2008.06.29 Sunday
Ｓ先発は石川。先攻めの先頭打者って大事だね。この１打席ですべてが決まるわけじゃないが、相手バッテリーの思考パターンに影響を与え、見方野手の志向性を定めることも可能。赤星は初球から初球からどんどん振っていって、４連続ファール。ボール球２つはしっかり見送って、ストライクは全部振った。８球目でレフトフライを上げてしまったが、これでカウント球を積極的に打っていくというチームオーダーの手本を見せて、タイガースの攻撃コンセプトがしっかりと決まる。
Ｔ先発は下柳。もちろんそうじゃないかとは思っていたが、今季ヒーローインタビューで鳥谷や関本が、下柳が投げる試合はいつも以上にしっかり守らなければいけないという緊張感があるというような発言をしていた。内野ゴロが多いから、とその理由を言っていたが、エラーすると怖いからだ。絶対そうだ（笑）。だけど、それは本当に大事なこと。チームの中には怒りんぼがいなきゃダメなのだ。
先頭福地の強烈なライナーはスタメン三塁バルディリスの正面へ。どうやらスワローズの対下柳も同じコンセプトのようだ。特にクローザーのイムが打たれるケースが増えていて、中継ぎ投手の力量には差がある。中盤までに下柳からリードを奪っておくことが重要。
２回表、先頭金本が左前への軽打で出塁。林は変化球に食らいついて良く粘ったが、最後意表をつく直球に手が出ず見逃し三振。でもストライクは全部振ってくるというプレッシャーが徐々に効いてくる。林の打席中、カウント２−１でファール粘りをしている時、金本が無警戒のスキをついてスタートを切った。ボールなら盗塁成功間違いなし、あいにくファールだったためそうならなかった。しかし金本が盗塁を企図したということには二重三重の意味がある。
休み中に状態を上げていると伝えられていた鳥谷が右前にクリーンヒットで一死一二塁、矢野は外と低めへの誘いに乗らず、待ちかまえていたインコースを思いっきり叩いて三遊間突破、一死満塁。
さあ８番バルディリス、初球外へ逃げ落ちる球をライトヒッティング、しょぼく転がった打球が一二塁間を破って、金本、鳥谷生還、タイガース２点先制！打ったバルは、送球の際に二塁を狙うが、一二塁間で挟まれて憤死、これは判断の悪いプレーだったね。
２回ウラ二死からＳ新外国人遊撃手ウィルソンがヒット＆二盗、しかし下柳が良いね。後続を断つ。大した急速差はないが、インハイに速球、アウトローに遅い変化球、この微妙な緩急で打者を混乱させた。
３回表は二死から新井が右へヒット、金本へは逃げの四球で二死一二塁、林はまっすぐを打ち返したが、上っ面を叩いて平凡な遊ゴロでチェンジ。
３回ウラ、先頭川本の遊ゴロ、微妙にバウンドが変わりながら転がって来て、鳥谷がボロ、拾い上げるも一塁セーフ。顔をしかめて悔しそうなトリ、シモに少しだけ歩み寄って「すんません」、ああ怖い（笑）。石川送って一死二塁。福地の当たりは鋭くショート左へ、鳥谷追いかけるが打球はグラブのわずかに先を抜ける、しかしこれでは走者は抜けてからスタート、あらかじめ前にいた金本が抑えて、走者はストップ一死一三塁。ここで盗塁する気まんまんの一走福地を下柳が牽制で刺す。二死三塁となって、宮本凡退でゼロ。スワローズにとっては痛すぎるベテランのミスだった。鳥谷は心の底から「ほっ」（笑）。
日本海に近いという秋田こまちスタジアム、夕焼けが綺麗ねえ。タイガースファンがいっぱいの三塁側スタンドのファンがオレンジ色に染まって見える。
４回表、ほっとした鳥谷から。初球肩口から甘いスライダー。逃さず叩く。高く上がった打球がライトへ、伸びる伸びる、ライトジャンプ！ぎりぎり入ったホームラン！ちょっと上がりすぎたが、しっかり叩けていたんだね。これで３−０、良い中押し。
４回ウラ、今度はＳ青木がこれまた甘いスライダーをライトスタンドへ文句なしの一発、３−１。トリ、さっき点入らなくて良かったね、さっきＨＲ打っておいて良かったね（笑）。
５回表は先頭赤星が内に沈む球を見事なワンハンドボレーで一二塁間を破る。関本職人芸で送って一死二塁、新井は珍しく崩されて投ゴロ、二死二塁。投手コーチ出てきて、金本敬遠指示かと思ったら、「思いっきり勝負せい！」。こういうの好きだよ。金本、わずかに気圧されたか、良い当たりの右中間はライト好捕でチェンジ。
この日の下柳は快調。特に直球の制球が良く、右打者の内角高めにズバズバ斬り込んだ。鳥谷、関本もよく守っていた。ポジショニングも良かった。
５回終了、グラウンド整備。その間を利用して、レフトスタンド上空に花火が打ち上がる。ドンドン、ドン、カラカラ、ドン！綺麗ねえ。秋田の皆さん、野球楽しんでるねえ。いいよ、とても良い。
６回表、林が一二塁間、鳥谷が三遊間、連打で無死一二塁。矢野が絶妙の三塁線バントで送って一死二三塁。バルの三ゴロで、林突っ込んで本塁憤死、二死一三塁、シモそのまま打席に入るも凡退でゼロ。リードは２点のはずなのに、なんだかもっとリードしているような気分。普通、そういうのって危険なことなんだけど、ことこの日に限っては、そういうバタバタしない、どっしりとした試合運びが、より相手にとっては精神的に追い込んでいくように思えた。
６回ウラ、一死から青木の背中に死球を当ててしまうが、続く畠山を注文通りの６−４−３の併殺、シモ乙。
黄色い風船がぴゅーっと上がって７回表、投手は松井にスイッチ。先頭赤星、追い込まれてから足に死球。赤星より投手の方が痛いってやつ。職人送りで一死二塁。新井、粘りに粘った１０球目インハイのボール球を強引に振り切る。明らかに詰まりまくっているが、打球は前進守備のセンターの頭を越えてフェンスダイレクト、赤星帰って４−１。後続は抑えられる。
７回ウラは久保田。とても落ち着いている。危なげなく三者凡退。
８回表、Ｓ投手は五十嵐亮太、おお速い！Max155km/hで鳥谷、矢野、バルを三者三振。さあこの流れだと、このウラが重要になるね。
８回ウラ、３点リードでジェフ。五十嵐のナイスピッチングで、１点でもやるとイヤな雰囲気になるところ、でもジェフが４球で片付けちゃう。最後は三遊間の当たりを鳥谷が華麗に裁くナイスプレー、新井も低い送球を上手く捕った。
で９回表。１回表、赤星の第１打席から始まる積極攻撃で石川に圧力をかけて３点取った。スワローズは、ビハインド時の継投に弱みがある。しかし五十嵐がピシャリで流れが行きかけ、ジェフのピシャリ返し＆好守備で取り戻す。熱気のある秋田、タイガース優位の試合運びは揺るがないが、この辺はけっこう引き合っていたと思う。
Ｓは４番手萩原。先頭代打葛城がしぶとく一二塁間を破る。赤星三振で一死一塁。関本へのカウント２−１、ここでヒットエンドラン敢行、関本、むずかしい落ちる球を鬼の集中力で叩きつける、それまでの右打ちファール連続で当然ベースカバーはショート、その逆を取ってショートゴロを転がすと無人のスペースをボールが転がりレフトへ抜ける、一走葛城は一気に三塁へ！ナイス！これすごいなあ、良い読みだなぁ、岡田監督のサインなのかなぁ、いやあスゴイ。もうこれで一気に来たね。新井ライト前で５−１、一走関本は三塁を取る。投手丸山に代わって、頭近くの球にのけ反らされた金本が、怖々センターフライに倒れるが、林への代打フォードがレフト右へのクリーンヒットで６−１、なんと一走新井が三塁を取っている、二死一三塁。鳥谷４安打目のセンター前タイムリーで７−１。勝負あった。もうとっくのとうに「あった」けどね。
最後は練習していたであろう藤川ではなく渡辺。青木にまた会心の一撃を食らっちゃったけど、まあこれは相手がスゴイってことで、良いだろう。
この試合はたくさん良いところがあったけれど、チームとして相手投手を攻略する「凡打の意味」を見せた赤星の第１打席、そして２回一塁走者としてスキをつく盗塁を試みた金本。良いリスタートを切ったと実感したプレーだった。
