2008.12.11 Thursday
シーズンが始まっちゃえば、どうしたって頭の中は虎、虎、虎。五感がすべてそっちに働いてしまう。だから、今この冬で一気に自分の理想のプロ野球を固めてしまいたい。時間も空間も飛び越えて、自由自在に視点を動かしながら。いろんな価値観や方向性があるのはある程度わかった。あとは自分の感情と向き合って、どこに立って、どこに行きたいのかを自覚すること。それがこの冬、もう一つの課題だ。
そしてその「課題図書」が見つかった。その本の名は「ホークスの70年〜惜別と再会の球譜」(永井良和・著/ソフトバンククリエイティブ)という。
正直に言おう。私はこの本を買わなかった。予約していた図書館から到着連絡が来て、ようやく読み終えたところ。買わないつもりだったのだ。しかし、読み終えると同時にアマゾンで注文した。買って、手元に置いて、何度でも読み返すつもりだ。
読む前は、一球団の歴史を取りまとめた単なる「記念本」だと思っていたのだ。しかしそれは大間違いだった。取り扱っているのはプロ野球の歴史そのもの。ことに関西野球文化史の充実ぶりは凄い。
そしてこの本は、大学教授が淡々と客観的な史実を体系立てて記述した本という第一義にとどまるような、生やさしい本じゃない。人一人の心を揺さぶり、奮い立たせる啓蒙書だった。
いったいどんな時代背景の中で、どんなことが起きたのか。その繋がりがあって現在にいたる。それぞれ思惑を持って動いた人たち。野球が生活になった人たち。経営者、指導者、選手たち、そしてファン。ファン、大衆、一人一人、自分、私…。大衆の空気、温度、感情。それを自分のものとして感じられる歴史書というのも珍しい。
それにしても私はツイてる。この本との出会いも人の縁だ。著者の永井良和氏は関西大学社会学部教授。専門は都市社会学、大衆文化論。普通で行けば私との接点などどこにもないのだが、実はこの方、関西でスローピッチソフトボールをプレーしているのだ(大阪ホットブラザーズの代表であり、綱島ボブルヘッズにも在籍)。カバーデザインを担当しているボブズのイワヰマサタカさんの推薦があって、「時間ができたら、読んでブログで紹介しよう」なんて、軽く考えていたのだ。
いろんな価値観がある。いろんな議論がある。例えば…だ。「核兵器は廃絶すべきだ」という意見に対し、「核兵器は抑止力として戦争を防ぐ」という意見を持つ者がある。あるいは「戦争は絶対にやっちゃいけない」という主張に対し、「戦争とは社会システムの一つであり必要悪である」と主張する者がある。
多様な価値観は大いにけっこうだが、無知や誤解の上に立った多様さまで肯定的に捉えることはない。そしてこの世の中は、無知や誤解の方向に導こうとする人たちであふれかえっている。だから幅広く知ろうとすること。その上で、心を真っ白にして、感情の揺れを素直に認識すること。この本は、私にそのことを語りかけてくれた。
もちろんこの本は、タイガースファンに向けた本ではない。だけど今一番読むべきなのはタイガースファンなのではないか。私は今後、球界改革について考え、書いていく時は、常にこの本の読後感に立ち帰りたいと思う。
「虎暮らし」発売までの間、絶対お薦めの一冊だ。
もう一つの知り合い本。たんたん&カネシゲ監督の「おわらいおん」もとっても良かった。子どもが大のお気に入り!お薦めだよ(笑)。
そしてその「課題図書」が見つかった。その本の名は「ホークスの70年〜惜別と再会の球譜」(永井良和・著/ソフトバンククリエイティブ)という。
序章 ホークスの七十年
第一部 すべてが忘れられる前に〜ベースボールの楽園
第一章 職業野球の誕生
第二章 南海野球
第三章 もうひとりの背番号19
第四章 南の島から
第五章 潜龍軍
第二部 もつれる記憶
第六章 混乱と復興
第七章 ホークス誕生
第八章 遺恨
第九章 建設と分裂
第十章 西鉄との死闘
第十一章 落日
第十二章 応援の五十年
第十三章 九州のホークス
第十四章 惜別のあとに
第三部 明日の思い出のために
第十五章 球界再編
第十六章 失われた野球見物
第十七章 歓声を離れて
終章 球史への敬意
コラム
なぜ「巨人」と表記するのか
ホークスの歴史を知る手がかり
土佐武という店
球場のうたごえ
失われた球場
正直に言おう。私はこの本を買わなかった。予約していた図書館から到着連絡が来て、ようやく読み終えたところ。買わないつもりだったのだ。しかし、読み終えると同時にアマゾンで注文した。買って、手元に置いて、何度でも読み返すつもりだ。
読む前は、一球団の歴史を取りまとめた単なる「記念本」だと思っていたのだ。しかしそれは大間違いだった。取り扱っているのはプロ野球の歴史そのもの。ことに関西野球文化史の充実ぶりは凄い。
そしてこの本は、大学教授が淡々と客観的な史実を体系立てて記述した本という第一義にとどまるような、生やさしい本じゃない。人一人の心を揺さぶり、奮い立たせる啓蒙書だった。
いったいどんな時代背景の中で、どんなことが起きたのか。その繋がりがあって現在にいたる。それぞれ思惑を持って動いた人たち。野球が生活になった人たち。経営者、指導者、選手たち、そしてファン。ファン、大衆、一人一人、自分、私…。大衆の空気、温度、感情。それを自分のものとして感じられる歴史書というのも珍しい。
それにしても私はツイてる。この本との出会いも人の縁だ。著者の永井良和氏は関西大学社会学部教授。専門は都市社会学、大衆文化論。普通で行けば私との接点などどこにもないのだが、実はこの方、関西でスローピッチソフトボールをプレーしているのだ(大阪ホットブラザーズの代表であり、綱島ボブルヘッズにも在籍)。カバーデザインを担当しているボブズのイワヰマサタカさんの推薦があって、「時間ができたら、読んでブログで紹介しよう」なんて、軽く考えていたのだ。
いろんな価値観がある。いろんな議論がある。例えば…だ。「核兵器は廃絶すべきだ」という意見に対し、「核兵器は抑止力として戦争を防ぐ」という意見を持つ者がある。あるいは「戦争は絶対にやっちゃいけない」という主張に対し、「戦争とは社会システムの一つであり必要悪である」と主張する者がある。
多様な価値観は大いにけっこうだが、無知や誤解の上に立った多様さまで肯定的に捉えることはない。そしてこの世の中は、無知や誤解の方向に導こうとする人たちであふれかえっている。だから幅広く知ろうとすること。その上で、心を真っ白にして、感情の揺れを素直に認識すること。この本は、私にそのことを語りかけてくれた。
もちろんこの本は、タイガースファンに向けた本ではない。だけど今一番読むべきなのはタイガースファンなのではないか。私は今後、球界改革について考え、書いていく時は、常にこの本の読後感に立ち帰りたいと思う。
「虎暮らし」発売までの間、絶対お薦めの一冊だ。
もう一つの知り合い本。たんたん&カネシゲ監督の「おわらいおん」もとっても良かった。子どもが大のお気に入り!お薦めだよ(笑)。