2007.08.31 Friday
6回裏、葛城がその3点リードになるタイムリーを打つ。ここでC先発黒田に何か異常が発生したのかベンチに下がる。ちょっとした休憩タイム。一塁走者葛城がベンチに戻って、今ホームインしたばかりの桜井と手を合わせ、双方笑顔で言葉を交わす。葛城は「広大ナイスバッティング、助かったよ」そう言ったに違いない。
1−0、1点リードの5回表。先発杉山は、制球がバランバラン。まっすぐとシュートは気まぐれに良いところに決まるが、カーブ、スライダー、フォークは真ん中に寄って打たれる。毎回ピンチの連続だったが、なんとかかんとか粘ってきた。勝ち投手がかかるこの5回も四球とヒットで一死一三塁。前田の当たりは一塁左への強いゴロ、葛城上手く捕って併殺狙い、二塁送球、これが高投!鳥谷がなんとかジャンプして捕り二塁はアウトを取ったが1点を失い同点。併殺が取れないのなら本塁で一人挟殺の場面だったので手痛いミスになってしまった。
何といっても、こっちのマウンドはフラフラ&ヘラヘラの杉山、あっちのマウンドはエース黒田だ。せっかく中盤まで守ってきた、たった1点のリードをミスがらみで失ったのはここ最近の流れから言っても痛かった。
そのたった1点のリードを生んだのは桜井の甲子園初ホームランだった。林が抜けて5番に入って2試合目。この男のクラッチヒッターぶりは見事としか言いようがない。チャンスに強い。しかもそのチャンスとは、まるでほころびのような「カウント有利」程度のもので十分だったりする。2回、一死走者なし。カウント1−3。まっすぐ一本に絞って、アウトハイ直球に、体の重みと回転力をバットに乗っける斧打法で黒田の148km/hを真っ二つ。上から叩いた打球は大きな弧を描いてバックスクリーン右端に飛び込んだ。力、思い切り。痺れるHRだった。
鳴尾浜で長い間ともに過ごした桜井の甲子園初HRで黒田から奪ったリード。これを自分のミスで失ったことを葛城は誰よりも悔しく感じていたに違いない。
1−1の同点となって、6回表、2番手ダーウィン。外角の直球で簡単にカウントを稼ぎ、リズム良く三振2つと遊ゴロで、簡単に三者凡退。それまで杉山が毎回苦労の投球だったので、一気に軽やかなムードが漂う。ムードを変えたね。
6回裏、一死から赤星内野安打、そしてシーツが送りバントで二死二塁。サインなのかねぇ。ちょっとビックリ。でも確かにこの回はなんとかものにしたい回だったからね。
ここでまたビックリ。ブラウン監督が出てきて、金本を敬遠。金本は黒田とあまり相性が良くないのだが、あえてHRを打っている桜井と勝負に出る。
1球、2球とスライダーがわずかに高く外れる。ここでわざと高めのスライダーを打ち損じさせようという投手はいないと思うので、疲れによる微妙なコントロールの乱れか。カウント0−2。チャンスだ。そして桜井は逃さない。まっすぐ一本。来た、インコースへシュート、素速く体を回して、細い柴木を一発で刈り倒すように斧を小さく振り抜く。サードが右に飛びつく間もなく、あっという間に地を這うような猛ゴロはレフトに達する。さらにバックホームに備えて三遊間後方に前進していた前田の左をあっという間に抜けて行く。その猛烈なライナーのようなゴロは速度を落とすことなくレフトフェンスに達し、追いかけて来た前田が拾ったところで、桜井は悠々三塁に達することができた。内だろうと、外だろうと、チャンスは逃さない。クラッチヒッター桜井。すごい!さらにこの日はライトフェンスにぶつかりながら背走ジャンピングキャッチという、超スーパーファインプレー(桜井基準)もあって、最高だった。
得点3−1。打席に入る葛城は、この桜井の2点タイムリー三塁打で、どんなにホッとしただろう。楽になった気持ちのまま、追い打ちの三遊間タイムリーで桜井を返し、リードはセーフティの3点になった。ひとときの休憩タイムに、思わず桜井に駆け寄った気持ちは良くわかる。
4−1、3点リードができて、7回表から久保田。内野も守備固め体勢に入る。しかし、どん詰まりの不運なポテンヒットが2つも続き、無死一二塁。さらに新井の併殺コース、平凡な一ゴロをシーツがトンネル、タイムリーエラーとなる。名手と呼ばれるシーツが3日連続で手痛いエラー。やっぱりもっぺんクビクビ騒がなピリっとせんかね(笑)。
なお無死一三塁、栗原の三ゴロで関本判断良く三走アレックスを挟殺し一死一二塁に押し戻す。前田を迎えて、ジェフを投入。前田、嶋を連続三振に切りピンチを切り抜けると、8回も三者凡退。今日も完璧な投球で2点リードを球児に繋ぐ。
藤川の投球内容が変わってきた。温存していた、打たれようのない直球を実戦配備した。ワンバウンドしそうに叩きつけたのに、低め一杯に伸びてくる球道、ど真ん中と思っても高く浮き上がって行く球道が帰ってきた。森笠、アレックスを連続三振の後、「あと1球」を経て新井の平凡な二ゴロを藤本がトンネル。栗原に一発出れば同点という場面も、もう一度二ゴロでゲームセット。
スッキリした気分8割、モヤモヤっとした気分2割。しかしジェフの言葉を聞いて、だいぶ気が晴れた。
「どんな場面でも気持ちは変わらない。お互いに助け合うのがチーム。それが自分のモチベーションの糧になる。だから頑張れているんだ」(サンスポ)
さすがはタイガースを強くしてくれた、もう一人の精神的支柱の言葉だ。ミスするなと言ったって、競り合い、せめぎ合いの重圧の中でミスは必ず出る。その最大の防御策は、ミスをしても良いという気持ちで精一杯のプレーをすること。そのためには、常にチームメイトのミスを全員でカバーしようとする姿勢が大切になる。
今、チームに一番必要なのは、一軍の試合で活躍するチャンスがある幸せを全身で表現しようという気持ち。一度死んだチームを生き返らせてくれたのは鳴尾浜で悔しさに耐えてきた選手たち。そして再び萎縮の罠に陥りそうだったチームに、桜井が、葛城が、ダーウィンが、高橋光が、安藤が…おそらくもっと多くの選手たちが、最後の力を、信じられないほどのパワーと勢いを与えてくれる。
1−0、1点リードの5回表。先発杉山は、制球がバランバラン。まっすぐとシュートは気まぐれに良いところに決まるが、カーブ、スライダー、フォークは真ん中に寄って打たれる。毎回ピンチの連続だったが、なんとかかんとか粘ってきた。勝ち投手がかかるこの5回も四球とヒットで一死一三塁。前田の当たりは一塁左への強いゴロ、葛城上手く捕って併殺狙い、二塁送球、これが高投!鳥谷がなんとかジャンプして捕り二塁はアウトを取ったが1点を失い同点。併殺が取れないのなら本塁で一人挟殺の場面だったので手痛いミスになってしまった。
何といっても、こっちのマウンドはフラフラ&ヘラヘラの杉山、あっちのマウンドはエース黒田だ。せっかく中盤まで守ってきた、たった1点のリードをミスがらみで失ったのはここ最近の流れから言っても痛かった。
そのたった1点のリードを生んだのは桜井の甲子園初ホームランだった。林が抜けて5番に入って2試合目。この男のクラッチヒッターぶりは見事としか言いようがない。チャンスに強い。しかもそのチャンスとは、まるでほころびのような「カウント有利」程度のもので十分だったりする。2回、一死走者なし。カウント1−3。まっすぐ一本に絞って、アウトハイ直球に、体の重みと回転力をバットに乗っける斧打法で黒田の148km/hを真っ二つ。上から叩いた打球は大きな弧を描いてバックスクリーン右端に飛び込んだ。力、思い切り。痺れるHRだった。
鳴尾浜で長い間ともに過ごした桜井の甲子園初HRで黒田から奪ったリード。これを自分のミスで失ったことを葛城は誰よりも悔しく感じていたに違いない。
1−1の同点となって、6回表、2番手ダーウィン。外角の直球で簡単にカウントを稼ぎ、リズム良く三振2つと遊ゴロで、簡単に三者凡退。それまで杉山が毎回苦労の投球だったので、一気に軽やかなムードが漂う。ムードを変えたね。
6回裏、一死から赤星内野安打、そしてシーツが送りバントで二死二塁。サインなのかねぇ。ちょっとビックリ。でも確かにこの回はなんとかものにしたい回だったからね。
ここでまたビックリ。ブラウン監督が出てきて、金本を敬遠。金本は黒田とあまり相性が良くないのだが、あえてHRを打っている桜井と勝負に出る。
1球、2球とスライダーがわずかに高く外れる。ここでわざと高めのスライダーを打ち損じさせようという投手はいないと思うので、疲れによる微妙なコントロールの乱れか。カウント0−2。チャンスだ。そして桜井は逃さない。まっすぐ一本。来た、インコースへシュート、素速く体を回して、細い柴木を一発で刈り倒すように斧を小さく振り抜く。サードが右に飛びつく間もなく、あっという間に地を這うような猛ゴロはレフトに達する。さらにバックホームに備えて三遊間後方に前進していた前田の左をあっという間に抜けて行く。その猛烈なライナーのようなゴロは速度を落とすことなくレフトフェンスに達し、追いかけて来た前田が拾ったところで、桜井は悠々三塁に達することができた。内だろうと、外だろうと、チャンスは逃さない。クラッチヒッター桜井。すごい!さらにこの日はライトフェンスにぶつかりながら背走ジャンピングキャッチという、超スーパーファインプレー(桜井基準)もあって、最高だった。
得点3−1。打席に入る葛城は、この桜井の2点タイムリー三塁打で、どんなにホッとしただろう。楽になった気持ちのまま、追い打ちの三遊間タイムリーで桜井を返し、リードはセーフティの3点になった。ひとときの休憩タイムに、思わず桜井に駆け寄った気持ちは良くわかる。
4−1、3点リードができて、7回表から久保田。内野も守備固め体勢に入る。しかし、どん詰まりの不運なポテンヒットが2つも続き、無死一二塁。さらに新井の併殺コース、平凡な一ゴロをシーツがトンネル、タイムリーエラーとなる。名手と呼ばれるシーツが3日連続で手痛いエラー。やっぱりもっぺんクビクビ騒がなピリっとせんかね(笑)。
なお無死一三塁、栗原の三ゴロで関本判断良く三走アレックスを挟殺し一死一二塁に押し戻す。前田を迎えて、ジェフを投入。前田、嶋を連続三振に切りピンチを切り抜けると、8回も三者凡退。今日も完璧な投球で2点リードを球児に繋ぐ。
藤川の投球内容が変わってきた。温存していた、打たれようのない直球を実戦配備した。ワンバウンドしそうに叩きつけたのに、低め一杯に伸びてくる球道、ど真ん中と思っても高く浮き上がって行く球道が帰ってきた。森笠、アレックスを連続三振の後、「あと1球」を経て新井の平凡な二ゴロを藤本がトンネル。栗原に一発出れば同点という場面も、もう一度二ゴロでゲームセット。
スッキリした気分8割、モヤモヤっとした気分2割。しかしジェフの言葉を聞いて、だいぶ気が晴れた。
「どんな場面でも気持ちは変わらない。お互いに助け合うのがチーム。それが自分のモチベーションの糧になる。だから頑張れているんだ」(サンスポ)
さすがはタイガースを強くしてくれた、もう一人の精神的支柱の言葉だ。ミスするなと言ったって、競り合い、せめぎ合いの重圧の中でミスは必ず出る。その最大の防御策は、ミスをしても良いという気持ちで精一杯のプレーをすること。そのためには、常にチームメイトのミスを全員でカバーしようとする姿勢が大切になる。
今、チームに一番必要なのは、一軍の試合で活躍するチャンスがある幸せを全身で表現しようという気持ち。一度死んだチームを生き返らせてくれたのは鳴尾浜で悔しさに耐えてきた選手たち。そして再び萎縮の罠に陥りそうだったチームに、桜井が、葛城が、ダーウィンが、高橋光が、安藤が…おそらくもっと多くの選手たちが、最後の力を、信じられないほどのパワーと勢いを与えてくれる。