自称阪神タイガース評論家(跡地)

かつてブログ「自称阪神タイガース評論家」があった場所。
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クラッチ
JFKを持つタイガースにとって、終盤で3点のリードは安全圏。
6回裏、葛城がその3点リードになるタイムリーを打つ。ここでC先発黒田に何か異常が発生したのかベンチに下がる。ちょっとした休憩タイム。一塁走者葛城がベンチに戻って、今ホームインしたばかりの桜井と手を合わせ、双方笑顔で言葉を交わす。葛城は「広大ナイスバッティング、助かったよ」そう言ったに違いない。

1−0、1点リードの5回表。先発杉山は、制球がバランバラン。まっすぐとシュートは気まぐれに良いところに決まるが、カーブ、スライダー、フォークは真ん中に寄って打たれる。毎回ピンチの連続だったが、なんとかかんとか粘ってきた。勝ち投手がかかるこの5回も四球とヒットで一死一三塁。前田の当たりは一塁左への強いゴロ、葛城上手く捕って併殺狙い、二塁送球、これが高投!鳥谷がなんとかジャンプして捕り二塁はアウトを取ったが1点を失い同点。併殺が取れないのなら本塁で一人挟殺の場面だったので手痛いミスになってしまった。

何といっても、こっちのマウンドはフラフラ&ヘラヘラの杉山、あっちのマウンドはエース黒田だ。せっかく中盤まで守ってきた、たった1点のリードをミスがらみで失ったのはここ最近の流れから言っても痛かった。
そのたった1点のリードを生んだのは桜井の甲子園初ホームランだった。林が抜けて5番に入って2試合目。この男のクラッチヒッターぶりは見事としか言いようがない。チャンスに強い。しかもそのチャンスとは、まるでほころびのような「カウント有利」程度のもので十分だったりする。2回、一死走者なし。カウント1−3。まっすぐ一本に絞って、アウトハイ直球に、体の重みと回転力をバットに乗っける斧打法で黒田の148km/hを真っ二つ。上から叩いた打球は大きな弧を描いてバックスクリーン右端に飛び込んだ。力、思い切り。痺れるHRだった。
鳴尾浜で長い間ともに過ごした桜井の甲子園初HRで黒田から奪ったリード。これを自分のミスで失ったことを葛城は誰よりも悔しく感じていたに違いない。

1−1の同点となって、6回表、2番手ダーウィン。外角の直球で簡単にカウントを稼ぎ、リズム良く三振2つと遊ゴロで、簡単に三者凡退。それまで杉山が毎回苦労の投球だったので、一気に軽やかなムードが漂う。ムードを変えたね。

6回裏、一死から赤星内野安打、そしてシーツが送りバントで二死二塁。サインなのかねぇ。ちょっとビックリ。でも確かにこの回はなんとかものにしたい回だったからね。
ここでまたビックリ。ブラウン監督が出てきて、金本を敬遠。金本は黒田とあまり相性が良くないのだが、あえてHRを打っている桜井と勝負に出る。
1球、2球とスライダーがわずかに高く外れる。ここでわざと高めのスライダーを打ち損じさせようという投手はいないと思うので、疲れによる微妙なコントロールの乱れか。カウント0−2。チャンスだ。そして桜井は逃さない。まっすぐ一本。来た、インコースへシュート、素速く体を回して、細い柴木を一発で刈り倒すように斧を小さく振り抜く。サードが右に飛びつく間もなく、あっという間に地を這うような猛ゴロはレフトに達する。さらにバックホームに備えて三遊間後方に前進していた前田の左をあっという間に抜けて行く。その猛烈なライナーのようなゴロは速度を落とすことなくレフトフェンスに達し、追いかけて来た前田が拾ったところで、桜井は悠々三塁に達することができた。内だろうと、外だろうと、チャンスは逃さない。クラッチヒッター桜井。すごい!さらにこの日はライトフェンスにぶつかりながら背走ジャンピングキャッチという、超スーパーファインプレー(桜井基準)もあって、最高だった。

得点3−1。打席に入る葛城は、この桜井の2点タイムリー三塁打で、どんなにホッとしただろう。楽になった気持ちのまま、追い打ちの三遊間タイムリーで桜井を返し、リードはセーフティの3点になった。ひとときの休憩タイムに、思わず桜井に駆け寄った気持ちは良くわかる。



4−1、3点リードができて、7回表から久保田。内野も守備固め体勢に入る。しかし、どん詰まりの不運なポテンヒットが2つも続き、無死一二塁。さらに新井の併殺コース、平凡な一ゴロをシーツがトンネル、タイムリーエラーとなる。名手と呼ばれるシーツが3日連続で手痛いエラー。やっぱりもっぺんクビクビ騒がなピリっとせんかね(笑)。
なお無死一三塁、栗原の三ゴロで関本判断良く三走アレックスを挟殺し一死一二塁に押し戻す。前田を迎えて、ジェフを投入。前田、嶋を連続三振に切りピンチを切り抜けると、8回も三者凡退。今日も完璧な投球で2点リードを球児に繋ぐ。
藤川の投球内容が変わってきた。温存していた、打たれようのない直球を実戦配備した。ワンバウンドしそうに叩きつけたのに、低め一杯に伸びてくる球道、ど真ん中と思っても高く浮き上がって行く球道が帰ってきた。森笠、アレックスを連続三振の後、「あと1球」を経て新井の平凡な二ゴロを藤本がトンネル。栗原に一発出れば同点という場面も、もう一度二ゴロでゲームセット。
スッキリした気分8割、モヤモヤっとした気分2割。しかしジェフの言葉を聞いて、だいぶ気が晴れた。
「どんな場面でも気持ちは変わらない。お互いに助け合うのがチーム。それが自分のモチベーションの糧になる。だから頑張れているんだ」(サンスポ)
さすがはタイガースを強くしてくれた、もう一人の精神的支柱の言葉だ。ミスするなと言ったって、競り合い、せめぎ合いの重圧の中でミスは必ず出る。その最大の防御策は、ミスをしても良いという気持ちで精一杯のプレーをすること。そのためには、常にチームメイトのミスを全員でカバーしようとする姿勢が大切になる。

今、チームに一番必要なのは、一軍の試合で活躍するチャンスがある幸せを全身で表現しようという気持ち。一度死んだチームを生き返らせてくれたのは鳴尾浜で悔しさに耐えてきた選手たち。そして再び萎縮の罠に陥りそうだったチームに、桜井が、葛城が、ダーウィンが、高橋光が、安藤が…おそらくもっと多くの選手たちが、最後の力を、信じられないほどのパワーと勢いを与えてくれる。

Posted by torao at 08:58 | comments(13)
[野手]桜井
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スッキリした気分8割、モヤモヤっとした気分2割。
…さすがtoraoさん。うまいこと言う。
勝ったのになんかスカッとしない気分は、私だけではなかったのですね。
赤星が走り・金本が打ち・シーツが守る…という定番がないから?う〜ん?!なんだろう。

「桜井はずっと檻に入れられてた動物みたいなもんで、外に出られた(1軍で試合ができる)だけで、もううれしくて楽しくてしょうがないという感じ」by木戸さん(29日)
これもうまいこと言うなぁ…と思いました。
| とらみ | 2007/08/31 10:26 AM |
右打者にとって3塁線・レフト線を破るヒットは醍醐味ですね。それよりも右。前の試合で「葛城の打球に追いついた前田」の横。あっというまに抜けていく…すごい。このふたり。打席で気迫が全面に出る具合が似てますね。実に爽快な一打でした。前田の記念ヒットが市民球場に持ち越しになってよかった。D相手に存分に暴れてちょうだい(笑)。
| BSミツルH | 2007/08/31 10:42 AM |
勝った次の日だけ読ませていただいてます。それにしても若くて意気の良い若い衆は、気持良いですね。我が子のようにおばさんは見守っておりやす。それにしても、先発と打撃、このまま行ってしまうの?しくしく・・。読売の下にだけはつきたくなーい!!
| 田舎の虎おばさん | 2007/08/31 11:27 AM |
イクローは守備を何とかしないとチーム全体にガタがきそう。
カムバック今岡。
| 虎猫。 | 2007/08/31 12:12 PM |
私セレクトのtoraoさん“本日のひとこと”はコレ。
「超スーパーファインプレー(桜井基準)」

大笑いいたしました\(^o^)/
そうだよねぇ、打てても守るとこがないって言われて、ずーっと鳴尾浜で檻暮しだったんだもんねぇ。あのスーパーキャッチは試合の流れを決めるビッグプレーになったし、もしかしたら、シーズンの流れを決めるグレートプレーになるかもしれません。そして、あのすさまじい弾道のHR。
個人的に、小説『バッテリー』の強打者・門脇くんのイメージは広大なので、彼には常にカッコよくあってほしいのです。

そして、ジェフ。タイガースに来てくれてありがとうと、心から言いたいです。
ええ、五輪で日本代表をバシッと負かしてくれたことなんて、もう怨んでませんとも(笑) あの年、五輪から帰って以降成績サッパリだったこともね(←女はしつこい)。
| あーちゃん | 2007/08/31 12:22 PM |
勝っても負けても読ませていただいてます。
特に負けた日のtoraoさんのほうが断然冴えていると思えるのは私だけ?www

サードのグラブをかすめて、あっというも間にフェンスまで達した桜井の打球には驚嘆しました。いや、もうアニキの後継者は決まったようなもんですね。
アニキVSコーダイによる「熾烈な外野手争い」というバトル。そんな下克上もタブーとは言えないくらい、桜井が一皮めくれてきましたね。それを刺激にアニキが本気でライバル心燃やして、なおいっそう頑張ってくれたら尚うれしい。
| いわほー | 2007/08/31 12:32 PM |
to とらみさま
まだ萎縮したプレーがスッキリ晴れるとこまでは行きませんでしたね。

to BSミツルHさま
前進していたとはいえ、三左間を破るゴロヒットって、なかなかお目にかかれませんよね。しかも芝の甲子園で。驚きました。
そりゃ市民球場が良いに決まってますよね。客も入るし、カープみんな燃えろよ!

to 田舎の虎おばさんさま
勝った日と負けた日とでは、ずいぶん訪問者数が変わりますので、そういう方も多いのでしょうね。基本的に「やさしめ」になっていますので、そんな日も安心してお越し下さい。
誰もまだ「このまま」だなんて思ってないでしょうから、大丈夫ですよ。

to 虎猫。さま
葛城、守備はけっこう鍛えているように思うのですが。股裂き捕球も上手いですし。
今岡はまだもう少し(まだまだ?)みたいですね。

to あーちゃんさま
ホームランもファインプレーも三塁打も、すべてディープインパクトでした。このインパクトは、萎縮をふりほどいていく力になるかも知れませんね。
ええ?まだ怨んでるの?(笑)

to いわほーさま
勝った日はダメですか?(笑)
桜井、出場は少ないですが、今や打率、出塁率、長打率、どれをとってもレギュラーの中ではダントツです。あとは守りでもイケイケの気持ちを持ってくれれば大丈夫。そらしたって赤星がカバーしてくれますから。ここから大ブレーク街道を突っ走って欲しいです。
| torao | 2007/08/31 1:25 PM |
まさに、桜井ナイトでした。
それにしても、桜井との勝負を選択させる金本。打たなくても存在感十分でした。

シーツは、モチベーションだけでなく、視力も落ちているのではないでしょうか。
ボールがはっきり見えないから、打つときも守るときも、アバウトに対応してしまっているのではないでしょうか。
| 一虎ファン | 2007/08/31 3:29 PM |
金本に対してワンポイントでフェルナンデスをぶつけてきたのにはビックリしました。

これはまるで、G時代の松井に対するノム采配の遠山。松井キラーとして名を馳せたアレを思い出しました。

ということは、金本キラーとしてこれからもフェル様がしばしば出てくるやも!?
| ゴマ | 2007/08/31 4:42 PM |
昨日の桜井。目一杯フアィンプレーとか、あっ!と思わせる打撃はちょっとスペンサーを思い出しました。なにげに好きでしたけど。今何してるのかなぁ?桜井、これからも球をガンガンしばきあげてネ。
| お調子者 | 2007/08/31 5:17 PM |
to toraoさま
だから、もう全然怨んでませんてば。「もう怨んでないよ」って、一生言い続けるでしょうけど(笑)
「ソレはソレ、コレはコレ!」です、はい。WBCでだいぶ溜飲は下がりましたが、やっぱり五輪金メダルは取ってほしいので。
| あーちゃん | 2007/08/31 6:09 PM |
彼の良い所は、最後の最後まで自分のゾーンを崩さない事。
自分のスイングを信じている事。
なかなかできる事ではないです。
厳しい攻めをされた時、そんなものはいとも簡単に
崩れ去るものなのに。
この若者は、6年間鳴尾浜でどのようにその自信を
築き上げたのか。
それとも持って生まれた才能なのか。

煌く様な中心打者としての資質を持つ桜井広大。
期待して待った甲斐がある。
| 西田辺 | 2007/08/31 10:04 PM |
to 一虎ファンさま
二死にしてまでシーツが送りバントをしたことで、なんだか金本か桜井かの選択が重要になったような気がします。もしシーツが二ゴロかなんかで進塁させたのなら、普通に勝負してたかも知れませんよね。

to ゴマさま
ああ、そういえばそんなこともあったんでした。スルーしちゃいましたけど。本当に金本のスイングでボールがひらりと逃げたように感じました(笑)。

to お調子者さま
スペンサーは引退しちゃったみたいですね。確かに桜井は似ています。シルエットが(笑)。

to あーちゃんさま
了解了解(笑)。

to 西田辺さま
見ていて楽しいですよね。評価が固まったあと、苦しい中でどう成長していくか。いやあ、ホント待ってて良かった!
| torao | 2007/09/01 10:38 AM |

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