自称阪神タイガース評論家（跡地）

　それにしても、ひどい誤審だった。塁審がさっと集合かけて、「今のファールでしたよ」ってなぜ出来なかったのだろう。ファールに変更する分には大してもめることはなかったろうに。公式記録員も困り果てたようで、得点は平野のホームスチールだって（笑）。そらそうだよな、パスボールにもワイルドピッチにもできない。ファールってわかってるんだから。球審以外全員。なんとかならなかったのかねえ。

　だけど誤審がなかったら勝負はどうなっていたことか。なにしろ初回から拙攻につぐ拙攻で、仕上がりは１１安打１０残塁。無死満塁を残したり、無茶な本塁憤死があったりと相手のミスなどもあって常に塁上をにぎわせていた。そのトドメが投手能見のスクイズ失敗なら、１−０から逆転負けというのも大いにあったかもね。

　確かに上本大和の俊足１，２番は見ていて楽しみがあるし、この日のように相手のミスも誘ってイイ。でもせっかくならもっともっと志を高く持って欲しい。上本はインコースにツボがあるプルヒッターだ。だから２回の一死二塁の好機に初球の甘めのスライダーを強振して三ゴロに倒れたのはまあ上本らしい若々しさがあった。でも一二塁間を強く破るとか、ライトの頭を越すという打撃だってしっかりできるのだから、悪くても走者が三進できる打球を目指して欲しかった。二死三塁で大和は、投手も野手もイヤなのだから。打ったって３割、４割。彼らには凡退の仕方に味のある選手になって欲しい。

　しかし「拙攻」というより、「ノリの悪さ」、「辛気くさい感じ」に問題があるような気がするね。右のバリントンでも２安打した大和、先制タイムリー含むマルチの鳥谷、鋭い振りでチャンスを作った藤井ら、全体的にはいいんだからね。

　カープの早打ちにも助けられて能見はスイスイ。途中までは球数も少なく、面白いように高低を使った投球が決まり、フライアウトばっかり。３点差になり完封トライさせなかったのは面白くなかったけど（希望しなかった？それはわからないが）とにかくナイスピッチング。何をやっても勝てないという状況からは完全に抜け出した。

　もやもやの多い久々甲子園の試合を一振りでスッキリさせてくれたのが代打狩野のホームラン。左殺しの河内が投じたど真ん中の直球にタイミングばっちり、低い弾道でレフトスタンド最前列に飛び込んだ。右足つま先をグリッと捻り込むピボットターン、まさに足で打つ狩野独特のスイングが戻ってきた。
　なんといっても甲子園の浜風に載せてレフトスタンドに放り込める右打者は必要。甘くなれば放り込むし、広角にも打てる狩野が戦力化するのは大きい。とにかくもう腰痛が発症しないように願うばかり。やったね狩野、ナイスバッティング！