2006.05.31 Wednesday
「井川の王道」直球とチェンジアップのコンビネーションで三振の山を築く。8回2失点、奪三振12。直球はばらつきながらも威力があり、腕振りの良いチェンジアップが低いところに決まったのが良かった。文句ない出来とは言わないが、気分良く投げさせることには成功していると思う。怖さのないイーグルス打線が相手だったので楽に投げられた、というのは多分にあるとは思うけどね。
前回はマリーンズ相手に9回「完投」も白星付かず、今回は8回で「負け投手」のまま降板も直後に逆転で4勝目。エースとしては当たり前のことだが、登板試合をしっかりと終盤まで組み上げて、勝ち試合に貢献したことはきっちりと評価して良い。
その井川の代打として8回ウラ先頭で打席に入ったスペンサー、またしても同点HRの大仕事。逃げ落ちるスライダーにつられずカウント0−2。今度はゾーンに入るゆるいスライダーを2つ続けて空振り。決め球はそれまでよりやや球速のあるカット気味のスライダー、泳ぎ気味、バットの先だったがスタンド前列に運んだ。山村−カツノリの配球は悔やまれるだろうなぁ。前の球と同じような緩いスライダーをボールコースに投げれば、あるいは内側に速い球を投げられればHRだけはなかっただろうに。なんて言ってるのは勝ったからなんだけどね。ったく、あぶねーあぶねー(笑)。サンキュー、シェーン!
続く赤星はボテボテ内野安打。藤本がこの日二つ目の送りバントを鮮やかに決めて一死二塁。シーツは広く攻めたもののカウントが悪くなったところで勝負を避け、金本。その初球、力のない変化球がシュート回転しながら外角低めにフラフラっと…その弱ったボールに対して容赦なく、ハンマーで杭を打つような一撃が襲いかかる。ボールのコースとは関係なく、力の違いを見せつけるような打球が風のないライトスタンド深くに消えた。イーグルスの希望をも粉砕する恐ろしい鉄槌だった。
かつての虎のドラ1、山村が好投。左右に曲がる変化球で丁寧にコーナーをつき、そこそこの直球に、井川が真似をしたというチェンジアップも織り込んで緩急を生かす。気持ちの入った投球にほとんどやられかけていた。ここ数日の投手事情が許せば、8回9回良いリリーフを注ぎ込んで逃げ込みも考えられただろうが、豪快な二発に沈んだ。
選んで、走って、繋いで、粘って、食らいついて…。思い出の甲子園で、かつて熱い声援をくれたファンに良い野球を見せたい、もちろん大半の選手はタイガースとは縁もゆかりもないのだが、なぜか不思議とそんな気持ちを感じさせるイーグルスだった。今年はかなり違うと思わせたチームから、山崎武、礒部、高須、山下が故障で離脱し、ポイントゲッター、フェルナンデスも体調万全でないという。いっぱいいっぽいのチームによるいっぱいっぱいの試合は、勝利間近の最終盤で体勢を入れ替えられてしまった。
最近タイガースファンになった人にとってみれば、古いファンが「暗黒時代」という言葉を懐かしむように口にすると、羨ましく感じるくらいかも知れないね。今のタイガースからは想像することも難しいのだから。
この日のイーグルスの姿は、暗黒時代のタイガースに似ていた。ジャイアンツ戦に並々ならぬ闘志を燃やすタイガース。序盤中盤と必死のプレーでリードを奪っても、8回9回、精神的に体力的にいっぱいいっぱい、終わってみれば力でひねられていたあの頃。三塁側ベンチには、あの頃と同じ顔がちらちらと見える。どんな気持ちでタイガースを見たのだろう。
それを想像するのは難しいことだが、イーグルスのファン気持ちなら良くわかる。悔しさの中にも、山村の素晴らしい投球を讃え、鉄平の盗塁、牧田のタイムリーに将来への光を見ていると思う。野村監督には、そんなファンを少しでも喜ばせるような試合をして欲しい。
チームが強くなっても、心の豊かさはなくしちゃいけないな。甲子園の楽天イーグルスに、そんなおかしなな感慨を持った人は意外と少なくないと思う。
前回はマリーンズ相手に9回「完投」も白星付かず、今回は8回で「負け投手」のまま降板も直後に逆転で4勝目。エースとしては当たり前のことだが、登板試合をしっかりと終盤まで組み上げて、勝ち試合に貢献したことはきっちりと評価して良い。
その井川の代打として8回ウラ先頭で打席に入ったスペンサー、またしても同点HRの大仕事。逃げ落ちるスライダーにつられずカウント0−2。今度はゾーンに入るゆるいスライダーを2つ続けて空振り。決め球はそれまでよりやや球速のあるカット気味のスライダー、泳ぎ気味、バットの先だったがスタンド前列に運んだ。山村−カツノリの配球は悔やまれるだろうなぁ。前の球と同じような緩いスライダーをボールコースに投げれば、あるいは内側に速い球を投げられればHRだけはなかっただろうに。なんて言ってるのは勝ったからなんだけどね。ったく、あぶねーあぶねー(笑)。サンキュー、シェーン!
続く赤星はボテボテ内野安打。藤本がこの日二つ目の送りバントを鮮やかに決めて一死二塁。シーツは広く攻めたもののカウントが悪くなったところで勝負を避け、金本。その初球、力のない変化球がシュート回転しながら外角低めにフラフラっと…その弱ったボールに対して容赦なく、ハンマーで杭を打つような一撃が襲いかかる。ボールのコースとは関係なく、力の違いを見せつけるような打球が風のないライトスタンド深くに消えた。イーグルスの希望をも粉砕する恐ろしい鉄槌だった。
かつての虎のドラ1、山村が好投。左右に曲がる変化球で丁寧にコーナーをつき、そこそこの直球に、井川が真似をしたというチェンジアップも織り込んで緩急を生かす。気持ちの入った投球にほとんどやられかけていた。ここ数日の投手事情が許せば、8回9回良いリリーフを注ぎ込んで逃げ込みも考えられただろうが、豪快な二発に沈んだ。
選んで、走って、繋いで、粘って、食らいついて…。思い出の甲子園で、かつて熱い声援をくれたファンに良い野球を見せたい、もちろん大半の選手はタイガースとは縁もゆかりもないのだが、なぜか不思議とそんな気持ちを感じさせるイーグルスだった。今年はかなり違うと思わせたチームから、山崎武、礒部、高須、山下が故障で離脱し、ポイントゲッター、フェルナンデスも体調万全でないという。いっぱいいっぽいのチームによるいっぱいっぱいの試合は、勝利間近の最終盤で体勢を入れ替えられてしまった。
最近タイガースファンになった人にとってみれば、古いファンが「暗黒時代」という言葉を懐かしむように口にすると、羨ましく感じるくらいかも知れないね。今のタイガースからは想像することも難しいのだから。
この日のイーグルスの姿は、暗黒時代のタイガースに似ていた。ジャイアンツ戦に並々ならぬ闘志を燃やすタイガース。序盤中盤と必死のプレーでリードを奪っても、8回9回、精神的に体力的にいっぱいいっぱい、終わってみれば力でひねられていたあの頃。三塁側ベンチには、あの頃と同じ顔がちらちらと見える。どんな気持ちでタイガースを見たのだろう。
それを想像するのは難しいことだが、イーグルスのファン気持ちなら良くわかる。悔しさの中にも、山村の素晴らしい投球を讃え、鉄平の盗塁、牧田のタイムリーに将来への光を見ていると思う。野村監督には、そんなファンを少しでも喜ばせるような試合をして欲しい。
チームが強くなっても、心の豊かさはなくしちゃいけないな。甲子園の楽天イーグルスに、そんなおかしなな感慨を持った人は意外と少なくないと思う。