自称阪神タイガース評論家（跡地）

◇４月２６日（日）広島−阪神６回戦（阪神４勝２敗、１３時３２分、マツダスタジアム、３０５２８人）
阪　神　０００　００１　０００−１
広　島　０００　０００　２０×−２
【阪神】ジェン　●アッチソン（１勝１敗）　江草
【広島】○篠田（２勝１敗）シュルツ　Ｓ永川（７セーブ）

　日曜勝てんねー。これで１分け３敗。翌日休みの日曜は、言ってみれば最終決戦、一戦必勝の「決勝戦」。これをいずれも接戦で勝ち損ねているんだから、チームとして勝負強さに欠けるよなぁ。
　こういう試合こそ「采配」で勝ち負けが分かれるから、乱暴に言うと「真弓采配は勝負弱い」ということになっちゃう。良かれと思った手が裏目に出たり、詰めの甘さを後で悔やんだり。
　９回表１点ビハインド。一死から新井ヒットで出塁。ここで代走を切って来るかと思ったがなし。暴投で二塁に進み、これで代えるかと思ったがやっぱりなし。その後桧山敬遠で二死一二塁となった時、一走桧山に代走大和。そりゃ「逆転の走者」も大事だけど…。延長を心配しているのか、新井のフルイニングに配慮しているのか、結局狩野の幻の同点タイムリーは、新井の「急停止スライディング」で本塁憤死（先日井端の「無減速スライディング」を見させられただけにその差はデカい）。
　でも失敗を素直に認めて、反省を生かそうという姿勢は良いと思っているんだ。きっと真弓監督自身もチームと一緒にぐんぐん成長して行くだろう。初めから持っているものだけで勝負できる人、学んで成長する人、監督にだっていろいろいる。

　決まり手はアッチソンの勇み足。１点リードの７回ウラ、二番手として登板したが、一死から連続四球、ボーク、逆転２点タイムリーの最悪コンボ。一つ目の石井への四球、モーションに入ろうとした瞬間に「ちょっタンマ」をやられ、そこからリズムが崩れてカリカリイライラ。
　新人投手が６回まで無失点。それを受ける先輩はそりゃ神経質になる。でも実績も実力もあるんだから、自滅だけはね。

　鳥谷と桜井の「幻の決勝点」も良かったね。「幻」ばっかりだけど（笑）。カープ先発篠田に手こずり無得点のまま迎えた６回表、トリが先頭四球で出たものの金本、新井が倒れて二死。６番桜井への初球、鳥谷が盗塁成功。桜井なんとか食らいついて三遊間をゴロで破ると好スタートの二走鳥谷、楽々生還。たたみ掛けるように桜井も二盗を試みるがこれはアウト。だけど足を使って攻め込んでいくスタイルは気持ち良かった。
　この日鳥谷は無安打だったが２四球。四球数はセ１位タイの１３、打率は９位ながら出塁率は４位、得点１８は堂々の１位だ。

　そして「幻のデビュー戦無失点初勝利」のジェン・カイウン。これは堂々としたものだった。６回、９４球、被安打５、四死球１、奪三振２、失点０。ボール自体の殺傷能力は低いが、ボールの軌道を自由自在に操り、制球力の良い技巧派。立ち上がりこそバラつきが目立ったが、１球１球意図してコーナーを攻めていく。右打者の膝元に沈めるツーシーム（たぶん）と、ブレーキの鋭いスライダーが基本で、コーナーいっぱいに決めるストレートが決め球にもなる。
　初勝利をプレゼントしたいがために余力をもって降ろして、ＡＪＦに繋ぐ予定が残念な結果になってしまった。そんな気づかいいらなかったかもね。自分で藤川に直接渡せそうな勢いだった。
　それに若い人は伸びる時、信じられないくらい伸びるもんだし、壁にぶちあたってもそれでも勝手に伸びていくから。特にこの選手は、「自信をつけさせる」なんて必要ないくらいすでに心が強そうだ。
　次は甲子園のＧ戦行くのかな？能力の高い打者に対して、技と心でどう立ち向かうのか、実に楽しみだ。

　逆転負けで残念だったけど、収穫も多かったし、何より最後、大興奮の面白い試合だった。真っ赤なスタンドの新球場で３タテもハシタナイから良しとするか、まあしょうがない。