自称阪神タイガース評論家（跡地）

　逆転スリーランホームランの金本、最少失点でリレーを完成させた投手陣、懸命な整備を続けた阪神園芸さんに、悪天気の中声援を送り続けたファン、苦しい中でがんばって、みんなが報われた大きな１勝だったとは思っている。もちろんホームランの瞬間、嬉しくて、興奮もした。だけどやっぱり試合をやっちゃダメだ。あんな天気で。

　確かこの時期は、主催球団が試合の可否を判断するはず。阪神球団の判断は間違っている。
　限られた日程で消化しなきゃいけないのが交流戦。やらないと後が大変というのは主催者の理屈。「相手も一緒」というムチャクチャな理由で、ケガのリスクを背負わされながら、劣悪なコンディションの中でもベストプレーを要求される選手のことなどおかまいなし。

　日本代表が快勝したサッカーは全天候型スポーツだが、野球はテニスと一緒で雨の中ではやらないスポーツなのだ。競技を構成する様々な要素の中で、「精度」の比重が高いということ。それを「相手も一緒」とおざなりにしてしまうと、もはや野球という競技の面白さはふっとんでしまう。

　普段から投球がワンバウンドしてボールに土が着いただけでも交換を要求する投手が多い。それどころか、何か感覚が違うと思っただけでも交換要求する投手もいる、検査済みのボールなのにね。そういう行為はあんまり好きじゃないけど、投手がそれだけ１球に神経を使って仕事しているということだ。だからこの日の出し物は、いつもの野球とは違うベツな何かでしかない。

　それは、客が先払いしている観戦チケットという「債権債務契約」を成立させる行為であるだけ。ずっと止むことのない本降りの中に放り出され、本気で走ることもできない「プレー」を見させられる客の気持ちなんて、まるで知ったこっちゃないという態度だ。

　ここまで順調に消化して、そのための予備日もある。幸いなことに今のところ両軍選手に故障したという情報はないが、とにかくやっちゃいけない試合を強行する愚はやめて欲しい。

　守備ミス、判断ミス、バントミス、投げミス…たとえどんな条件でもミスはいかんと、言うのは簡単だが、出るだろそりゃ。まあ、すべてがすべて天候のせいではないにしても、少なくとも土砂降りの雨の中で練習なんてしてないんだから。

　一生懸命仕事をした選手たち、グラウンドキーパーのみなさん、観客席のみなさん、お疲れさまでした。「ひどくつらい観戦」を一振りで「素晴らしい思い出」に変えた金本に感謝。

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