2012.05.06 Sunday
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虎バカパーティー5/25(金)
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政治経済をテーマにした議論で必ず出てくる言葉に「成長戦略」というのがある。経済成長こそが資本主義。それに対して「成長神話」が限界に達し、その矛盾が表出している…と現代世界を捉える見方もある。人間は地球という限られた資源の枠内でしか生きられない。その視点に立てば、成長も競争も勝ち負けも、地球規模のエネルギー保存則に従っているにすぎない…。
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虎バカパーティー5/25(金)
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政治経済をテーマにした議論で必ず出てくる言葉に「成長戦略」というのがある。経済成長こそが資本主義。それに対して「成長神話」が限界に達し、その矛盾が表出している…と現代世界を捉える見方もある。人間は地球という限られた資源の枠内でしか生きられない。その視点に立てば、成長も競争も勝ち負けも、地球規模のエネルギー保存則に従っているにすぎない…。
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という地球規模の前置きから一転、阪神タイガースの話に戻って来る。その時、地球規模の矛盾のことはどうでもいいのだ。そこにあるのは勝ち負け、競争の世界だけだ。であるから、優勝戦略とは成長戦略なのだ。
まあ「言葉遊び」でしかない。ただ筒井という投手を見ていて、あらためて持論を持ち出したくなったのだ。優勝に必要なのは戦力値の総和だけではない。その値が「上向き矢印」なのか、「下向き矢印」なのか、ベクトルの考え方で見なければいけない。たとえ能力の絶対値が低くても、ベクトルとして強い上向きの方向性を持っている選手が加わることでチームの向きが変わってくる。
指揮官は成長している選手の影響力をいかに活用できるか。それがチームの成長戦略になり、優勝戦略になる。
大きく変えたオーダーがものを言った。初回トップに入った鳥谷の一塁線を破る二塁打から、平野送りバント、マートン遊ゴロで先取点。4回には5番に下がった新井が浜風の力を借りたソロホームランで2−0。
引き分けをはさんで5連敗のチームが一つ勝つのは大変なこと。6回まで1点に抑えてきた先発岩田は7回表、連打で無死一三塁のピンチ。しかしボウカーの二ゴロを平野が冷静沈着なプレーで三走高橋をホームで殺して切り抜ける。登録即スタメンで復帰した藤井彰の辛抱強いリードも光った。
タイガースも連敗中の越えられない壁、3点目が取れそうで取れない。ライナーが正面をついてゲッツー、岩田が先頭打者としてヒットを打っても釘付けのまま、久々新井のマルチヒットもブラゼル併殺、代打城島ヒット→代走柴田盗塁成功で鳥谷というお膳立てもポップフライ…どうしても3点目が遠い。
不安渦巻く8回表マウンドに上がったのは榎田。調子よりも能力、そして心の強さを買ったのだろう。長野右飛で一死。しかしどうしても制球がまとまらない。2番寺内にまったくやらなくていい四球、とにかくこれが痛かった。連敗の重圧がのしかかっているのが見て取れた。坂本三遊間で一死一二塁。4番村田は打ち取ったふらふら上がった打球が平野のグラブがわずかに届かずヒットで一死満塁。
ワンポイントもツーポイントも遅い動きだった。ここで9番に大和を入れてセンター、センター俊介がレフトに入り、4番金本に代えてピッチャー筒井。回の頭からこの形にできなかったのは、和田監督の「自信のなさ」だろう。チームの成長力に賭ける、自身の成長に賭ける、その勇気がなかったのだろう。榎田の四球に端を発したこの一死満塁は、和田監督の弱さがもたらしたものだ。
マウンドに筒井が上がる。この後何が起きるか完全にわかっていたのは筒井だけだったのではないか。7回に備えて準備したが、8回に指名されたのは榎田。認めてくれないのだろうか。信じてくれないのだろうか。でもそれは仕方ない。今までずっと裏切り続けて来たのだから。しかし、もう自分ではわかっている。このチームの危機を救える投手は自分しかいない。ようやく自分の力を求めてくれた。認められた!
一死満塁打者高橋、初球まっすぐ高め、一塁線へのゴロファール。惜しい、入っていればホームゲッツーだった。しかしさすがに天才高橋、ここで初球振り遅れない。2球目、外いっぱい直球見逃しストライク!藤井のミット動かず!さあ行け筒井、大丈夫だ絶対打たれない。3球目藤井のミットは外ボール、そこにしっかり直球を投げ込んで1−2。さらに4球目も直球インサイドに少し外れて2−2。はじめて意図しないところに球が行った。さあ勝負球、藤井のミット一点を見つめる筒井、しっかり腕を振ったど真ん中の真っ直ぐ、サード後方へのポップフライ、鳥谷捕って2アウト!全球真っ直ぐ、最後はど真ん中勝負に圧勝!
二死満塁で谷。初球チェンジアップが外に外れてボール。上手い。もちろんストライクがベストだったが、ここでチェンジアップを見せておくことに意味がある。2球目真っ直ぐ、谷おっつけるが振り遅れてファール。まっすぐおっつけ。谷の意図、速さに対応できていないことがわかった。カウント1−1、3球目、インコース真っ直ぐ、谷振り遅れてファール。絶体絶命のピンチだったはずが、今や谷を完全に追いつめているのは筒井の方だ。4球目もう一つインコースにまっすぐ、なんとか間に合ってファール。谷も技術を持っている。しかしマウンド上の筒井、ひるむ様子はまったくない。打たれる気はしていなかったのだろう。5球目、藤井はインサイドに構えるが、ボールは真ん中に行く。谷が待っていた球。しかし筒井のボールが谷のバットを圧倒する。力ないライトフライ。3アウト。
真ん中に行った球は失投でもなんでもない。筒井は真ん中にいったって打たれないということをわかって投げている。自信に満ちあふれ、打者を飲み込んでいるボール。あの頃、藤川が、ジェフが、久保田が投げ込んでいたのと同じ気持ちのボール。
「応援ありがとう!」こどもの日、子どもたちへのメッセージ。そう大人も子どもを筒井を信じ、筒井を応援した。それに応えられる投手に成長した。周囲からの声援と応援と信頼を浴びながら、さらに現在進行形で成長している。
またしても筒井にやられた。
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まあ「言葉遊び」でしかない。ただ筒井という投手を見ていて、あらためて持論を持ち出したくなったのだ。優勝に必要なのは戦力値の総和だけではない。その値が「上向き矢印」なのか、「下向き矢印」なのか、ベクトルの考え方で見なければいけない。たとえ能力の絶対値が低くても、ベクトルとして強い上向きの方向性を持っている選手が加わることでチームの向きが変わってくる。
指揮官は成長している選手の影響力をいかに活用できるか。それがチームの成長戦略になり、優勝戦略になる。
大きく変えたオーダーがものを言った。初回トップに入った鳥谷の一塁線を破る二塁打から、平野送りバント、マートン遊ゴロで先取点。4回には5番に下がった新井が浜風の力を借りたソロホームランで2−0。
引き分けをはさんで5連敗のチームが一つ勝つのは大変なこと。6回まで1点に抑えてきた先発岩田は7回表、連打で無死一三塁のピンチ。しかしボウカーの二ゴロを平野が冷静沈着なプレーで三走高橋をホームで殺して切り抜ける。登録即スタメンで復帰した藤井彰の辛抱強いリードも光った。
タイガースも連敗中の越えられない壁、3点目が取れそうで取れない。ライナーが正面をついてゲッツー、岩田が先頭打者としてヒットを打っても釘付けのまま、久々新井のマルチヒットもブラゼル併殺、代打城島ヒット→代走柴田盗塁成功で鳥谷というお膳立てもポップフライ…どうしても3点目が遠い。
不安渦巻く8回表マウンドに上がったのは榎田。調子よりも能力、そして心の強さを買ったのだろう。長野右飛で一死。しかしどうしても制球がまとまらない。2番寺内にまったくやらなくていい四球、とにかくこれが痛かった。連敗の重圧がのしかかっているのが見て取れた。坂本三遊間で一死一二塁。4番村田は打ち取ったふらふら上がった打球が平野のグラブがわずかに届かずヒットで一死満塁。
ワンポイントもツーポイントも遅い動きだった。ここで9番に大和を入れてセンター、センター俊介がレフトに入り、4番金本に代えてピッチャー筒井。回の頭からこの形にできなかったのは、和田監督の「自信のなさ」だろう。チームの成長力に賭ける、自身の成長に賭ける、その勇気がなかったのだろう。榎田の四球に端を発したこの一死満塁は、和田監督の弱さがもたらしたものだ。
マウンドに筒井が上がる。この後何が起きるか完全にわかっていたのは筒井だけだったのではないか。7回に備えて準備したが、8回に指名されたのは榎田。認めてくれないのだろうか。信じてくれないのだろうか。でもそれは仕方ない。今までずっと裏切り続けて来たのだから。しかし、もう自分ではわかっている。このチームの危機を救える投手は自分しかいない。ようやく自分の力を求めてくれた。認められた!
一死満塁打者高橋、初球まっすぐ高め、一塁線へのゴロファール。惜しい、入っていればホームゲッツーだった。しかしさすがに天才高橋、ここで初球振り遅れない。2球目、外いっぱい直球見逃しストライク!藤井のミット動かず!さあ行け筒井、大丈夫だ絶対打たれない。3球目藤井のミットは外ボール、そこにしっかり直球を投げ込んで1−2。さらに4球目も直球インサイドに少し外れて2−2。はじめて意図しないところに球が行った。さあ勝負球、藤井のミット一点を見つめる筒井、しっかり腕を振ったど真ん中の真っ直ぐ、サード後方へのポップフライ、鳥谷捕って2アウト!全球真っ直ぐ、最後はど真ん中勝負に圧勝!
二死満塁で谷。初球チェンジアップが外に外れてボール。上手い。もちろんストライクがベストだったが、ここでチェンジアップを見せておくことに意味がある。2球目真っ直ぐ、谷おっつけるが振り遅れてファール。まっすぐおっつけ。谷の意図、速さに対応できていないことがわかった。カウント1−1、3球目、インコース真っ直ぐ、谷振り遅れてファール。絶体絶命のピンチだったはずが、今や谷を完全に追いつめているのは筒井の方だ。4球目もう一つインコースにまっすぐ、なんとか間に合ってファール。谷も技術を持っている。しかしマウンド上の筒井、ひるむ様子はまったくない。打たれる気はしていなかったのだろう。5球目、藤井はインサイドに構えるが、ボールは真ん中に行く。谷が待っていた球。しかし筒井のボールが谷のバットを圧倒する。力ないライトフライ。3アウト。
真ん中に行った球は失投でもなんでもない。筒井は真ん中にいったって打たれないということをわかって投げている。自信に満ちあふれ、打者を飲み込んでいるボール。あの頃、藤川が、ジェフが、久保田が投げ込んでいたのと同じ気持ちのボール。
「応援ありがとう!」こどもの日、子どもたちへのメッセージ。そう大人も子どもを筒井を信じ、筒井を応援した。それに応えられる投手に成長した。周囲からの声援と応援と信頼を浴びながら、さらに現在進行形で成長している。
またしても筒井にやられた。
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