2012.10.02 Tuesday
さて、今日はカネシゲ監督が新しい本を送ってきてくれて、それが意外なくらい(失礼だ)面白かったので紹介する。
立浪&野村が教える! 野球少年が親子でうまくなるプロ思考
元中日の立浪和義氏と元横浜の野村弘樹氏が、野球少年たちに向けて書いた指南書。カネシゲタカシさんはイラストを担当している。
この本の良いところは、PL学園で春夏全国制覇そしてプロ野球でも大活躍…と一流選手として野球界で生きてきた二人が、野球少年たちに「何を伝えたいか」、それをよーく考えて、徹底的に絞り込んでいるところにある。その内容は大きく、
第一章 プロ選手が大事にしている基本
第二章 ステップアップのための体づくり
第三章 ステップアップのための心がまえ
第四章 カベにぶつかったときにやること
に分けられている。それらはきっとなぜ自分たちはプロ野球選手になれたのだろう、なれなかった人たちとどこが違ったのだろうというテーマに沿って検証されたのだろうと思う。
もちろんアスリートとして素晴らしい素質はあったのだろうが、二人の一流選手たちは、それがもっとも重要なポイントだとは思っていない。それがこのやさしい文体の子ども向け書籍に秘められた熱いメッセージだ。
自分は何を考えて、何をやってきたか。なぜできたのか。どんな困難があって、それをどう乗り越えてきたのか。決して高い所から見下ろすようにではなく、それは今のキミと変わらないところからスタートしたことなんだよと語りかける。
子どもに語りかけた後、親に対しても「こうやってフォローしてあげて欲しい」というアドバイスがおくられている。それもこの本の特徴だ。
少年野球をやっている子どもを持つ親はもちろんのこと、草野球プレーヤーや見るだけの野球ファンにも非常に役立つ内容になっている。特に不調に悩んだ時、どういう練習をしたらいいか、まずどこをチェックすべきなのかという、具体的な「基本のキ」はとても役立つことだろう。
そして、高価な用具を買ってくれる親に感謝するんだよ、プロ野球をもっと見て欲しいな、好きな選手の真似をしよう…そんな子育て世代、元プロ野球選手としての素直な気持ちが伝わって来る。とてもいい。
最後に私が感じたこの本の一番の素晴らしさ。それは二人のトップアスリートがこの本の中でずっとかけ続けてくれる「だいじょうぶ!やり続ければ、必ず少しずつうまくなるよ」という「声」だ。プロ野球という夢の大舞台で、しかも息詰まる緊迫の場面で、信じられないスーパープレーを見せることができた二人。でもそれは、いつ報われるとも知れない地道な努力を、普段からコツコツと積み上げてきたものが、ふと実を結んだ瞬間に過ぎなかった。そのことを生きた言葉で語ってくれる。
だから「なりたい」と思うこと。そのために大切な基本、足りないものを補うための努力、それを少しずつでいいからやめないで続けること。
それは子どもたちへの「プロ野球選手にだってなれるよ」というメッセージ。そしてプロ野球選手になりたかったけれどなれなかった多くの大人たちには、「大丈夫!なりたいものになるための方法は同じ。いくつになっても一緒」そう励ましてくれる。
きっと野球好きのあなたなら、下手なビジネス書や自己啓発本より、ピュアな啓発を体験できると思う。