2007.08.13 Monday
上出来上出来、良い流れ。今週は地元いつづけの大阪ドーム6連戦、DとCだ。ほっと一息つけるのは良いけど、相手ドラゴンズもいよいよ07型を確立して乗って来た。今週も疲れそうだね(笑)。
体勢を崩されても執念のヒットで抵抗してくるベイ打線。最後まで諦めない姿勢は最下位だった去年とは大違い。投打とも若い戦力が出てきているのも明るい材料。まだまだガンバレ!特に5勝12敗と大きく負け越しているG戦でガンバレ。
いろいろ活躍した人もいたけど、なんと言っても能見。先制すれども後続なし、チャンスを潰しまくって残塁の山。逆転負け必至の試合展開を、一人で食い止めた投球は、まるで暗黒期のエース井川のピッチングだった。詳しくは後でまたゆっくり褒めるとして、まずひと褒めしておきたい(笑)。
球数もまだ少ない好投の能見を6回で下げたのはどうだったか。実は久保田を使うことには大賛成だった。前日のモヤモヤを吹っ飛ばすためには、あの打順が一番良いが、そこまでハードル上げなくても良いように思ったんだけど。
先日球児が久保田とリベラが持っていたセーブ球団記録を超える時、あるいは30Sを記録した時に、「まだまだ、こんなもんじゃ…」という発言していたが、当然セーブ記録やタイトルは球児にとって大きなモチベーションになっている。だから少々きつくても頑張れる。逆にどうしても確実に勝っておきたい相手でも、4点差だと心も体も燃えてこないということもあるだろう。だからこの日の球児投入にはやっぱり反対。この日も打球が足に当たってヒヤリ(実際どう影響するかわからんよ)する場面があった。こういう試合で事故にあってはまったく面白いくない。
一方の久保田は、球児が持つ80試合登板という日本記録への対抗心を相当強く持っているのがうかがえる。自分ならそんなもんじゃない、やったるわいと思っている。だからどんな試合でも頑張れる。だからこそ、首脳陣の方で気持ちのメリハリをつけてやらなきゃいけない。したがって、前日の久保田投入はペケだけど、この日の投入はマルだと思った。
1番鳥谷がさっぱりだったが、そんな日は2番赤星がフル活動で出塁し、走りまくった。先制のベースランニング、おなじみの一塁からシーツレフト線で一気生還の速かったこと。そう、走路と体調さえ悪くなければ、トップスピードに乗った赤星が3塁からホームに要する時間は一瞬に過ぎない。ものすごいランニングだった。2安打2盗塁2得点、完璧な仕事だった。
今はやられっぱなしを許すような心の弱さはないよ。クリーンアップが借りを返した。
シーツは初回、8回、ともに得点に絡む会心のヒット。金本はしんどそうだけど、なんとか4回の一死一二塁では強引に引っ張り込んで一二塁間へのゴロを打ち(一ゴロで各走者は進塁)林の決定打を呼んだし、那須野をぶつけられた8回には意地でショート右を破るタイムリーを打った。
.310前後の打率をキープしながら、最近調子悪いと言われちゃう、凄すぎる林は、試合を決めるパッカーン3ランHR。インハイ直球ボール球。凄いなあ、あんな球をあんな遠くに飛ばせるんだ。いつものように体の回転はすっかり終わった後に、黒いバットがムチのようにしなって出てくる。両ヒジをたたんでグリップは胸にくっついている。インパクトは正確に真芯。そこに乗せてから、腰を水平に回転させて全身の力をセンター方向に集中させる。するとボールは切れることなくパッカーンと大きな大きな弧を描きながらライトスタンド奥深くに消えた。たぶん物理の学者さんがもっとも遠くに飛ばす方法を一所懸命計算するとこのバッティングになるんじゃないだろうか。スゴイよなぁ、やっぱり。
何より笑ったのが、練習中に岡田監督から言われたという言葉。「ホームラン打つのやめたんか?ホームラン打っていいんやで」(サンスポ)。これ最高だな。
岡田監督はアホだという説がある。これは主にファンが口を揃えて言っている(笑)。一方で、岡田監督は頭が良いという人もいる。これは主に一部の野球関係者からごく希に伝わってくる。新聞などの「語録」を読んでいれば、やっぱり「アホ」やろうと確信するのだが、実際に起きている現象や結果を見ると、いや本当にツキや偶然だけでこう上手くいくだろうか、「アホ」のフリして、実はスゴい名伯楽なんじゃないか、とわからんくならんでもない(笑)。
能見といえばウィニングショットのない投手という印象がある。スライダーが多いがタテに割れるいわゆる「縦スラ」という程でもなく、横に滑る「高速スライダー」という程でもない。フォークで決めに来るがほとんど空振りを取れる程でもない。速球は制球ソコソコだからカウントは取れる、だけど球威イマイチだから引きつけてファールにするのは難しくない。直球の走りが素晴らしい時だけは別だが、そうでなければ直球をファールにしながらスライダーを見極めれば良いから、打者としては怖さのない投手だった。
去年ハワイのウィンターリーグでチェンジアップをものにして、その「三振の心配がない投手」から一皮むけるはずの今季だった。だけど春先はその球があまりあてにならず、なにより直球に力がなかった。
5月末に抹消され、その後はファームで先発調整。7試合43回、6勝0敗、防御率2.51、奪三振37。二軍首脳のお墨付きが出て8/7に再度一軍登録、8/8大勝したG戦の調整登板を経てこの日久々に先発した能見は明らかに良くなっていた。
全86球。その約半数の42球を占めた直球はほとんどが140km/hを軽く越えて、良く走っていた。打撃で言えばドアスイング、全身のしなりを上手く使う投法ではないが、最後のスナップを強く利かせて速い球を内に外に投げ分けた。特に右打者の内角をえぐるクロスファイアの精度が高く、このボールを意識させたのは大きい。
スライダーは20球(23.3%)。球速は130km/h前後。以前の変化の大きさを意識した切るような投げ方ではなく、動きは小さくてもスミを狙うような使用法で、組み立ての中では「速い系」と「抜く系」を上手く繋いだ。
全6イニングに平均して使ったフォークが13球(15.1%)。球速は130km/h前後。直球を安心して振れなくするために若いカウントから使う場面が多かった。変化が小さくても空振りも取れたし、ゴロも打たせたのは、直球の良さがあったからこそ。
そして11球(12.8%)投げたチェンジアップを矢野が上手く使った。前半で多めにつかって、中は意識だけさせて直球でぐいぐい、そして終いの肝心なところでフワっと抜かせた。押し込んでからの引き技、140km/hオーバーで押し込んでおいて、120km/h前後、右打者の外にゆっくり逃げ落ちていく軌道は、完全につんのめらせることに成功していた。好調ベイ打線の各打者が泳ぎながらもポテンにするケースもあったのだが、ウィニングショットとして有効だった。
インタビューでは、チームに貢献できずにいたことに悶々としていた心情を素直に語っていた。目深に被った帽子でその目元が見にくかったが、泣き出したいのを我慢しているかのような熱い語り口だった。そういうムシャクシャした熱い思いを、力強い腕振りに乗せて、クールな投球を決めた。もしここで能見がこの投球を続けてくれるのなら、デカいなんてもんじゃないよ。ナイスP、能見!よう投げた!
体勢を崩されても執念のヒットで抵抗してくるベイ打線。最後まで諦めない姿勢は最下位だった去年とは大違い。投打とも若い戦力が出てきているのも明るい材料。まだまだガンバレ!特に5勝12敗と大きく負け越しているG戦でガンバレ。
いろいろ活躍した人もいたけど、なんと言っても能見。先制すれども後続なし、チャンスを潰しまくって残塁の山。逆転負け必至の試合展開を、一人で食い止めた投球は、まるで暗黒期のエース井川のピッチングだった。詳しくは後でまたゆっくり褒めるとして、まずひと褒めしておきたい(笑)。
球数もまだ少ない好投の能見を6回で下げたのはどうだったか。実は久保田を使うことには大賛成だった。前日のモヤモヤを吹っ飛ばすためには、あの打順が一番良いが、そこまでハードル上げなくても良いように思ったんだけど。
先日球児が久保田とリベラが持っていたセーブ球団記録を超える時、あるいは30Sを記録した時に、「まだまだ、こんなもんじゃ…」という発言していたが、当然セーブ記録やタイトルは球児にとって大きなモチベーションになっている。だから少々きつくても頑張れる。逆にどうしても確実に勝っておきたい相手でも、4点差だと心も体も燃えてこないということもあるだろう。だからこの日の球児投入にはやっぱり反対。この日も打球が足に当たってヒヤリ(実際どう影響するかわからんよ)する場面があった。こういう試合で事故にあってはまったく面白いくない。
一方の久保田は、球児が持つ80試合登板という日本記録への対抗心を相当強く持っているのがうかがえる。自分ならそんなもんじゃない、やったるわいと思っている。だからどんな試合でも頑張れる。だからこそ、首脳陣の方で気持ちのメリハリをつけてやらなきゃいけない。したがって、前日の久保田投入はペケだけど、この日の投入はマルだと思った。
1番鳥谷がさっぱりだったが、そんな日は2番赤星がフル活動で出塁し、走りまくった。先制のベースランニング、おなじみの一塁からシーツレフト線で一気生還の速かったこと。そう、走路と体調さえ悪くなければ、トップスピードに乗った赤星が3塁からホームに要する時間は一瞬に過ぎない。ものすごいランニングだった。2安打2盗塁2得点、完璧な仕事だった。
今はやられっぱなしを許すような心の弱さはないよ。クリーンアップが借りを返した。
シーツは初回、8回、ともに得点に絡む会心のヒット。金本はしんどそうだけど、なんとか4回の一死一二塁では強引に引っ張り込んで一二塁間へのゴロを打ち(一ゴロで各走者は進塁)林の決定打を呼んだし、那須野をぶつけられた8回には意地でショート右を破るタイムリーを打った。
.310前後の打率をキープしながら、最近調子悪いと言われちゃう、凄すぎる林は、試合を決めるパッカーン3ランHR。インハイ直球ボール球。凄いなあ、あんな球をあんな遠くに飛ばせるんだ。いつものように体の回転はすっかり終わった後に、黒いバットがムチのようにしなって出てくる。両ヒジをたたんでグリップは胸にくっついている。インパクトは正確に真芯。そこに乗せてから、腰を水平に回転させて全身の力をセンター方向に集中させる。するとボールは切れることなくパッカーンと大きな大きな弧を描きながらライトスタンド奥深くに消えた。たぶん物理の学者さんがもっとも遠くに飛ばす方法を一所懸命計算するとこのバッティングになるんじゃないだろうか。スゴイよなぁ、やっぱり。
何より笑ったのが、練習中に岡田監督から言われたという言葉。「ホームラン打つのやめたんか?ホームラン打っていいんやで」(サンスポ)。これ最高だな。
岡田監督はアホだという説がある。これは主にファンが口を揃えて言っている(笑)。一方で、岡田監督は頭が良いという人もいる。これは主に一部の野球関係者からごく希に伝わってくる。新聞などの「語録」を読んでいれば、やっぱり「アホ」やろうと確信するのだが、実際に起きている現象や結果を見ると、いや本当にツキや偶然だけでこう上手くいくだろうか、「アホ」のフリして、実はスゴい名伯楽なんじゃないか、とわからんくならんでもない(笑)。
能見といえばウィニングショットのない投手という印象がある。スライダーが多いがタテに割れるいわゆる「縦スラ」という程でもなく、横に滑る「高速スライダー」という程でもない。フォークで決めに来るがほとんど空振りを取れる程でもない。速球は制球ソコソコだからカウントは取れる、だけど球威イマイチだから引きつけてファールにするのは難しくない。直球の走りが素晴らしい時だけは別だが、そうでなければ直球をファールにしながらスライダーを見極めれば良いから、打者としては怖さのない投手だった。
去年ハワイのウィンターリーグでチェンジアップをものにして、その「三振の心配がない投手」から一皮むけるはずの今季だった。だけど春先はその球があまりあてにならず、なにより直球に力がなかった。
5月末に抹消され、その後はファームで先発調整。7試合43回、6勝0敗、防御率2.51、奪三振37。二軍首脳のお墨付きが出て8/7に再度一軍登録、8/8大勝したG戦の調整登板を経てこの日久々に先発した能見は明らかに良くなっていた。
全86球。その約半数の42球を占めた直球はほとんどが140km/hを軽く越えて、良く走っていた。打撃で言えばドアスイング、全身のしなりを上手く使う投法ではないが、最後のスナップを強く利かせて速い球を内に外に投げ分けた。特に右打者の内角をえぐるクロスファイアの精度が高く、このボールを意識させたのは大きい。
スライダーは20球(23.3%)。球速は130km/h前後。以前の変化の大きさを意識した切るような投げ方ではなく、動きは小さくてもスミを狙うような使用法で、組み立ての中では「速い系」と「抜く系」を上手く繋いだ。
全6イニングに平均して使ったフォークが13球(15.1%)。球速は130km/h前後。直球を安心して振れなくするために若いカウントから使う場面が多かった。変化が小さくても空振りも取れたし、ゴロも打たせたのは、直球の良さがあったからこそ。
そして11球(12.8%)投げたチェンジアップを矢野が上手く使った。前半で多めにつかって、中は意識だけさせて直球でぐいぐい、そして終いの肝心なところでフワっと抜かせた。押し込んでからの引き技、140km/hオーバーで押し込んでおいて、120km/h前後、右打者の外にゆっくり逃げ落ちていく軌道は、完全につんのめらせることに成功していた。好調ベイ打線の各打者が泳ぎながらもポテンにするケースもあったのだが、ウィニングショットとして有効だった。
インタビューでは、チームに貢献できずにいたことに悶々としていた心情を素直に語っていた。目深に被った帽子でその目元が見にくかったが、泣き出したいのを我慢しているかのような熱い語り口だった。そういうムシャクシャした熱い思いを、力強い腕振りに乗せて、クールな投球を決めた。もしここで能見がこの投球を続けてくれるのなら、デカいなんてもんじゃないよ。ナイスP、能見!よう投げた!