自称阪神タイガース評論家(跡地)

かつてブログ「自称阪神タイガース評論家」があった場所。
ABOUT
プロ野球2.0
ああそうか!「2」じゃなくて「2.0」だったのか!と思わずつぶやいてしまったり…。
巷で話題の「プロ野球2.0」という本の話をする。
編著者は小島克典氏。(株)スポーツワークスの代表取締役であり、立命館大学客員教授。というよりも、メジャーに渡った新庄剛志の通訳を務め、ライブドア・フェニックスのGMに就任したあの人だ。

本の体裁は、「立命館大学経営学部スポーツビジネス講義録」という形体。といっても、プロ野球を中心としたスポーツビジネスの現場で活躍中(過去に活躍していた)多彩なゲストが、現状を説明したり、問題点を指摘したり、将来的なビジョンや予想図を提示したりという内容だから、「大学の授業」というような退屈なイメージじゃない。あ、そのイメージは私固有のものか(笑)。

ゲストと主題は、第一章がボストン・レッドソックスCEO・ラリー・ルキーノ氏「ベースボールの未来」(この章は講義録ではなく対談)、第二章がスポーツエージェント団野村氏「革命から発展へ」、第三章が弁護士・水戸重之氏「スポーツと法務」、第四章が日刊スポーツ飯島智則氏&ナノ・アソシエーション小野寺俊明氏「メディアとスポーツ」、第五章が阪神タイガース畑野幸博氏&福岡ソフトバンクホークスマーケティング森本譲二氏「ファンマーケティングの醍醐味」、第六章が北海道日本ハムファイターズ球団社長・藤井純一氏&横浜ベイスターズ元球団社長・大堀隆氏「スポーツと地域の共存」。さらにはじめと終わりに、編著者自身による序章、最終章が添えられている。


未来が見えないでいる日本のプロ野球を、いったいどうしたら良いのか。野球好きなら誰もが考えるこのテーマについて、私自身もああだこうだとかなり無責任に言ってきた。そのああだこうだを導き出す、もとの情報はたいがいメディアを通じてのものである。「メディアの所有物」であるプロ野球の場合は、ここが実にやっかいで、危険なところ。今回、それを痛切に感じた。この本を読んだことで、私の中で若干の価値観のシャッフルがあったと思う。

代理人といっても信条や手法に大きな違いがあることの面白さ。
スポーツ紙という古いメディアと、WEBという新しいメディア、双方の苦悩。
与えられたものを受け取るばかりの「従順な消費者」が、世間を知って自分たちが本当に欲しいものだけを「求める消費者」に、さらには供給者を「動かす消費者」になっていくことの可能性。
MLBとNPBの違いとは「天と地」かも知れないが、それを分けるのはほんの小さな考え方の違いに過ぎないのではないかと思う疑問。
野球に限らず、スポーツビジネスを根づかせていくために必要なマインド…。
こんな授業なら、絶対にサボらなかったよなぁ(笑)。


そして、スポーツビジネスとは無縁の世界に生きていても、心を刺激される本だ。それはもちろん、大好きな野球を肯定的に取り上げているということもある。そしてファンからのプロ野球改革というアプローチを考えている実力者を知った喜びもある(「NPB2」は私の中では終わっていない)。

だけどこの本の楽しさの本質は、はじめから最後まで、さわやかにそよいでいる小島氏のまっすぐさ。そして、より豊かな社会を作ろうと日々工夫している人たちの清々しさだ。
高いハードルはあるけれど、良い球を思いっきり振っていく!空振りしても「グッド・スイング!」、三振しても「ネクスト・タイム!」。
「よし、小島克典氏と畑野幸博氏にコンタクトのお手紙を書こう」
これが私の読後の所感だ。

TB Blog プロ野球2.0

Posted by torao at 07:32 | comments(5)
[野球全般]球界
<< 08の原点 | TOP | 岩田使おう平野壊れるな >>

>未来が見えないでいる日本のプロ野球を、いったいどうしたら良いのか。野球好きなら誰もが考えるこのテーマについて……

野球好きの誰もが考えているかどうかは怪しいですが、漠然とこのままでは「ヤバイなあ」といった不安を持っている人は多くいるんじゃないかとは思います。
中でも最もヤバイなあと感じるのが有力選手のメジャー流出。私はメジャー流出は時代の要求であり、阻止せんがための鎖国路線に走るべきではないと思うんですが、それがためのNPBの地盤沈下を如何に抑えることができるのかが悩ましいところです。
先日、「関西独立リーグ」なるものの立ち上げが報道されてましたが、四国ILに端を発したこれら地域密着リーグが動脈硬化で活性力を失いつつあるNPBに風穴を開ける可能性がゼロではない気がして、すこしばかし期待なんかしちゃったりしています。
| いわほー | 2008/03/07 9:54 PM |
全く何も変わらないNPB。
この環境を取り巻くファンからは、幾度となく変革・改革を
望まれたにも拘わらず、その体質は微塵も揺るがない。
ある意味、これほどまでにファンを無視し続け栄華を極める
団体と言うのも凄い気がする。
「プロ野球は誰のもの」に対する答えが1つの本音と
虚しい無数の建前とに、深い溝を挟みながら存在する。

でも、何とかしなきゃいけない。
その思いは、他のファンの多くもそうだろうけど
持っているし、持ち続けたい。

>「NPB2」は私の中では終わっていない

いつかどこかで大きな風穴開けたいですよね。
| 西田辺 | 2008/03/07 11:22 PM |
遅くなってスミマセン。

to いわほーさま
各独立リーグがネットワーク化すると、単純にチーム数が多いというだけで、12球団のNPBに対抗しうる魅力になるような気がするんですよね。特に最後のプレーオフというか、トーナメントの部分が盛り上がるでしょうね。
健全なアザーリーグとして発展して、NPBに刺激を与えて欲しいです。

to 西田辺さま
動かざること山のごとしですね。だけど、それだけ(笑)。風林火がないの…。
| torao | 2008/03/10 9:21 PM |
プロ野球2.0編著者の小島です。この度はどうもありがとうございました。今すぐ何かを、ということは難しいやもしれませんが、日本のプロ野球が今よりもっとよくなることに今後も注力して活動を続けたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。取り急ぎ、私信拝受の御礼を兼ねて。
小島克典
| こじまです | 2008/03/11 12:32 AM |
to 小島克典さま
わざわざお越しいただきありがとうございます。感激しました。
もちろん小島さんの活動に注目してまいりますよ!今後ともよろしくお願いします。
| torao | 2008/03/11 6:52 AM |

←必須!「通りすがり」等は禁止!独自のハンドルネームを入れて下さい。

←空欄可。メールアドレスは入れないで!



評論家たちの声
Tigers-net.com様のご協賛により、
T-Blogで運営しています。