自称阪神タイガース評論家（跡地）

　この日も３点のうち、２点は上本の得点だ。いかにもカープ投手陣の自滅だった日曜の試合を除いてしまえば、先週から今週にかけて６試合で６得点、うち上本の得点が５ということになる。出塁率が高く、長打力があり、走塁技術も高い。今や１番上本は「決定事項」と言って良い。

　しかしそこに至るまで、まるで頑なに拒むかのように使わなかったこと、そして上本にその座を脅かされた今、平野が体の芯から燃え上がっていること。こういう事象を目の前にしてもまだ「学ぶ」という域には達していないようで、坂を使おうとしない。

　「上げたら即使え」は、「四球で満塁になったら、初球狙い打ち」とか「ペンチャン入れば即リーチ」とかと同じくらい当然の打ちスジだ。数少ない次世代主軸候補がケガを乗り越えて、満を持して最高の状態で上がって来たというのに、十分に検証済みの「現主軸」の方を外せない。なんとも感覚が鈍すぎる。

　外野の守備力にクローズアップが当たった試合。３回ウラ二死一塁、中村ノリの左線二塁打で金本→深く追って中継した鳥谷→藤井のブロックと繋いで一走荒波を殺したプレーは、最近のタイガースではほとんど見られなかった好プレー。

　一方、タイガースの先制点は、一死一二塁から良太の三遊間突破、左前ヒットによるもの。守備力が高い外野なら多少なりともバックホームを意識する局面だが、二走上本の脚力、打者が４番良太ということでベイスターズ側はラミレスの守備力をまったくアテにせず、いつも通りの深い守備位置、二走はまるでいなかったかのような打球処理だった。

　さらに８回の追加点は上本の右越三塁打から。逆方向へ大きく飛ばす上本も見事ではあったが、筒香の追い方が悪く、普通のライトならキャッチできる範囲の打球を長打にしてしまった。

　得点力のために外野守備力を犠牲にしている代表はベイスターズとタイガース。この日はたまたまベイスターズに弊害が出たが、普段はタイガースでも見ているプレーだ。打力について言えば、ベイスターズの方がまだ納得ということになるだろうか。しかしいずれも最下位争いに甘んじているということには気づくべきだ。

　加藤と鶴を勝ちパターン継投に組み込んだことは素直に評価したい。今チームのキーワードは「成長」なのだから、結果を残した選手にはどんどん成長の土俵を作ってやらないとね。

　悪いなりにまとめた久保から、加藤、鶴、福原と繋いだゼロリレーだったが藤川がかなり打たれて最後は冷や冷や勝利。今日は調子のいい藤井が先発だというから、こっちも勢いで負けないように、モチベーションの高い選手を使わないといかんと思うよ。