2008.04.13 Sunday
だから自分の記録に関心が集まってしまった時、パタッとヒットが止まってしまったのかも知れない。
誰よりも可愛がってきた弟分の新井が一千本安打を記録した節目の試合。開幕から快調に飛ばしてきた岩田が苦労して、厳しい試合展開。カードの初戦を取り続けてきた今季、前日初めてそれを落とした。今季初連敗の危機でもある。
7回表二死三塁。その厳しい試合展開の中で、新井が1001本安打目となる勝ち越し三塁打を放ち、4−3と逆転した。ここはどうしてももう1本、もう1点欲しい。そう、この時皆が欲しかったのは金本の二千本目ではなく、このもつれた試合を2点差にする一本だった。
前夜から攻められていた内角直球、根もと近くに球が当たったバットは折れていた。しかしコンパクトに振り抜いた低いライナーは、すぐにライトの前で弾んだ。皆が望んでいた2点差にする貴重なヒット。そしてほんの一瞬忘れていたが、金本の二千本目となる記念のヒット。
山脇一塁コーチと両手を合わせる。スコアボードに「祝二千本安打」の文字。立ち見客でぐるりいっぱいにになった横浜スタジアムが祝賀ムードに包まれる。一塁ベンチから「先輩」石井琢朗が大きな花束を持って駆け寄る。笑顔の握手。一塁手佐伯もお祝いの声を掛ける。
三塁ベンチからは、同級生の矢野が相好を崩し声を掛けながら片手を合わせ、二千本安打を知らせる丸いボードを渡す。そんなことはみんな知ってはいるんだけど(笑)。今ホームインしたばかりの新井が花束を持って駆けつける。それさっき自分の一千本でもらったやつちゃうよね(笑)。
打てない打てないと話題になったが、本当に萎縮しているなと感じた打席は数打席。きっちりと四球は取っていたし、必要な場面では進塁打もあり、打点も上げている。自分のことよりチームのことでやって来た男は、一つもぶれることなく、格好良く二千本目を決めた。
新井の一千本安打は初回だった。四球の平野を一塁に置き、初球を鋭くライト線へライナーの二塁打。金本とは重みが違うが、通過点をスパッと抜けた。
結局、兄ちゃんを追い抜いて、せき立てた形になった。そして最高の祝賀試合を演出した。頼りない弟を叱りつけながら、どこまでも面倒を見る兄貴。頼りなさそうに見えて、兄貴を助け続ける弟。どこまでも愉快で「キモい」兄弟だ(笑)。
続く金本は二ゴロに「倒れた」のではなく、チームのために二ゴロを捧げた。
一死二三塁、初回だから内野も深く構えて、1点よりも1アウト重視の構え。相手がくれるという1点は絶対に取らなければいけない。それならば、外野フライよりも打ちやすいセカンドゴロが正解なのだ。
自身の記録よりも、チームの得点。もうこの打席で、この日の記録達成は約束されたようなものだ。そんな気分にさせる二ゴロだった。
先発岩田は、5回、92球、8安打、2四球、3失点(自責点1)。実際の印象としては、その数字以上に苦しいマウンドになってしまった。
ただボールが持っている力は、直球の走りにしても、スライダーのキレにしても、悪くないと思った。村田に打たれた2ランHRも、ちょっとインローのスライダーを集めすぎた野口の配球も良くなかったしね。
ただカウント球のコントロールが悪かったのは事実。カウント不利になってしまい、グイグイ攻め込んでいくような、いつものテンポが生まれなかった。さらに、勝負球も右打者をえぐっていた直球が甘く入り、ベースを横切って出ていっていたスライダーががストライクゾーンにとどまる。予定外の痛打が多かった。
それでも、ベイスターズのミスや、変わったプレー(判定)に助けられて序盤ノックアウトにはならなかったのはラッキー。
その問題のプレーは、1回表一死一二塁で捕手投手三塁手の間、三塁線上に上がったポップフライ。これを捕りに行った野口がフェアゾーンに落とす。これを拾って三塁送球で封殺、さらに二塁に送球してダブルプレーでチェンジとなった。
ファールになるかもという理由で、インフィールドフライの宣告がなかったということらしい。非常に珍しいプレーだった。
まあ岩田はそんなこんなで、5回まで粘ったのは次に繋がる。もっとツキがあれば勝利投手になれたんだからね。今はいろんな経験を積んで、能力の幅を拡げている時期だ。
めでたい日に免じて今岡へのおとがめはなしにしとく。
逆転され2点ビハインドを追いついた4回表が、この試合の本当の一番良いところだったと思う。
先頭鳥谷二塁左を強いゴロで抜くヒット。この日の2安打はどちらも同じ打球。センター返ししようという意識がヒットコースを作った。
無死一塁、フォードは追い込まれていたが、ベイ先発寺原の152km/h直球を右中間に押し込む。金城が追いついたかに見せて走者を止める小芝居を演じるが、鳥谷&フォードまったく構わず走る。打球はフェンスダイレクト、狭いハマスタだが、あとちょっとでHR。無死二三塁とチャンス拡大。金城にだまされなかった走者たち、和田コーチGJ。
しかしなんとかしたい野口がポップ、続投岩田三振で二死。赤星に賭ける。
赤星、追い込まれていたが勝負球の膝元を狙ったスライダーが甘くなったところを三遊間に痛打。鳥谷ホームイン、和田コーチ、ルーにストップサイン。ところがトップスピードに入ったフォードは「信号無視」、バックホームシフトで前進していたレフト内川、素速く捕球して本塁へワンバウンドのストライク送球、フォード体を三塁側に逃がしながら、さらにローリングして体を低くしてタッチをかわしながら左手でホームベースを払う、セーフ、ホームイン!ものすごいベースランニング!三塁ベース回ってからが速かった。いやあ、ホントにエキサイティングな走塁だよ。萌えた。
今季初打点となった赤星も萌えたようで、二塁ベース上からルーにガッツポーズを送ったんだって(笑)。
前日の安藤ガンバリ完投負けのおかげで、休養十分の渡辺が中盤試合を作り直して、勝ち投手。内容としては直球の走りがイマイチで苦しい内容だった。それでも待ちきれないチェンジアップは相変わらずの破壊力で、大事な試合後半をまとめていく力はある。
必ずしんどいくらい働いてもらう時期が来るから、それまでは力をためて、準備準備。
3−3同点のまま7回表。先頭矢野が技ありヒットで出塁。赤星犠打、平野凡退で二死二塁。新井の三塁打はまさにアスリートパワーの結晶だ。インハイに食い込むようなボール球。詰まったように見えて、素速いスイングでしっかりと押し込んでいる。高く上がった打球が左中間フェンスにぶつかる。これまたあと少しでHRなんだけどね。
見事な決勝打。そして金本の大記録の露払いとなった。
久保田は7回ツーアウト、ピンチを拡げてしまったナベの後、前倒し登板。ちょっとした盛り上げは作っちゃったけど、直球は強く、スライダーは切れて安定感がある。鈴木尚に投げたフォークが抜群だった。フォーク修行中の藤川のフォークより素晴らしかったことは秘密だ(笑)。
9回は当たってきた矢野が左越二塁打。赤星バント失敗の後、代打桧山が右越二塁打でダメ押し。ハマスタは「おっさん祭り」絶賛開催中(笑)。敵地で好き勝手やってゴメンね。
最後は藤川もまずまずの内容で祝賀試合を締めた。途中コントロール重視の落ちないフォークをチェンジアップ的に使ったり、絶対打とうと思わないカーブでカウントを取ったり、いろいろやっているのがわかる。久保田のスラーブより球児のカーブの方が全然効果的なのも秘密(笑)。
幸せな祝いの試合も無事済んで、これで今季10勝目。もちろんセでは一番乗り。
これで一段落なんだけど、一安心しちゃいけないよ。
こういう「金本イズム」満ちあふれた試合をどんどん重ねていこうぜ。
誰よりも可愛がってきた弟分の新井が一千本安打を記録した節目の試合。開幕から快調に飛ばしてきた岩田が苦労して、厳しい試合展開。カードの初戦を取り続けてきた今季、前日初めてそれを落とした。今季初連敗の危機でもある。
7回表二死三塁。その厳しい試合展開の中で、新井が1001本安打目となる勝ち越し三塁打を放ち、4−3と逆転した。ここはどうしてももう1本、もう1点欲しい。そう、この時皆が欲しかったのは金本の二千本目ではなく、このもつれた試合を2点差にする一本だった。
前夜から攻められていた内角直球、根もと近くに球が当たったバットは折れていた。しかしコンパクトに振り抜いた低いライナーは、すぐにライトの前で弾んだ。皆が望んでいた2点差にする貴重なヒット。そしてほんの一瞬忘れていたが、金本の二千本目となる記念のヒット。
山脇一塁コーチと両手を合わせる。スコアボードに「祝二千本安打」の文字。立ち見客でぐるりいっぱいにになった横浜スタジアムが祝賀ムードに包まれる。一塁ベンチから「先輩」石井琢朗が大きな花束を持って駆け寄る。笑顔の握手。一塁手佐伯もお祝いの声を掛ける。
三塁ベンチからは、同級生の矢野が相好を崩し声を掛けながら片手を合わせ、二千本安打を知らせる丸いボードを渡す。そんなことはみんな知ってはいるんだけど(笑)。今ホームインしたばかりの新井が花束を持って駆けつける。それさっき自分の一千本でもらったやつちゃうよね(笑)。
打てない打てないと話題になったが、本当に萎縮しているなと感じた打席は数打席。きっちりと四球は取っていたし、必要な場面では進塁打もあり、打点も上げている。自分のことよりチームのことでやって来た男は、一つもぶれることなく、格好良く二千本目を決めた。
新井の一千本安打は初回だった。四球の平野を一塁に置き、初球を鋭くライト線へライナーの二塁打。金本とは重みが違うが、通過点をスパッと抜けた。
結局、兄ちゃんを追い抜いて、せき立てた形になった。そして最高の祝賀試合を演出した。頼りない弟を叱りつけながら、どこまでも面倒を見る兄貴。頼りなさそうに見えて、兄貴を助け続ける弟。どこまでも愉快で「キモい」兄弟だ(笑)。
続く金本は二ゴロに「倒れた」のではなく、チームのために二ゴロを捧げた。
一死二三塁、初回だから内野も深く構えて、1点よりも1アウト重視の構え。相手がくれるという1点は絶対に取らなければいけない。それならば、外野フライよりも打ちやすいセカンドゴロが正解なのだ。
自身の記録よりも、チームの得点。もうこの打席で、この日の記録達成は約束されたようなものだ。そんな気分にさせる二ゴロだった。
先発岩田は、5回、92球、8安打、2四球、3失点(自責点1)。実際の印象としては、その数字以上に苦しいマウンドになってしまった。
ただボールが持っている力は、直球の走りにしても、スライダーのキレにしても、悪くないと思った。村田に打たれた2ランHRも、ちょっとインローのスライダーを集めすぎた野口の配球も良くなかったしね。
ただカウント球のコントロールが悪かったのは事実。カウント不利になってしまい、グイグイ攻め込んでいくような、いつものテンポが生まれなかった。さらに、勝負球も右打者をえぐっていた直球が甘く入り、ベースを横切って出ていっていたスライダーががストライクゾーンにとどまる。予定外の痛打が多かった。
それでも、ベイスターズのミスや、変わったプレー(判定)に助けられて序盤ノックアウトにはならなかったのはラッキー。
その問題のプレーは、1回表一死一二塁で捕手投手三塁手の間、三塁線上に上がったポップフライ。これを捕りに行った野口がフェアゾーンに落とす。これを拾って三塁送球で封殺、さらに二塁に送球してダブルプレーでチェンジとなった。
ファールになるかもという理由で、インフィールドフライの宣告がなかったということらしい。非常に珍しいプレーだった。
まあ岩田はそんなこんなで、5回まで粘ったのは次に繋がる。もっとツキがあれば勝利投手になれたんだからね。今はいろんな経験を積んで、能力の幅を拡げている時期だ。
めでたい日に免じて今岡へのおとがめはなしにしとく。
逆転され2点ビハインドを追いついた4回表が、この試合の本当の一番良いところだったと思う。
先頭鳥谷二塁左を強いゴロで抜くヒット。この日の2安打はどちらも同じ打球。センター返ししようという意識がヒットコースを作った。
無死一塁、フォードは追い込まれていたが、ベイ先発寺原の152km/h直球を右中間に押し込む。金城が追いついたかに見せて走者を止める小芝居を演じるが、鳥谷&フォードまったく構わず走る。打球はフェンスダイレクト、狭いハマスタだが、あとちょっとでHR。無死二三塁とチャンス拡大。金城にだまされなかった走者たち、和田コーチGJ。
しかしなんとかしたい野口がポップ、続投岩田三振で二死。赤星に賭ける。
赤星、追い込まれていたが勝負球の膝元を狙ったスライダーが甘くなったところを三遊間に痛打。鳥谷ホームイン、和田コーチ、ルーにストップサイン。ところがトップスピードに入ったフォードは「信号無視」、バックホームシフトで前進していたレフト内川、素速く捕球して本塁へワンバウンドのストライク送球、フォード体を三塁側に逃がしながら、さらにローリングして体を低くしてタッチをかわしながら左手でホームベースを払う、セーフ、ホームイン!ものすごいベースランニング!三塁ベース回ってからが速かった。いやあ、ホントにエキサイティングな走塁だよ。萌えた。
今季初打点となった赤星も萌えたようで、二塁ベース上からルーにガッツポーズを送ったんだって(笑)。
前日の安藤ガンバリ完投負けのおかげで、休養十分の渡辺が中盤試合を作り直して、勝ち投手。内容としては直球の走りがイマイチで苦しい内容だった。それでも待ちきれないチェンジアップは相変わらずの破壊力で、大事な試合後半をまとめていく力はある。
必ずしんどいくらい働いてもらう時期が来るから、それまでは力をためて、準備準備。
3−3同点のまま7回表。先頭矢野が技ありヒットで出塁。赤星犠打、平野凡退で二死二塁。新井の三塁打はまさにアスリートパワーの結晶だ。インハイに食い込むようなボール球。詰まったように見えて、素速いスイングでしっかりと押し込んでいる。高く上がった打球が左中間フェンスにぶつかる。これまたあと少しでHRなんだけどね。
見事な決勝打。そして金本の大記録の露払いとなった。
久保田は7回ツーアウト、ピンチを拡げてしまったナベの後、前倒し登板。ちょっとした盛り上げは作っちゃったけど、直球は強く、スライダーは切れて安定感がある。鈴木尚に投げたフォークが抜群だった。フォーク修行中の藤川のフォークより素晴らしかったことは秘密だ(笑)。
9回は当たってきた矢野が左越二塁打。赤星バント失敗の後、代打桧山が右越二塁打でダメ押し。ハマスタは「おっさん祭り」絶賛開催中(笑)。敵地で好き勝手やってゴメンね。
最後は藤川もまずまずの内容で祝賀試合を締めた。途中コントロール重視の落ちないフォークをチェンジアップ的に使ったり、絶対打とうと思わないカーブでカウントを取ったり、いろいろやっているのがわかる。久保田のスラーブより球児のカーブの方が全然効果的なのも秘密(笑)。
幸せな祝いの試合も無事済んで、これで今季10勝目。もちろんセでは一番乗り。
これで一段落なんだけど、一安心しちゃいけないよ。
こういう「金本イズム」満ちあふれた試合をどんどん重ねていこうぜ。