いた。2球目の速球について行ってファール。3球目低めいっぱい、ストライクのフォークを綺麗に投手足元へ、センター前ゴロで抜ける、鳥谷三塁を回る、ボカチカバックホーム、良い返球、セーフ!際どいタイミングだったが、外野守備位置が「必死」まで詰めていなかったので助かったかも知れない。同点!さあ追いついたぞ。
追いついた瞬間から、もう負けないという確信が沸いてくる。ただ見ている私ですらそうなんだから、やっている選手たちはもっと確信していただろう。葛城は二塁へ進んでいる。赤星初球ストライクを取るフォークを狙い打ち、センター前。今度はセンター左に走るのでバックホームは無理、逆転!赤星2試合連続の逆転タイムリー!赤星は本当に飛距離と方向性をコントロールしている。ネット(内野手)を越えて、ライン(外野手)手前に落とす。ひとりだけテニスのパッシングショットをやっている。そして、なんといっても初球を狙っているのが良いよね。もう投げる前から圧倒的優位に立っている。
小野寺は平野にストレートの四球で岡本真に交代。新井が崩されながら広く空いた三遊間に転がして3−1。金本が一二塁間を破って4−1、そして三走新井が一瞬のスキも見逃さない好走塁(捕手がワンバウンド投球をわずかに一塁側に弾いたところ、ホームに突っ込んだ)で5−1。2アウトから5点取っちゃった。いやあ、強いねえ。
ジェフ、球児が危なげなく締めて、首位決戦に先勝。守って守って、少ないチャンスをベンチ含むみんなで集中してものにするというのが定着してきた。控えが日替わりで活躍するのも良いね。秋のためにも、もう一つ行っちゃおう!
先発は上園が今季初登板。不振のため5/19に抹消された杉山に代わり、5/24に登録された(あと5/25は今岡と桜井が抹消で、高橋光と秀太を登録)。その日のH戦でも、「ご当地で先発か?」とカモフラージュ役をしたが、さすがに前回登板(二軍戦)から中3日はない。
キャンプは極めて順調だったものの、オープン戦でピリッとせず、いやむしろ、他の投手がピリッとしていた関係でローテ枠からはみ出てしまって開幕は二軍スタート。いつでも昇格できるように二軍ローテで待機のはずが、調子さっぱり上がらず成績低迷。今回の昇格だって、アッチソン右ヒジ故障、杉山不調、金村曉はもっと不調…てなわけで、「消極的選択」に他ならなかった。
ところが一軍で投げてみると6回108球5安打、猛打のL打線相手に1失点で踏ん張る。くどいようだが二軍ではこんな投球一度もしていないのに。これは大変困ったことだ。厳しい競争社会だから、一軍枠を掴む唯一の手段は二軍での競争に勝つことが大原則。ところが二軍でぱっとしなくても、一軍で活躍しちゃうヤツがいる。やっとの思いで一軍枠を得ても、機会に恵まれなかったり、機会を生かせなかったりする者が大半を占めるというのに。
しかしこれが現実なんだろうな。じゃ上園は下で手を抜いていたのかと言えば、そういう事じゃない。上園なりに必死でやっているのに結果が出なくて悩んでいたのだろう。悩む中で技術的なチェックポイントを一つ一つ潰していったにせよ、それでも解消されなかったのだと思う。上園は「スポーツ選手」、「アスリート」である前に、「戦士」「勝負師」なんだろうね。「技」と「体」を統合するのが「心」なのだと言うけれど、上園の場合は、その心がゴーゴーと音をたてて燃え盛っていなければ、心技体の統合がなされないのだろう。
1回表簡単に二死を取ってから、二死満塁のピンチを背負う。この時の不安げなスタンドの空気、せっかくのチャンスで情けない姿をさらす自分に気付き、一気に着火したかのようだった。以後の上園は、去年の上園だった。「オマエにこの球が打てるか!」とばかりに凄みつつ、何のヘンテツもなさそうな130km/h台のまっすぐをど真ん中に放り込んで、事実、打者に見送らせる。何か知らんが一瞬たじろがずにはいられない迫力。まるでハッタリみたいなんだけど、当事者たる上園と、対戦する打者にとって、その迫力は「真実」以外の何者でもないのだろう。
ウェルカムバック。岩田と上園の若き両輪が、闘志でチームを引っ張るのか。楽しみがまたまた増えたよ。
ってことで、勝機はずいぶんと遅くなったが、上園がロースコアゲームに持ち込んだ時点で、試合はおおまかタイガースペースだ。しかし、いつかは追いつき追い越すだろうと思いつつも、昔の大エース西口を打てず、終盤までゼロは良くなかったね。
1回ウラの先制機は、4番5番で取り損ねる。
3回ウラは相当マズい無得点。先頭上園ヒット、赤星内野ゴロで走者入れ替わり&二盗成功までは完璧に予定通り。一死二塁で、平野がセンター右へのクリーンヒット。セカンド横をライナーで破ったため、赤星のスタートは一瞬遅れる。これは仕方ない。しかしちょっと遅れすぎた。センターボカチカは強肩だが、打球へのチャージはやや横走りになっている。非常に際どい判断。和田コーチは赤星を止めた。本当に難しい判断だったとは思う。ボカチカの送球がストライクなら赤星はアウトになり、さらに首の状態を悪くしただろう。一死一三塁、しかも三走赤星なら、新井金本で1点取れる可能性は極めて高い。ここはストップ。これは大正解のはずだった。ところが、正解はその直後に見ることができた。水滴が残る甲子園の芝に足を取られたボカチカの送球はとんでもないところへ飛んでいく(もちろんバックアップがいたから問題はない)。赤星GOなら労せずして1点だった。
そうこれは結果論。しかしこの「正解」が新井の打撃にも影響をもたらしたように、まさかの5−4−3ゲッツー。このショックが勝機を大いに遅らせたと言えるだろうし、逆に大逆転劇のエネルギーになったとも言えるだろう。
7回ウラ。先頭鳥谷どん詰まりながら二遊間を破ってセンター前。芯を外してもヒットコースに球が行くのは、パワーと正しいスイング軌道のおかげ。野口バント成功グッジョブ。関本はミスショット、ポップフライは最悪。しかしこの投手真上のフライで、捕球後の二番手小野寺にサード中村がレイトタックル。というか「ぶちかまし」(笑)。ケガはないようだったが、結果的にこの後小野寺はボロボロになっちゃったんだから、影響なしとは言えなかっただろう。
二死二塁、二番手として前の回をビシッと抑えた久保田に代打葛城。初球のフォークを見切ってボール。結果が出ていない葛城だが、これでずいぶんと落ち着いた。2球目の速球について行ってファール。3球目低めいっぱい、ストライクのフォークを綺麗に投手足元へ、センター前ゴロで抜ける、鳥谷三塁を回る、ボカチカバックホーム、良い返球、セーフ!際どいタイミングだったが、外野守備位置が「必死」まで詰めていなかったので助かったかも知れない。同点!さあ追いついたぞ。
追いついた瞬間から、もう負けないという確信が沸いてくる。ただ見ている私ですらそうなんだから、やっている選手たちはもっと確信していただろう。葛城は二塁へ進んでいる。赤星初球ストライクを取るフォークを狙い打ち、センター前。今度はセンター左に走るのでバックホームは無理、逆転!赤星2試合連続の逆転タイムリー!赤星は本当に飛距離と方向性をコントロールしている。ネット(内野手)を越えて、ライン(外野手)手前に落とす。ひとりだけテニスのパッシングショットをやっている。そして、なんといっても初球を狙っているのが良いよね。もう投げる前から圧倒的優位に立っている。
小野寺は平野にストレートの四球で岡本真に交代。新井が崩されながら広く空いた三遊間に転がして3−1。金本が一二塁間を破って4−1、そして三走新井が一瞬のスキも見逃さない好走塁(捕手がワンバウンド投球をわずかに一塁側に弾いたところ、ホームに突っ込んだ)で5−1。2アウトから5点取っちゃった。いやあ、強いねえ。
ジェフ、球児が危なげなく締めて、首位決戦に先勝。守って守って、少ないチャンスをベンチ含むみんなで集中してものにするというのが定着してきた。控えが日替わりで活躍するのも良いね。秋のためにも、もう一つ行っちゃおう!