自称阪神タイガース評論家（跡地）

「今年は覚悟してますわ。今年はいろんなことがあるでしょう。体のこともな。覚悟してますよ。準備も覚悟もできました。そりゃあ、覚悟していかないと」（サンスポ）。


毎年同じようで、決して同じではないプロ野球シーズン。特にここのところ特有の「鈍さ」を見せていたタイガースには、「変わらないもの」が多くなっているように思う。
日常の中にも、毎年同じように続いているからといって、「今年もまたその季節か」などと、ついつい無意識に永続性を信じてしまっていることがある。しかし自然現象はともかく、人のすることに決して永続などない。

金本に限らず、選手たちはこの開幕の日にあたり、強く覚悟を決めているのであろう。自分のすべての力を出し切れば、「勝った負けた」は時の運。
「勝ち負け」の意味するものは、その選手の格によって違う。チームの勝ち負けに責を負う者もあれば、ポジション確保、試合出場、一軍入りなど、個人個人に勝ち負けを設定しているものもあろう。
いずれその勝ち負け以前に、それを受け入れる覚悟がなければ、足がすくんで勝負の場にすら立てやしない。精一杯の準備をし、集中力を絶やさずにベストプレーに努めること、それがプロフェッショナル・ベースボール・プレーヤーの最低条件なのだ。

だからそれを観て楽しむ私も、五官を鋭くしてその覚悟を感じたいと思う。その覚悟が完成するまで、いったいその選手に何があったのか。選手が続けてきた努力を、鍛え上げた精神を、築いた肉体を、磨いた技術を、逃すことなく感じ取りたい。結果だけにとらわれることなく、その美しさのほとばしりを讃え、怠慢を叱っていきたい。
一つ一つのプレーの表面にある楽しさ、嬉しさ、興奮、感動、悲しさ、寂しさ、憤怒、消沈だけでなく、裏側にある、あるいは奥底に潜む消沈、憤怒、寂しさ、悲しさ、感動、興奮、嬉しさ、楽しさをも、まるごと受け入れる覚悟をしよう。
そう、今年はきっと何かが終わり、何かが始まるシーズンになるのだろうから。

０８年阪神タイガースの旅立ち。私たちも覚悟を決めて、一緒に出発しよう。