2008.05.25 Sunday
という懐かしいツッコミが日本全国から巻き起こったこの日のスタメン。
1 3B バルディリス
2 2B 関本
3 1B 新井
4 LF 金本
5 RF 桜井
6 SS 鳥谷
7 CF フォード
8 DH 浅井
9 C 野口
P 岩田
確かに左打者には極めて打ちにくい杉内ではある。その理由は左打者のインサイド直球で出し入れができること。要は並はずれた制球力があるということ。
それはつまり右打者にとっても簡単には打てないということを意味するのだが、こういう左右の打者に関係なく安定した制球を発揮できる投手の場合は、額面通り右打者有利という数字が出てくる。
で、結果はどうだったか。
結果1=やっぱり杉内は打てなかった。7回5安打10三振。
結果2=だけど1点は取った。
結果3=杉内後の投手を打って、試合に勝った。
そう、杉内の投球は本当に素晴らしかった。だから打てないのは仕方ない。評価すべきは、それでも試合に勝ったこと。これまで杉内は中6日以上のゆったりとしたローテで使われてきたが、変則の交流戦、パウエルが抜けた中、エースの投球を続ける杉内には、当然中5日も要求される。この日の7回118球交代も、今後のことを考えれば無理はさせられないという判断であろう。
となると実に光ったのが、1−2とリードされた7回表の攻撃だ。鳥谷、フォードが簡単に倒れて二死。浅井が2−1と追い込まれた後、変化球にも直球にも食らいついて粘る。そうそう、オープン戦でもこれを見せてもらった。ベンチに残ったのはこの打撃があったから。粘っている内にタイミングを合わせる、ただ初球から積極的に振るだけの打者から、一つレベルアップした打席を見せていたよな。ついに8球目のカーブをセンター前にクリーンヒット!ナイスバッティン!この日杉内から2本目だ。
二死一塁、打席は野口。そう客観的に考えて、まったくあたふたする場面ではない。杉内、一走浅井をちらっと見て第1球、完璧な制球アウトロー直球でストライク。おおっと!浅井がスタートしている、二塁へ良い送球、しかし楽々セーフ!杉内の数少ない欠点は牽制やクイックが下手なこと。さらにちょっとした油断もついた素晴らしい作戦。
7回まで来て、同点の走者が二塁にいるとなれば、さすがの杉内も気を使う。野口もなんとかしようと、追い込まれた後、変化球と直球、どちらにも当てられるタイミングで食らいつく。粘る粘る。ついに11球目の低く外れるカーブにバットが空を切った。
しかし、もうこの回も終わったと、そんな気分になった二死から、浅井と野口で19球投げさせ、しかも同点を意識させてプレッシャーをかけた。恐らくホークス首脳陣は、球数もあるが、下位打線にこれだけ粘られると次の回は危険かもしれないという考えもあったはず。結果ゼロに終わったが、この攻撃が勝利の下地になった。
「ホンマに出してどないすんねん打線」と杉内の対戦を振り返ってみると、3つ凡退のフォード、チャンスの2三振を含む3三振の桜井は機能しなかったが、1番バルは得点に繋がる1安打、関本は犠打と、二塁打で好機を作り、そしてこの浅井と野口。思い切りの良さが功を奏したと言って良いのではないか。グッジョブ、首脳陣。
そしてもう一つ杉内を苦しめたのが岩田の好投だ。現在絶好調のリーグ奪三振王を敵に回して、堂々と投げ合った。制球力では太刀打ちできなくとも、緩急のコンビネーション、ボールのキレでは一歩も引けを取らなかった。
もちろんカウントを悪くしてスイングされてしまったことで失った2点、これは反省材料だが、今の岩田にそこまで求めるべきじゃない。今はただ野口のミット目がけて、目一杯腕を振って、打者と勝負するハートを鍛える時期。カウントを作ったり、相手に振らせない間合いについては、この日の杉内が大いに参考になっただろうと思う。エースの風格がちらちらっと見えて来たね。よう頑張った。
そしてジェフ。1点ビハインドの8回ウラをピシャリと抑えた。前2回失敗していて、神経質にならざるを得ない登板だったが、直球、スライダーとも完璧。再び去年のまったく危なげのないジェフに戻っていきそうな予感たっぷりの投球。良かった!そういうムードが9回に繋がったね。
あの頃を思い出せ!この日、ホークスが身にまとっていた「FDH」の復刻ユニフォームにはそういうメッセージが込められていたのだろう。03年、タイガースとの日本シリーズに勝って、日本一に輝いたホークス。以後、実力者と言われながら、変遷するプレーオフ制度に翻弄された。「もう一度」という願いを込めた好企画だと思う。
そしてその企画のせいもあってか、やっぱりホークスはホークス。前日の対戦でもそう思った。この日も、FDHの杉内の投球に苦しめられる。善戦はしても、いつかいっぱいいっぱいになってしまって、伸びやかなフルスイングで緊張の糸を切られ、一気に崩壊する。私の心もすっかりこの福岡ドームではどうしても勝てなかった03年の秋に戻っていた。それは「ここでは勝てない」なんていう気弱なものじゃない。もうなんというかイライラというか、ムシャクシャというか。絶対勝てよ、この福岡でFDHに勝つチャンスを逃すなよ。そんな感じ。ベンチの中で、同じような気持ちを持っていた選手、首脳陣もけっこういたんじゃないかな。
そんことは関係ない岩田が接戦を作ったものの、すでに9回表。ホークスの抑えホールトンがマウンドへ。04年からプレーしている鳥谷が内野安打で出塁。本塁まわりのアンツーカーで大きくはねる打球に苦しめられていたが、ようやっと味方につけた。無死一塁からフォードがライト線、フェンス直撃の二塁打。この打撃ができるようなら使う価値有り。さあ来た、無死二三塁!FDHに福岡で勝つのだ!野郎ども!
2安打の浅井に代えて葛城。そうそう、ここらへんの代打については、オーソドックスに行って欲しかったなぁ。8回表投手が久米に変わった時、先頭バルちゃんに代打桧山だったけど、ここをチャンスメーク上手の葛城。で、前の打席粘って粘って最高の内容だった浅井はそのまま(きっと打ったと思うんよ)。それでチャンスでなきゃ燃えない体になってしまった桧山を野口への代打とするのが手筋だと思った。
葛城チェンジアップをブルンと振ったがスカ。ガックリと崩れる。一死二三塁。
野口チェンジアップをびゅんと振ったがスカ。へなへなと崩れる。二死二三塁。
おいおいお前ら何やっとんねんっちゅう話や。
で、打者は…藤本か。で、代打は?出さないの、そう。残りは矢野、今岡か。おし、行け藤本。ああ、あかん。まっすぐにまったく雰囲気のない空振り2つで2−1と追い込まれる。粘れよ、そう03年の日本シリーズを思い出せ!甲子園でサヨナラ犠飛を打った、あの輝いていた日々を思い出せ!あ、ライトフライじゃダメだぞ。
ホールトンの精神状態も揺れに揺れまくっていたと思う。1点差のクロージングで、いきなり無死二三塁。開き直ったら連続三振で二死。出てきたのが、どっからどう見ても「小っちゃこいアンパイ」あと一人、あと1球である。心がはやる、体が開く。さっき空振りを取れた直球がシュート回転する。当てられる、外れる。ああカウント2−3、ああチェンジアップ振ってくれないフォアボール、満塁!ようやった藤本!私の中では03年並みに輝いて見えたぞ!
二死満塁、赤星。杉内対策か、首の養生か、スタメン外れて8回代走から2番に入っていた。さあここは押し出しもあるし、もう押せ押せだ。赤星頼む!リメンバー03!
積極的に手を出してファール、カウント2−1。4球目は足下インロー、「出来れば当たって」そんな白々しい逃げ方も、そこまでボール食い込まずボール、2−2。5球目今度は真ん中から膝元へのスライダー、低いのを見切って2−3!さあ大変だ!1点負けてて、9回二死満塁、カウント2−3!こんな追い込まれた状況はなかなかないぞ!それは投手も打者もだ!3走者は投球動作とともに一斉にスタート!投げた、低め直球、赤星バットを合わせた、そうこれ以上振るとレフトフライになる。今年の赤星はショートの頭の上しか飛ばない飛距離を完璧にマスターした。見事なレフト前ヒット!スタートしていたから当然二走フォードも余裕の生還!大逆転!よっしゃー!藤本&赤星、03を知る男たちで決めたぜ!赤星ガッツポーズ!ああ、やったよ、ついにやったよ…
うんにゃ、ここは福岡だ。まだまだ手を緩めるわけには、ガツン!うわあああ!新井ちゃーん!初球センター前!藤本ホームイン、赤星もホームイン!生還した藤本&赤星ががっちり手を合わせる!5−2!うおおおお!ぎゃあああああ!…はぁはぁ…。
最終回は藤川。影のヒーロー藤本は珍しく三塁守備に入っていたのだ、できんの?でも関係なかった。藤川が投げたのは10球。そして三者連続空振り三振。
怒濤の終幕。カタルシス。エクスタシー。昇天。いやあ興奮した。もうなんだかグッタリ(笑)。
赤星もインタビューで高ぶっていたけど、そら興奮状態の人間、刺激したらあかんわ(笑)。それだけの試合だったし、それだけの仕事だったからね。はー、ホント最高。言葉もないよ!
1 3B バルディリス
2 2B 関本
3 1B 新井
4 LF 金本
5 RF 桜井
6 SS 鳥谷
7 CF フォード
8 DH 浅井
9 C 野口
P 岩田
確かに左打者には極めて打ちにくい杉内ではある。その理由は左打者のインサイド直球で出し入れができること。要は並はずれた制球力があるということ。
それはつまり右打者にとっても簡単には打てないということを意味するのだが、こういう左右の打者に関係なく安定した制球を発揮できる投手の場合は、額面通り右打者有利という数字が出てくる。
で、結果はどうだったか。
結果1=やっぱり杉内は打てなかった。7回5安打10三振。
結果2=だけど1点は取った。
結果3=杉内後の投手を打って、試合に勝った。
そう、杉内の投球は本当に素晴らしかった。だから打てないのは仕方ない。評価すべきは、それでも試合に勝ったこと。これまで杉内は中6日以上のゆったりとしたローテで使われてきたが、変則の交流戦、パウエルが抜けた中、エースの投球を続ける杉内には、当然中5日も要求される。この日の7回118球交代も、今後のことを考えれば無理はさせられないという判断であろう。
となると実に光ったのが、1−2とリードされた7回表の攻撃だ。鳥谷、フォードが簡単に倒れて二死。浅井が2−1と追い込まれた後、変化球にも直球にも食らいついて粘る。そうそう、オープン戦でもこれを見せてもらった。ベンチに残ったのはこの打撃があったから。粘っている内にタイミングを合わせる、ただ初球から積極的に振るだけの打者から、一つレベルアップした打席を見せていたよな。ついに8球目のカーブをセンター前にクリーンヒット!ナイスバッティン!この日杉内から2本目だ。
二死一塁、打席は野口。そう客観的に考えて、まったくあたふたする場面ではない。杉内、一走浅井をちらっと見て第1球、完璧な制球アウトロー直球でストライク。おおっと!浅井がスタートしている、二塁へ良い送球、しかし楽々セーフ!杉内の数少ない欠点は牽制やクイックが下手なこと。さらにちょっとした油断もついた素晴らしい作戦。
7回まで来て、同点の走者が二塁にいるとなれば、さすがの杉内も気を使う。野口もなんとかしようと、追い込まれた後、変化球と直球、どちらにも当てられるタイミングで食らいつく。粘る粘る。ついに11球目の低く外れるカーブにバットが空を切った。
しかし、もうこの回も終わったと、そんな気分になった二死から、浅井と野口で19球投げさせ、しかも同点を意識させてプレッシャーをかけた。恐らくホークス首脳陣は、球数もあるが、下位打線にこれだけ粘られると次の回は危険かもしれないという考えもあったはず。結果ゼロに終わったが、この攻撃が勝利の下地になった。
「ホンマに出してどないすんねん打線」と杉内の対戦を振り返ってみると、3つ凡退のフォード、チャンスの2三振を含む3三振の桜井は機能しなかったが、1番バルは得点に繋がる1安打、関本は犠打と、二塁打で好機を作り、そしてこの浅井と野口。思い切りの良さが功を奏したと言って良いのではないか。グッジョブ、首脳陣。
そしてもう一つ杉内を苦しめたのが岩田の好投だ。現在絶好調のリーグ奪三振王を敵に回して、堂々と投げ合った。制球力では太刀打ちできなくとも、緩急のコンビネーション、ボールのキレでは一歩も引けを取らなかった。
もちろんカウントを悪くしてスイングされてしまったことで失った2点、これは反省材料だが、今の岩田にそこまで求めるべきじゃない。今はただ野口のミット目がけて、目一杯腕を振って、打者と勝負するハートを鍛える時期。カウントを作ったり、相手に振らせない間合いについては、この日の杉内が大いに参考になっただろうと思う。エースの風格がちらちらっと見えて来たね。よう頑張った。
そしてジェフ。1点ビハインドの8回ウラをピシャリと抑えた。前2回失敗していて、神経質にならざるを得ない登板だったが、直球、スライダーとも完璧。再び去年のまったく危なげのないジェフに戻っていきそうな予感たっぷりの投球。良かった!そういうムードが9回に繋がったね。
あの頃を思い出せ!この日、ホークスが身にまとっていた「FDH」の復刻ユニフォームにはそういうメッセージが込められていたのだろう。03年、タイガースとの日本シリーズに勝って、日本一に輝いたホークス。以後、実力者と言われながら、変遷するプレーオフ制度に翻弄された。「もう一度」という願いを込めた好企画だと思う。
そしてその企画のせいもあってか、やっぱりホークスはホークス。前日の対戦でもそう思った。この日も、FDHの杉内の投球に苦しめられる。善戦はしても、いつかいっぱいいっぱいになってしまって、伸びやかなフルスイングで緊張の糸を切られ、一気に崩壊する。私の心もすっかりこの福岡ドームではどうしても勝てなかった03年の秋に戻っていた。それは「ここでは勝てない」なんていう気弱なものじゃない。もうなんというかイライラというか、ムシャクシャというか。絶対勝てよ、この福岡でFDHに勝つチャンスを逃すなよ。そんな感じ。ベンチの中で、同じような気持ちを持っていた選手、首脳陣もけっこういたんじゃないかな。
そんことは関係ない岩田が接戦を作ったものの、すでに9回表。ホークスの抑えホールトンがマウンドへ。04年からプレーしている鳥谷が内野安打で出塁。本塁まわりのアンツーカーで大きくはねる打球に苦しめられていたが、ようやっと味方につけた。無死一塁からフォードがライト線、フェンス直撃の二塁打。この打撃ができるようなら使う価値有り。さあ来た、無死二三塁!FDHに福岡で勝つのだ!野郎ども!
2安打の浅井に代えて葛城。そうそう、ここらへんの代打については、オーソドックスに行って欲しかったなぁ。8回表投手が久米に変わった時、先頭バルちゃんに代打桧山だったけど、ここをチャンスメーク上手の葛城。で、前の打席粘って粘って最高の内容だった浅井はそのまま(きっと打ったと思うんよ)。それでチャンスでなきゃ燃えない体になってしまった桧山を野口への代打とするのが手筋だと思った。
葛城チェンジアップをブルンと振ったがスカ。ガックリと崩れる。一死二三塁。
野口チェンジアップをびゅんと振ったがスカ。へなへなと崩れる。二死二三塁。
おいおいお前ら何やっとんねんっちゅう話や。
で、打者は…藤本か。で、代打は?出さないの、そう。残りは矢野、今岡か。おし、行け藤本。ああ、あかん。まっすぐにまったく雰囲気のない空振り2つで2−1と追い込まれる。粘れよ、そう03年の日本シリーズを思い出せ!甲子園でサヨナラ犠飛を打った、あの輝いていた日々を思い出せ!あ、ライトフライじゃダメだぞ。
ホールトンの精神状態も揺れに揺れまくっていたと思う。1点差のクロージングで、いきなり無死二三塁。開き直ったら連続三振で二死。出てきたのが、どっからどう見ても「小っちゃこいアンパイ」あと一人、あと1球である。心がはやる、体が開く。さっき空振りを取れた直球がシュート回転する。当てられる、外れる。ああカウント2−3、ああチェンジアップ振ってくれないフォアボール、満塁!ようやった藤本!私の中では03年並みに輝いて見えたぞ!
二死満塁、赤星。杉内対策か、首の養生か、スタメン外れて8回代走から2番に入っていた。さあここは押し出しもあるし、もう押せ押せだ。赤星頼む!リメンバー03!
積極的に手を出してファール、カウント2−1。4球目は足下インロー、「出来れば当たって」そんな白々しい逃げ方も、そこまでボール食い込まずボール、2−2。5球目今度は真ん中から膝元へのスライダー、低いのを見切って2−3!さあ大変だ!1点負けてて、9回二死満塁、カウント2−3!こんな追い込まれた状況はなかなかないぞ!それは投手も打者もだ!3走者は投球動作とともに一斉にスタート!投げた、低め直球、赤星バットを合わせた、そうこれ以上振るとレフトフライになる。今年の赤星はショートの頭の上しか飛ばない飛距離を完璧にマスターした。見事なレフト前ヒット!スタートしていたから当然二走フォードも余裕の生還!大逆転!よっしゃー!藤本&赤星、03を知る男たちで決めたぜ!赤星ガッツポーズ!ああ、やったよ、ついにやったよ…
うんにゃ、ここは福岡だ。まだまだ手を緩めるわけには、ガツン!うわあああ!新井ちゃーん!初球センター前!藤本ホームイン、赤星もホームイン!生還した藤本&赤星ががっちり手を合わせる!5−2!うおおおお!ぎゃあああああ!…はぁはぁ…。
最終回は藤川。影のヒーロー藤本は珍しく三塁守備に入っていたのだ、できんの?でも関係なかった。藤川が投げたのは10球。そして三者連続空振り三振。
怒濤の終幕。カタルシス。エクスタシー。昇天。いやあ興奮した。もうなんだかグッタリ(笑)。
赤星もインタビューで高ぶっていたけど、そら興奮状態の人間、刺激したらあかんわ(笑)。それだけの試合だったし、それだけの仕事だったからね。はー、ホント最高。言葉もないよ!