自称阪神タイガース評論家（跡地）

　中村勝広氏がシーズン終了を待たずにＧＭに就任するらしい。サンスポのスクープを通信社が後追い、スポーツ各紙が報じるに至った。これは由々しき事態である。阪神、オリックスでの監督＆ＧＭで残した成績はまったく芳しくなかった。

　球団にしてみれば、フロントの権限を現場を熟知した専門家に託す方が良いと判断したのだろう。現状を見るとそれは正しいと思うのだが、他にいないのだろうか…というのが正直な感想だ。阪神・オリックス両球団で、暗黒史の中心にいたのだから、勝負師としての期待がまったくないのは当然のことではないか。

　ＧＭという職種について思うことはまた今度にまわす。今の中村勝広氏について思うことは前述のとおりだが、私の氏への思い入れはけっこう強い。まず現役の時、好きな選手だったこと。小柄だが意外と打つという意味ではちょうど今の上本に近い選手だった。それと、村山氏の現役をタッチの差で見られなかったので、現役時を知っている初めての監督だった。
　ということで、またまた殻を破れない人事だが、決まってしまうのなら仕方ない。ラストチャンスだと思って断固たる態度で改革を実行して欲しい、汚名を返上して欲しいと思う。

　さて、快勝で久々のカード勝ち越しの話…なんだだけどさ、最後のスッキリする連打で全部オッケー！にしちゃっていいのかよ…という試合。

　初回の先制機は鳥谷が連日ブレーキを掛けて４番で併殺、２回は下位打線の３連打で先取点を取ったはいいが無茶な判断で走塁死、６回は上本大和から作った無死満塁から良太、関本、新井が凡退して無得点。そして能見が７回まで守ってきたリードを８回に代わった福原が追いつかれてしまうという苦しい展開だった。

　勝ち越し点はエラーとバッテリーエラーでもらい、さらにもう一つ二死からエラーをもらった後、突如として連打が始まって、上本大和がキラキラして、大量リードで派手に終わる。

　しかし勝利の立役者は能見と藤井のバッテリーだ。７回７三振無失点に抑えた能見の組み立ては、まっすぐ、フォーク、チェンジアップの効果的配合。スライダーはあえて目先を変える球に使って、真っ直ぐとフォークの高低差で混乱させ、そこに意識が行っていればチェンジアップで前後に揺さぶるという配球。この日くらいクロスファイアの精度、威力があれば能見らしい投球ができる。

　藤井は配球、リードだけではなく、打撃でも状況判断が良かった。先制タイムリー二塁打は、カウント球の直球を逃さず強振、浅めにいたレフトの頭を越した。
　さらに大きかったのが一死二塁の９回。厳しいコースで簡単に追い込まれたが、「せめて進塁打」と右方向へ転がす。この判断と技術で走者が三塁に進み、投手に重圧をかけ、決勝の暴投に繋がった。その後のエラーや大連打は、バーネットの緊張の糸を切ったことによるオマケ。チームのために必要なことをやる。自分にできることをやる。「献身」をわかりやすく示したシーンは久々だったのではないか。
　その後もちろんみんなよく打ったし、きっちりチャンスメークもできていた上本はヒーローインタビューを受ける十分な権利を持っていたと思うけどね。

　もやもやイライラが多い週だったけど、このスカッとした終わり方を気分のいい１週間に繋げたいね。和田監督、軽やかで、爽やかな采配をよろしく！