2009.01.06 Tuesday
「NPB、新野球協約を公表 コミッショナー権限を強化」というニュース(共同通信)。
日本プロ野球組織(NPB)は1日付で発効した新しい野球協約を5日、公表した。コミッショナーの権限強化とオーナー会議を最高の合議・議決機関として位置付けることや、調査委員会の設置などが規定された。
旧協約でコミッショナーの職権はNPBを「代表し、管理統制する」とされていたが、新協約では実行委員会などで決定された事項を「執行する」と明確に規定。議題の提案と意見を述べるにとどまっていた実行委では、議長を務めることになった。
コミッショナーの権限強化が図られる一方で、オーナー会議を最高の合議・議決機関と明記。実行委が行っていたコミッショナーの選任を新協約ではオーナー会議が行い、これまでは不可能だったコミッショナーの解任も正当な理由があれば可能になった。
調査委員会の新設により、NPB内での紛争や協約違反などがあった場合、コミッショナーは調査委員会の処分に対する意見を聞いた上で、制裁を科すことになった。
2009/01/05 20:14 【共同通信】
ということで、新野球協約を入手したいと思い、NPBの公式サイトに行くが、更新履歴を見ても「新野球協約を公表」といった記述はない。もっとも旧の野球協約もこのサイトには見あたらないので驚くことでもないか(ちなみに選手会サイトではPDFで公表。「新」はまだ)。しかし「NPBが公表」と言われれば、今の世の中公式サイトで入手できると考えるのが「常識」であり「ニーズ」である。そういう感覚はぜひとも持っていて欲しい。
旧協約の第3条(1)では、協約の目的として、「わが国の野球を不朽の国技にし、野球が社会の文化的公共財となるよう努めることによって、野球の権威および技術にたいする国民の信頼を確保する」とあった。公共性を高め、民信を得る第一の方策は、不足なく情報を公開することなのだから。
では、いったい何をもって「NPBは新しい野球協約を5日公表した」というのかっていうと、おそらく記者クラブなど報道機関に全文を配布したということなのかなぁ。で、各紙サイトを見てみると、スポニチ、サンスポ、デイリーには共同通信から配信されたニュースの全文または要約を見つけることができた。その一方で、報知は独自の記事(?)で、伝える内容が微妙に違う。
(抜粋)改正された協約ではコミッショナーの権限が強化され、従来の「司法的な権限」に加え、NPBを代表し、組織全体を指揮監督する「行政的な権限」が加えられた。また、コミッショナーが任免する3人の委員で構成する「調査委員会」を新設。協約違反の疑いがある事例をコミッショナーの委嘱に基づいて調査するほか、年俸調停などにも携わることが明文化された。
共同通信と報知とを見比べる。コミッショナーの権限について、従来は「司法」のみだったが、「行政」が加えられたという大意は同じであるが、その「行政的な権限」として具体的に何が加えられたかが違っている。まあ報知の方は、あちこち文章がおかしいので、内容の理解も足りないのではないか?と想像するんだけどね。
もっともこんなことは、新旧協約の原文を読み比べればすぐにわかることなので、大した問題じゃないけれど、要は「国民の信頼」を得たいのならば、報道機関の技能に頼ることなく、自分の言いたいように情報を公表していく姿勢を持たなければダメだ。特定メディアの下請け組織じゃないってところを見せていかなきゃ。