自称阪神タイガース評論家（跡地）

　金本は１点ビハインドの一死一塁で代打登場、鋭いスイングで「右中間を破る起死回生の同点タイムリー二塁打」かと思われたが、３位争いを必死に戦うスワローズセンター比屋根の超美技に阻まれた。

　センサーと体の動きがリンクしていないような三塁側へのポップフライが多くなっていた金本だが、ここしばらく代打に回ってからの打席では、右に鋭いラインドライブが飛んでいる。経験に裏付けされた勝負強い打撃があれば、まだ勝負できる場所はある…そう感じさせていた中、金本の引退表明は突然のことだった。

　南球団社長が２日に「進退を含めて考えてみたらどうか」と言ったのだそうだ。
金本、２日に南球団社長と会談（デイリー）

　これは正しい対応だったのだろうか。何をもって正しいと判断するのかは難しい。ただ球団が多角的に判断し、責任者自らが正対して進言し、本人が熟慮の末（悔やみながらもではあるが）納得して決断したのだから、それは一つの正しい決着だったと思う。少なくとも「最悪の別れ」ではなく、惜しまれつつ、感謝されつつ現役を終える場を作れたのは良かった。

　報道はされていたけど、金本が本当に阪神に来てくれると決まった時は嬉しかった。だけどこれまでＦＡでやってきた選手は、あまり活躍してなかったので不安もあったが、金本はそんなレベルの選手じゃなかった。高額年俸とマスコミ露出で、「これがゴール」という選手じゃなかった。星野仙一の闘志と、金本知憲の不屈が結びついて、阪神タイガースを「武の集団」に変えた。

　おっと、思い出話はまだ先でいいね。キリがないから。
　あと何打席あるのかわからないが、まるで重いハンマーで球をぶったたくような、あるいは１Ｗでシバキ上げるような、低い弾道でライトスタンドに突き刺さるホームランを狙って欲しい。多くの記録に囲まれた男の最後の１本、どうしても見たい。