自称阪神タイガース評論家（跡地）

　歴代の産経新聞大阪本社虎番記者９人が著者。1978年の江川騒動に始まり、江本の「ベンチがアホやから…」、安藤監督のへそ曲がり、歓喜の日本一、よっさん天国から地獄へ、村山じゃじゃ馬監督、バース解雇の真相、掛布の引退、ダメ外人、亀新、松永山沖、中村監督解任、藤田平解任騒動、グリーンウェル、野村監督フィーバー、優勝星野監督勇退、岡田負けず嫌い監督、村上ファンド騒動、岡田監督辞任、真弓監督辞任…。

　まさに私がずーっと見てきた阪神タイガースにまつわる騒動が、どのようにして起こり、大騒ぎにまで発展していたのか、その真実を時系列にそって明らかにしていく歴史書。同様の主旨の本は今までにもあるが、それを事件現場最前線にいた記者（という会社員）が、自分の仕事の歴史として語っているところに面白さがある。

　昔はまだ選手や監督と記者との距離が近かった。事件の発端が記者自身の質問や、行動にあったりすることも珍しくなかった。一口に事件、騒動といっても、こうしてミクロ的に見れば、「言った言わない」「好き嫌い」のような人間臭い、感情的な話が多いのかもね。

　底流にあるダメ球団フロントの歴史にあらためてうんざりさせられることも多いのだけれど、記者たちのホンネが語られているのは爽快感がある。普段紙面にはそれが出ないように書いているが、当然彼らにも好き嫌いがあるのだ。こういう企画なら、好きな人は好きとハッキリしていて、その感覚が時代を経てもみずみずしいのがいいね。やっぱりプロ野球選手は夢とドラマを作り出す存在なのだ。

　古い人には懐かしく、新しい人にはためになる近代阪神史の参考書。間違いなく面白い。オススメ。



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