2008.07.04 Friday
ドラゴンズ投手陣の意地の投球、素晴らしい意地のファインプレーの前に、勝負は終盤までもつれてしまったが、それでも十分勝つための試合運びをして、その通り勝った良い試合だったと思う。
リリーフ陣の連投については心配もあるが、この甲子園のドラゴンズ戦については、とにかく全力で行くという意思統一が見えたので良いんじゃないかな。
型どおりに先取点を奪い、あとは各打者が打席内でしっかりプレッシャーをかけていたと思う。最終的な決勝点はラッキーな打球も続いたが、林にしても鳥谷にしても矢野にしても、しっかりと狙い球を絞って、強烈にフルスイングできた結果。どれも立派なヒットだった。
そして、断続的に強い雨が降る悪コンディションの中で、疲れを感じさせながらも踏ん張ったリリーフ陣には本当に頭が下がる。
でもとにかくこの試合は金村曉の試合。素晴らしかった。
左太もも痛、その後の不振のため、この日がタイガース初登板となった金村曉。6回被安打3。その内の2安打が3回二死に集まり、盗塁&エラーも絡んで1失点。自責点は0。ちょっと安易に投げてしまって荒木に盗塁を許した場面だけは一瞬のエアポケットのようであったが、それ以外は細心の注意を払ったほぼ完璧な投球内容だった。
88球、早めの降板だったが、極度の緊張感があったようだし、次回に大きな自信が繋がるような交代の仕方は良かったと思う。
やっぱり安定感のある投球というのは、初球の入りがポイントなんだな、つくづく思った。実績ある投手が、何の迷いもなくその1球で優位な立場に持って行く。
以下、参考までに金村22人の打者に対する「全初球」。
1回表
荒木 スライダー 131km/h 外角低目 フライ
小池 ストレート 142km/h 外角中央 見逃し
ノリ ストレート 144km/h 外角中央 見逃し
2回表
ウッズ ストレート - 外角高目 見逃し
和田 カットボール 130km/h 外角中央 ヒットライナー
李 シュート 133km/h 外角低目 空振り
デラロサ ストレート - 内角中央 見逃し
3回表
谷繁 ストレート 142km/h 真中高目 ボール
朝倉 ストレート 142km/h 外角低目 見逃し
荒木 特殊球 109km/h 内角高目 ボール
小池 ストレート 140km/h 外角低目 ボール
ノリ ストレート 141km/h 外角中央 ボール
4回表
ウッズ フォーク 128km/h 内角低目 ボール
和田 フォーク 129km/h 内角低目 ゴロ
李 ストレート 138km/h 外角中央 見逃し
5回表
デラロサ フォーク 127km/h 真中低目 空振り
谷繁 ストレート 140km/h 外角中央 ファール
朝倉 ストレート 135km/h 内角低目 ボール
荒木 フォーク 127km/h 真中低目 ボール
6回表
小池 フォーク 127km/h 真中低目 ボール
ノリ ストレート 139km/h 外角低目 ボール
ウッズ フォーク 128km/h 内角低目 ボール
(参考サイト:yahoo 一球速報)
【結果】
見逃しストライク 6/22 (27.3%)
見送りボール 10/22 (45.5%)
スイング 6/22 (27.3%)
【球種】
ストレート 12/22 (54.5%)
フォーク 6/22 (27.3%)
その他 4/22 (18.2%)
球種としてはストレートが半数以上。コースはほとんどが外。高さは「まあ低め」程度にしかこだわらないが、外についての意識は徹底している。もちろんストライクが欲しいところでは、いっぱいいっぱいを狙うのではなく、きっちりと「外角のストライク」に納める。打者としては、外角の直球を打とうと意識していなければ打たない球。次回登板時は、この外角の直球を狙って打てというチームオーダーになるだろうが、それを察知したらフォークや、インコースの直球から入るように変えれば良いだけ。いずれこの球が基本であり、特に打者が様子見をしてくる序盤で、きっちり外角直球見逃しストライクの初球を重ねたことが大きい。
初球ストレート見逃しストライクは、その1打席中ずーっと打者に「ひっかかり」を作る。またどこかでストレートが来る、意識の中にそれが残る。変化球に合わせて十分にためさせない。だから変化球が余計に効く。
中盤ではフォークから入るケースも増えた。これもまた素晴らしかった。高さはボールになるくらい低く、コースは真ん中ベースの上、そこを狙っている。もちろん空振りしてくれれば言うことなしだが、ボールでも構わない。この初球も、その打席中ずっと「ひっかかり」を作る。またどこかでフォークが来る。まっすぐとスライダーだけでなくフォークもある、打者は考えるのがイヤになっちゃう、それが初球フォークの効果だ。
警戒すべき時にはボールから入る、もちろん警戒するあまり狙ったところに行かなかったケースもあるが、初球で優位に立つ、その仕組みがわかっていて、ちゃんとそういう球種をそういう場所に投げられる。心と体のコンディションさえ万全なら、ローテできっちり仕事をする。やっぱり良い投手だと思った。