自称阪神タイガース評論家（跡地）

　マートンは体のキレが出て来て走攻守に良いところを見せたし、林、狩野が素晴らしい打撃で立ち位置を上げた。今年は中堅どころが実戦で結果を残す姿が印象的だ。それもこれも若手をどんどん抜擢し、絶対負けられないという魂に火を点けたからだと思う。
　その火付け役の一人、育成田上はファインプレーチャンスで二度ずっこけ、アピールポイントの走塁でもやっちまった。でも一番初めに思いっきりずっこけるというパターンは良いじゃないか。大成功と同じくらい良いのが大失敗だ。

　で、キャンプの時期も終盤になり、もう一月もしたら開幕になる。これからは主力、ベテランも競争に組み込まれ、順位付けが加速していく。岩田も開幕間に合いそうだし、ファームキャンプ組の中にも今季の戦力として活躍が期待できる選手たっくさんいるように思う。ここまでのところ、今季は良いぞ、日本一だ！そんな気分でいっぱい。

　そりゃそうだ。だって他のチーム、いっさい見てないんだから（笑）。あらためて思うんだけど、これってスゴイことだよな。１２球団で日本一を争うという決めごとなのに、そのうちの１チームの練習だけを１ヶ月ほど見続けて、それで今年は良いだの悪いだの、誰が良いだの悪いだの、さらにはもっと細かい目で見て、誰のバックスイングがどうだの、誰の下半身の粘りがどうだの、誰の体の開きが早いだの…。どんどんどんどん細分化して、ミクロの目で見て行って、それで「よし！今年は良いぞ」だって（笑）。でもこのバカバカしい行為が、正しい２月の過ごし方なのだよ。

　だってそうだろう。これから対外試合が本格化したり、シーズン開幕したり。そうしたらイヤでも勝ったり負けたり勝ったり負けたり。時には、負けたり負けたり負けたり負けたり。相対的で客観的で動かしようのない現実と直面することになるのだ。主観でいかようにもできる絶対的空想と戯れることができるのはこの２月の間だけなのである。この時期に全球団を冷静に見渡して、ふむふむ…とやるのもそりゃ一つの楽しみ方かも知れないけれど、私に言わせりゃもったいないことこの上ない愚かしい行為なのだ（笑）。
　もっともそんなぜいたくな楽しみ方ができるのもある程度大きなファン集団があり、メディアが情報を垂れ流してくれるからではある。タイガースファンはとても恵まれていると思う。