自称阪神タイガース評論家（跡地）

主な出来事
・下柳が６回1/3、２失点。１点目は不運にも当たり損ねヒットが重なったもの。２点目は一死二塁に走者を残してジェフと交代した後、タイムリーを打たれたもの。いつも通り粘り強く投げていた。
・江草も交代直後にサヨナラＨＲを打たれてしまい、結果的に継投は上手くいかなかった。
・金本が単独盗塁を成功させる。
・８回一死三塁の好機で鳥谷に代打桧山を送るも３球三振に倒れる。真弓監督は今後も打順を変えないと言っているが、「チャンスで代打が送られる３番」は小さな問題では片づかない。

　もし、なんの背景もなく、この１試合だけを見たら、なかなか面白い試合だったんじゃないだろうか。１点が重い投手戦、７回に狩野が思い切りよく振って同点ホームラン。下柳からジェフの継投決まらず、すぐにまたリードを許すも、９回表一死から桜井クリーンヒット、林左中間二塁打でクローザー馬原を攻め立て、狩野のボテゴロで再度同点に追いつく。さあ延長に入れば…と意気上がる間もなく、松中の一発でサドンデス。
　特に苦しい試合展開の中で、経験の乏しい選手たちが後半試合を動かして行ったことをしっかり評価し、見てあげないとね。
　狩野の同点ＨＲ、素晴らしかった。投手の意図通りきっちりインロー厳しいところに制球されたストレートを、右足の支点がしっかり定まった回転運動に、上半身をコンパクト＆シャープにくっつけて芯にインパクトさせ、おっつけるような力の与え方で切らさずにスタンドまで運んだ。技能点、芸術点の高い一発。しかもシモさんの粘りに何とか報いたいという気持ちのこもった一発であることがわかった。
　９回追いつめられた中で打った桜井の快打。打ち気をこらえてボール、ボール。そしてキレの良いカットボールが甘く来たところを逃さずにハードヒット。続く林も一つボールを見送ったあとの第一ストライク、外角高めの変化球に対して、正しい体の使い方、上からヘッドがボールを叩き、打球は深く深く守る外野の間まで鋭く伸びていった。　二人とも結果を恐れず、良く集中していたと思う。

　しかし、単体で見ることはできないんだよね。これまでの蓄積があるから、打てない、点を取れないことに苛立つ。苛立つこと、同じことが繰り返される恐れ、それがまた同じ結果を招く要因になる。「自家感作性」のメカニズム。いらだちの集合体も台風ほどに成長してしまうと、それはなかなか手がつけられないものになってしまう。

　だから、今はくよくよせずに「フィールグッド」で行くこと。自分の意志によって循環メカニズムにさおをさすこと。終わったことは変えられないが、未来の自分を変えるチャンスはある。しかし誰かに変えてもらおうと思うなら、出るのはグチと言い訳ばかりになっちゃう。
　苦しみと痛みに打ち克って、再び目の前のボールに集中するという原点に戻って来ること。結果の重大さ、恐ろしさを知り、その恐ろしさを乗り越えるためには、行動に集中することで脳内から恐怖を追い出すしかない。
　チームは今、次の段階へ進むために必要なプロセス進んでいるのだと思うよ。ただし、必要なプロセスの先にあるものを明確に描いている人が、組織の上層部に一人でもいてくれることを願うばかりだけど。
　「ベストを尽くせ」。この陳腐な言葉が本当の輝きを見せるのは、逆境にある時だ。逆境でどんな顔をして、どんな姿勢で取り組んでいるのか。私はそれを見る。