自称阪神タイガース評論家（跡地）

下柳自身も地域のソフトボールがきっかけで野球の世界に入っていったということだ。確かにまず「面白い」というところにスポットを当てるとするなら、バットでボールを打つということが一番だし、それならば緩く投げた少し大きなボールを打つソフトボールは最適だからね。どうやら九州の北の方は特に、小学校低学年からできるソフトボール→高学年の軟式野球少年団というステップが一般的らしい。

そういえば高校ドラ１の高濱卓也内野手（たかはまたくや・横浜高）も佐賀県でソフトボールを始めたことが野球の原点だったとか。小４から軟式。中学でも軟式野球部。ところがモノが違いすぎた。エースで４番の高濱が、なんでもない市立中学を全国ベスト８に導く。さらに横浜スタジアムで行われる全日本少年軟式野球大会では130km/hの速球と、スタンドインのＨＲで３位。
横浜高の渡辺監督がそれを見ていたことが縁で横浜高に進学。内野手に転向し１年からレギュラー。２年センバツ優勝は24打数10安打、打率.417、９打点、７盗塁、さらには好守連発というＭＶＰ級の活躍。特に決勝の清峰（長崎）戦では、６打数４安打５打点、４盗塁と暴れまくった。

50mを6.0秒で走り、遠投は120mを投げる。守備範囲の広さは相当なもの。
強い下半身は、バットコントロールの柔らかさと、ヘッドスピードを両立させる。ボールを引きつけて、右へ左へ鋭く打ち返し、飛ばすツボも持っている。

「非凡」などという平凡な言葉で表現してしまうのはもったいない逸材だが、ドラフトではすぐにお金になりそうなスピードキングやホームランキングの後塵を拝した。ならば高濱の価値は彼らに劣っているのかと言えば、それは全く違う。その価値の種類が違うだけだ。
状況と監督の好みによっては、プロのスピード、キレに対応できない１年間は目をつぶってでも、一軍レギュラーに据えたくなるような選手。私ならそうするな。