2008.12.15 Monday
平易で抑制の利いた文体はとても読みやすく、また渡辺監督の人柄が滲み出るようで、読み進めるにしたがって、どんどん渡辺監督のことが好きになっていくのを感じる。
本書は、大成功した優勝監督の体験や考えを通して、指導者が後進を育成する時のヒントにして欲しいという狙いがある。教育、職場、家庭など広く応用できるであろうことを請け合う。「寛容力」の重要性は誰もが感じるところ。でもこの本の説得力はハンパじゃない。
記事にこんなタイトルをつけたからには判定を下す。私は「頑固力」より「寛容力」の方が好きだ。渡辺監督は、今チームに何が必要かをしっかり考え、いつでもその基本方針に立ち帰りながら、本当にブレることなくやるべきことをやっている。その意味では「頑固力」と似ている部分はたくさんある。だが、その基本方針策定の部分で、岡田監督とは「光と陰の分量」がずいぶん違う。「こういうことはしたくない」を積み重ねて行ったような岡田監督の基本方針は、やっぱりどこか陰の部分が多いように思う。
本書は教育書、リーダーの指導書を狙っているのだろうが、それと同等に、いやそれ以上にエンターテインメントだ。体裁を変えれば「ナベちゃんの大冒険」という長編の本にできそうなくらい、ナベちゃんは素晴らしい体験を積み重ねている。それはラッキーも多分にあるかも知れないが、ナベちゃん自身の持っている資質、何でも前向きに積極的にやってみようという、楽観的な明るさのおかげだろう。否定的な側面にとらわれすぎず、それは後学の参考として流して、明るい側面に自分からどんどん近づいていく。受ける刺激に感動しているうちに、ナベちゃんはどんどんどんどん成長していく。いくつか紹介されている台湾行きや台湾でのエピソードはどれも実に痛快な物語だ。
毎週ヒット曲のランキングが発表されているとする。今週の10位は、先週まで10週連続で1位だった曲「A」が急降下して入った。すぐ下の11位は、先週100位から急上昇した曲「B」が入た。さて、来週上位になるのは「A」、「B」どっちの曲?
この問題で誰かと1万円の賭けをするとして、「A」に張る人はいないと思う。じゃあ、「A」が5位で「B」が11位だったら?「A」が3位だったら?「A」1位だったら?売れ行きだけで勝負付けをするヒット曲ランキングと違い、1対1の勝負はもっともっと「今背負っている矢印の向き」が影響する。持っている(いた)力、実績、自信…それを元に「矢印の向きと大きさ」を掛け算するようなものだから。
その劇的な例を台湾で身をもって実感してきた渡辺監督の「寛容力」は信念なのだ。思えば、素晴らしい監督は、やっぱり1年目から非凡な姿を見せる。それは例え1年目でも、そこまでにしっかりと考えを固め、心の準備、信念ができているからだろう。
ずいぶん散漫な話になってしまったけれど、渡辺監督が大事にしているものは何なのか、そのためにどんな野球をやりたいのか、なぜそう思うのか。真弓監督にもぜひ読んで欲しいと思う1冊だった。
本書は、大成功した優勝監督の体験や考えを通して、指導者が後進を育成する時のヒントにして欲しいという狙いがある。教育、職場、家庭など広く応用できるであろうことを請け合う。「寛容力」の重要性は誰もが感じるところ。でもこの本の説得力はハンパじゃない。
記事にこんなタイトルをつけたからには判定を下す。私は「頑固力」より「寛容力」の方が好きだ。渡辺監督は、今チームに何が必要かをしっかり考え、いつでもその基本方針に立ち帰りながら、本当にブレることなくやるべきことをやっている。その意味では「頑固力」と似ている部分はたくさんある。だが、その基本方針策定の部分で、岡田監督とは「光と陰の分量」がずいぶん違う。「こういうことはしたくない」を積み重ねて行ったような岡田監督の基本方針は、やっぱりどこか陰の部分が多いように思う。
本書は教育書、リーダーの指導書を狙っているのだろうが、それと同等に、いやそれ以上にエンターテインメントだ。体裁を変えれば「ナベちゃんの大冒険」という長編の本にできそうなくらい、ナベちゃんは素晴らしい体験を積み重ねている。それはラッキーも多分にあるかも知れないが、ナベちゃん自身の持っている資質、何でも前向きに積極的にやってみようという、楽観的な明るさのおかげだろう。否定的な側面にとらわれすぎず、それは後学の参考として流して、明るい側面に自分からどんどん近づいていく。受ける刺激に感動しているうちに、ナベちゃんはどんどんどんどん成長していく。いくつか紹介されている台湾行きや台湾でのエピソードはどれも実に痛快な物語だ。
毎週ヒット曲のランキングが発表されているとする。今週の10位は、先週まで10週連続で1位だった曲「A」が急降下して入った。すぐ下の11位は、先週100位から急上昇した曲「B」が入た。さて、来週上位になるのは「A」、「B」どっちの曲?
この問題で誰かと1万円の賭けをするとして、「A」に張る人はいないと思う。じゃあ、「A」が5位で「B」が11位だったら?「A」が3位だったら?「A」1位だったら?売れ行きだけで勝負付けをするヒット曲ランキングと違い、1対1の勝負はもっともっと「今背負っている矢印の向き」が影響する。持っている(いた)力、実績、自信…それを元に「矢印の向きと大きさ」を掛け算するようなものだから。
その劇的な例を台湾で身をもって実感してきた渡辺監督の「寛容力」は信念なのだ。思えば、素晴らしい監督は、やっぱり1年目から非凡な姿を見せる。それは例え1年目でも、そこまでにしっかりと考えを固め、心の準備、信念ができているからだろう。
ずいぶん散漫な話になってしまったけれど、渡辺監督が大事にしているものは何なのか、そのためにどんな野球をやりたいのか、なぜそう思うのか。真弓監督にもぜひ読んで欲しいと思う1冊だった。