自称阪神タイガース評論家（跡地）

　特にどこか変わったところがあったようには感じなかった。和田監督は相変わらず川の流れを堰き止めようと懸命だし、ポジショニングがおかしいのか、スタートが悪いのか、スタメン金本がシングルヒットを三塁打にしてしまうし、牽制悪送球も初回失点も連日のこと。能見が四球を連発するのも見慣れた光景だったが、三塁線を破ろうという当たりを良太がダイビングキャッチして、一塁でアウトにしたのがいつもと違うことだったか。このプレーがなければ、２点追加され０−３、三浦も調子に乗って、能見も痛手が大きく、いつものように負けていただろう。本当に守備は大きい。

　しかしそれ以外、首脳陣にもナインにも特に大きな変化は感じなかった。三浦の側に問題があったのかも知れないし、鳥谷の開き直りが功を奏し、打線を乗せたのかも知れない。ただ確実に「勝負してやろう」「やってやろう」という気力は出ていた。鳥谷の一発、良太の一発（ホームインしてからが面白いヤツ）、マートンの一発、新井の一発。どれもいいホームランだった。

　見てもいないのに適当なことを言うと、ブラゼルがチームに変化のきっかけを与えたのではないかと思う。連日鳴尾浜に早出してシート打撃や外野ノックに参加しているという。スタメンを外れて、ファームに落とされるでもなくて、打席がなく運動量が落ちるところを補い、首脳陣にアピールする。これは確実にチームにいい影響をもたらしただろう。首脳陣がやるべきことをやらないのなら、やれる人が自分にできることをやる。そう感じる。もしブラゼルが腐っていたら、まだこの日のような空気にはなっていなかったのではないか。腐っても仕方ない扱いの中で、腐らなかったブラゼルを賞賛したい。

　さてこの久々勝利で、和田監督は自分が欲しいものと、自分がやりたいと言っていることと、自分が現にやっていることとの間でまたまた悩むことになる。いやせめてここでしっかり悩んでくれないと、物事が先に進まない。まあ、ただひたすら時が流れるのに抵抗し続けるというのも一つのやり方ではあるけれど。