自称阪神タイガース評論家（跡地）

　ひょっとしたら、「契約書にそう書いてあるから」が正解だったりして。嘘か誠か、阪神電鉄という企業には根底に「派閥争い体質」があり、良く言えば「トラブル回避」「安全第一」、悪く言えば「事なかれ」。だから資産を有効活用できず村上ファンドにつけいられたのだとか。タイガースだけ見ていても、確かに何か変に前例尊重主義だったり、「小せえなぁ」と感じることは多い。特に最近は契約期間について妙に律儀なところを感じる。だから単純に２年契約の和田監督とマートンはもう一年、ブラゼルは終了なのではなかろうか。

　ブラゼルは１８日にアメリカ帰っちゃった。もう試合には出さないから帰ってもいいよというのはいいけれど、放出が良かったのかどうかは微妙。広角にホームランにできて、２ストライクからはミート打撃に切り替えた一昨年の打撃を徹底させれば打撃の向上は見込めそう。一方、ヒザの状態は悪くなっているように見えるから、症状次第では再浮上は難しいという判断もある。しかしその状態ですら来季のレギュラー候補筆頭である新井と遜色ないのだからやっぱり微妙だ。状態が今のままなら、たとえ他球団に行っても打たれない攻め方はあるけれど。

　でもそんなことはどうでもよくて。ブラゼルという選手は、見ていて楽しい選手なのだ。勝負の時の真剣な顔もいいが、たくさん打ってくれたホームランのあとの決めポーズ、他の選手とじゃれ合ったり、雨の日のシートダイブ、はにかむようなブサかわいい笑顔。そうかと思うと、カッとなって火が点いたように怒ったり、悔しがったり。

　二軍に落ちた時とか、報道陣にピザの出前を取ってやっていたよね。きっとアメリカのマイナーでそういうかっこいい先輩がいたんだろうな。いやひょっとしたらただ単純に自分がものすごく食べたかっただけかもしれないけど。

　微妙、複雑。ブラゼルについての考えがまとまらない。解雇の判断は間違っているとは言えない。でも、来季の構想が黒い雲の中にあるから、その判断に信用をおけない。トロット君の誕生日に活躍してもそれでも十分にチャンスを与えなかった。ブラゼルの無念に同情する。０９年から弱くなっていったタイガースとタイガースのメンバーとタイガースファンを、ブラゼルは大事にしてくれた。好きになってくれた。だから微妙。だから複雑。みんなブラゼルが大好きで、今のタイガースにこんな選手はいなくて、そんな選手を外してしまっていいのかと思う。だから微妙で複雑なのだ。

　せめてそれが納得できるような来季への準備を。ブラゼル一塁では、とうていこんなチームはできなかっただろう？と思えるようなチーム作りを。それだけは頼む。