自称阪神タイガース評論家（跡地）

　どうやらこういうことらしい。ＭＬＢとＭＬＢ選手会で作っているＷＢＣＩに利益が集中する仕組みに変化はないが、各国独自スポンサーからの収入については条件付きで関知しないということが確認できたから、それで良いってことになったようだ。「ＷＢＣ日本代表を応援しています！」だと持っていかれちゃうけど、「侍ジャパンを応援しています！」ならかまわないと。

　そらさすがに「ＷＢＣライセンス」と関係ない協賛まで「税金」はかけられない。当たり前のこと。結局、ＭＬＢ対ＮＰＢという「外交問題」はゼロ回答のままで、「侍ジャパンビジネス始めます」という「内政」が前進したことが参加の決め手になるという。

　「ＷＢＣなし」なんていう選択が日本側にあるわけがないと、足元を見られていたとおりの結末だ。
　しかしハッキリ言って選手会は自分たちに与えられた環境で最大の利益を引き出したと言える。仕事をしてないのはコミッショナー以下ＮＰＢ側だ。ビジネス提案もできず、「ご用聞き」と「通訳」をしていただけ。

　新井会長は「ここがスタート」と言っていたが、まさにそのとおり。とりあえず総合的に判断して参加した方がいいという最低条件をクリアしたから出ただけであって、外交問題に踏み込んで、国際的な野球組織のフェアな運営に向けてＮＰＢは働きかけ続けなきゃいけない。

　さて空席目立つ９月の甲子園Ｇ戦。これで対戦９連敗（３勝１３敗）になったとかで、三塁アルプス席もオレンジ色にずいぶんと侵食されていた。
　しかしそれを逆に力にしたかのような、ガッツあふれるプレーがいきなり飛び出す。サード良太がファールフライを追いかけてキャッチ、カメラマン席に転がり落ちて額から血が出る。いいね、良太ホントいいよ。

　しかし先発久保が二死後、阿部に２ラン、２回にも実松にソロを打たれて、強すぎるチームにいきなり０−３のビハインドとなってしまう。
　そこでまたまた登場、４番新井良太。先週のサヨナラから気合い充実だ。２回先頭で打席に入ると、初球の高め直球149km/hを叩いて文句なしレフトスタンド中段に運ぶ１１号ホームラン。反撃するぞ！とチームを鼓舞する４番の一発だった。

　その後、Ｇ先発澤村がフラフラなところを四死球や連打で攻めて、３回で３−３に追いつく。良太の一撃で元気が出たのもあるし、上本の「当たったろ死球」も素晴らしい根性だと思ったし、負けじと大和も二死満塁で粘りに粘ったのも見応えがあった。しかし命拾い二度だったんだからヒット打ちたかった（惜しいファールもあったが、結果凡退）。相手をガクッとさせるイヤな一本を打てる実力までは、もうちょっと精進が必要のようだ。
　澤村が相当悪かったのもあるが、下位打線に入った新井と平野の連打はベテランの必死さを感じた。平野ナイスタイムリー。

　その後もチャンスはあったが、フラフラの澤村を倒すパンチが当たらず、終盤まで久保との投げ合い。特に残念だったのが６回二死から上本（この日３安打）がヒット、塁上で揺さぶって、直球一本狙い打ちの大和もヒットで続き二死一二塁、打者鳥谷。ここで二走上本がスタート、完全に盗んでいたようだが「ついていった」大和が二塁でアウト。好機が終わってしまった。しかし全然ＯＫ、何か問題ある？まったくない。これから二人はダブルスチールを成功させたいという意欲が増しただろうし、相手チーム、相手投手は、より以上に神経を走者に奪われることになる。成功失敗は今、まったく関係ない。
　久保もその後見事に立ち直り、打球が直撃しても涼しい顔で続投する気迫も見せた。ということで８回までは好試合だった。

　９回表の大量失点はまあしゃあない。向こうはあくまでも余裕かましていたので、澤村をＫＯできなかったのが敗因で、榎田も打たれて強くならなきゃいけない。矢野への決め球は甘かったし、谷を甘く見ちゃいけない。
　福原は実はナイスピッチングだったのだけど、大田に楽に走らせてしまったのはベテランらしくなかったかな。坂本に打たれた最後のはもうしゃあない。

　１点ならまだわからない試合、上本のバックホーム悪送球、さらに併殺完成できない４−６−３未遂（１週間で２つ目）が「決まり手」。力を出す、スタメン獲る、疲れ出る、課題が出る。いつかは上本の送球エラーで試合を落とす。これはもう分かり切ったこと。心の準備はできていたよ（笑）。ただどうやってこの実力を上げていくかだ。考えて、やるしかない。

　連敗は悔しいけれど、常に言っているとおり、勝敗よりも来季のためにとても重要なことが「いくつか」ちりばめられていたとは思う。ジャイアンツ戦で負けるのはとにかくシャクだけど、思い切ったチャレンジがまったくないよりはずっといいよ。