自称阪神タイガース評論家（跡地）

イーグルス７回の攻撃を、２三振を含む三者凡退と完璧な出来だった。直球の走りは上々。今季はいないものと思っていたが、この時期に合流できたことはありがたい。


甲子園に棲むという魔物をついに呼び覚ましてしまった。
私がイメージする魔物は、巨大な野獣とか、そんなんじゃないのだ。0.5mmくらいの小さい黒い虫のようなもので、たくさんいるはずなのに普段は甲子園の近辺に散らばってじっとしている。球場内から、驕り、慢心という腐敗臭を嗅ぎつけ、まずはスタンドに巣くい、徐々に球場全体を覆い尽くし、最後に一人の選手に狙いを定め、一気に喰い荒らす。
一見、魔物の襲撃は理不尽に思えるが、魔物はいつでもひたむきな方に味方する。勝ちたい、上手くなりたい、強くなりたいと純粋に念じているチームを助ける。

どの球場にも魔物は棲んでいるが、特に「甲子園には…」と言われるにはわけがある。永遠のライバルとされるジャイアンツは「常勝チーム」で、時に「驕り」をあらわにした。長期低迷のタイガースは、ことジャイアンツ戦だけは、どんなにチーム力がなかろうと、死力を振り絞って挑みかかった。そして甲子園に集まるタイガースファンほど、ひたむきにチームを応援するファンはいなかった。魔物は腐敗臭を感じると、まずはスタンドの半分を埋めたジャイアンツファンに寄生し、怒号の波で仲間を呼び寄せ、すぐに球場全体が魔物の支配下に置かれるのだった。
もちろん、ひたむきさと慢心にかけてはプロの比じゃない高校野球が行われることも、魔物の一大生息地である理由だろう。
時代は変わって、いつもタイガースに味方してくれていた魔物が、タイガースの選手を襲うことが多くなってきた。特にこのイーグルスのひたむきさ、「イーグルスに負けるはずがない」という空気、「ＪＦＫ揃い踏み」「杉山初勝利」すべてが魔物好みだった。

驕るなと言っても驕るのが人間で、ひたむきになれと言われてもなかなかなれないのが人間。特に優勝したチーム、連覇を狙うチームは、「魔物を呼ばないこと」に腐心しなくてはいけないのだが、監督のパーソナリティもあって、対策十分とは言えないだろう。まして、これまで眠っていた魔物が活発に動き始めたとするならなおのこと警戒が必要だ。
声出し、ダッシュ、キャッチボール、素振り。高校生に戻って、ひたむきにやれ。そして、久保田、負けるな。