自称阪神タイガース評論家（跡地）

球団側は慰留する方針だと言うが翻意は難しいだろう。決めたら変えない岡田監督の性格は良くわかっているし、ジリジリと追い込まれていったチームのマインドをクラシリに向けて一気に転換したいという考えも若干はあるだろうから。
もともと監督の任期としては（とくにウチでは）十分長い、この５年目に最後の勝負を賭けるという思いは強かっただろうし。

突然の報を受けて、私が感じたものは何だろう。もともと感受性のリミッタを効かせていた昨今だったので、大ショックって感じでもなかったが、寂しさ、悲しさに近いものだったかも知れない。
そもそも私は勝っても負けても今年でやめたら良いと思っていた。「決めたら変えない」「じたばた動かない」という運営スタイルのメリットとデメリットを考えた時、この５年目くらいがちょうど良い節目ではないか。優勝した０５年以後の安定した成績は賞賛に値するが、その反面ダイナミズム不足による閉塞感やマンネリを打破して欲しい、正直、理屈よりも感情の部分でそう思うことが増えていた。

でも岡田監督にはすごく感謝しているんだ。カリスマ星野監督が「健康上の理由」で辞任してから、ハラハラドキドキ、ワクワクイライラ、泣いて笑って興奮して、毎年のようにタイガースを満喫できるシーズンを作ってくれたんだから。文句もいっぱい言ったし、「不愉快」って思うこともたくさんあったけど、年に一度あるかないか、劇的な試合でマウンドに行って選手を守ってやった姿を見る時は、心の底から「やっぱりこの人大好きだ」って思えたし、理屈も何もなく目頭が熱くなった。

そうなのよ、人間の感情っていうのはフクザツなの。大好きと思っていた人も、何かをきっかけに大嫌いになることもある。素晴らしいと思う面と、なんやそらと思う面が同居している。きっとスポーツ紙やＴＶの画面から伝わってくる言葉や態度から私が持つ印象と、毎日話をしている選手たちの印象とは全然違うのだろう。イイ人が本当にイイ人なのか、イヤな人が本当にイヤな人なのか、スゴイ人のスゴさ、ダメな人のダメさ、ついついなんでもかんでも単純化して、価値観を一般化、共有化しようとしてしまい勝ちだけど、それはとってもつまらないこと。自分にとってどこが好きで、どこがイヤか。そのそれぞれと向き合ったり、それを丸ごと受け入れたり。そこに人間の機微がある。

どうだろうみんな。今はまだ色々頭の整理がつかないとは思うけど、いつも一緒になって戦ってくれた岡田のおやっさんを最後に胴上げすることに集中してくれないだろうか。岡田野球の集大成を素晴らしい思い出で飾ってくれないだろうか。頼んだよ。